関西 障がい者と労働者は団結し闘う 「共に生きる会」が集会

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週刊『前進』04頁(3221号02面03)(2021/11/29)


関西
 障がい者と労働者は団結し闘う
 「共に生きる会」が集会

(写真 「障がい者と労働者は生きるために闘おう!」集会は80人が参加し大成功した【10月31日 東大阪市】)


 10月31日、東大阪市の市民プラザで「障がい者と共に生きる会」主催の「障がい者と労働者は生きるために闘おう!」集会が80人の結集で大成功しました。
 「生きる会」は昨年、八尾北医療センター労組と地域の作業所を中心に、〈障害者総合支援法反対〉〈65歳になれば障がい者が介護保険に統合される65歳問題反対〉〈戦争絶対反対〉を掲げ、労働運動を軸に新しい障がい者解放運動を目指す団体として結成されました。「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット」の長岡健太郎弁護士の結成記念講演会を行い、以来、定例会を重ね、長岡弁護士にも加わってもらい、学習会と集会を蓄積してきました。
 改憲と中国侵略戦争が切迫し、今の資本主義社会では新自由主義を基調とする攻撃がかけられています。これに対し障がい者は労働者と団結して生き抜くことを「生きる会」は鮮明にしています。その一つの到達地平として今回の集会はありました。
 集会は豊中市職の深町加代子さんの司会で始まり、「自助の強要は人権を脅かす」のテーマで長岡弁護士が講演しました。
 長岡弁護士は、「自助・共助・公助」を菅政権は掲げたが、これは民主党政権も含む歴代の為政者が主張してきたことであり、2006年の小泉政権時に社会保障制度に関する国の政策は決定的に転換して新自由主義の考え方が強行され、それは障がい者の自己決定権と根本的に対立するものだと提起しました。コロナ禍でその矛盾がますますはっきりとしてきました。
 政府の言う「自立」と障がい者の自立とは違い、政府の言う「自立」とは「自己責任」で、そこには社会保障制度の解体がもくろまれていると、具体的な事例を挙げて説明しました。私たちが言う「自立」とは、憲法などでも前提化され、これまでの障がい者運動が勝ち取ってきたものです。社会保障のみならず、地域との団結の中で生きるということであり、それを破壊しようとするのが「自助・共助・公助」のイデオロギーで、その基になっているのが「命より金もうけ」の新自由主義です。長岡弁護士の提起で、参加者の発言の中身も深まりました。
 政府の言う「公助」とは民営化・委託化された「公助」です。そこでの深刻な職場環境(介護労働者の待機・移動時間のサービス労働問題など)が浮かび上がり、労働組合の課題でもあることが鮮明になりました。介護労働者の労働条件が悪い中、障がい者の介護も機械的にならざるを得ない同じ問題があるのです。
 八尾北労組の仲間が、コロナを機に「トリアージ医療」が叫ばれ、命に優先順位がつけられ、まさに戦争攻撃だと提起しました。
 地域の作業所の仲間は、障がい者グループホームの再編を政府が考えていると指摘し、本来の共同生活の拠点から金もうけの手段への転換に反対する署名運動を提案しました。
 「生きる会」が、「戦争と障がい者」をテーマに報告し、差別の本質は戦争に向う分断であると提起しました。
 最後に司会の深町さんが集会をまとめました。「自助」の考え方は障がい者運動を解体するものであり、障害者総合支援法の主目的は「65歳問題」を契機に介護保険に統合することにあることがはっきりしてきたと述べました。社会保障制度の解体=介護保険統合という攻撃の構図が明らかになりました。また、障がい者の闘いと現場労働者の闘い(労働組合の課題)として、社会の仕組みを変える闘いを展開しようと訴えました。そして、差別分断は闘いと団結をつぶすものであり、この闘いの先頭に私たちが立とうと提起して、11月労働者総決起集会への参加を呼びかけました。
 「障がい者と共に生きる会」はこの集会を出発点にして、労働者と団結して運動と組織拡大に向うことを確認しました。
(京都 朝霧広巳)

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