特区連賃金闘争の勝利へ 60歳超3割賃下げ実力阻止 改悪地公法ぶっとばせ

週刊『前進』04頁(3227号02面03)(2022/01/17)


特区連賃金闘争の勝利へ
 60歳超3割賃下げ実力阻止
 改悪地公法ぶっとばせ


 東京23区職の特区連(特別区職員労働組合連合会、組合員4万人)と東京清掃労組(4500人)の賃金闘争の激闘が続いている。定年延長で60歳を超える職員の賃金を3割削減するという賃金破壊に抑えがたい怒りが噴出。闘争は越年し首都を揺るがす重大事態に発展している。実力闘争を復活させ闘いぬこう。

悪法かざし全世代の賃金を破壊

 昨秋の賃金確定闘争でコロナ下での2年連続、前年の3倍となる平均5万9千円の一時金削減は押し切られた。だが来年からの定年引き上げ開始と一体の60歳超の基本給の7割への引き下げ=3割賃下げは、将来にわたる全世代の賃金破壊に行き着き、それをのむことは到底できない。特区連と東京清掃労組は妥結を拒否して闘いを継続している。2018年秋、大幅賃下げを現場の怒りとストライキの力で粉砕した勝利を再びかちとろう。
 23区長会が振りかざしているのは昨年6月成立の改悪地方公務員法だ。定年引き上げを機に「あくまで当面」の基準として60歳超の賃金の3割削減を国が勝手に決めた。人事評価制度を徹底して賃金との結合を強め、40代からの定期昇給額の抑制も求めている。

当局が狙うもの

 何が狙われているか。図を見てほしい。
 ①区によっては、すでにこれまでの人事賃金制度改悪で50歳で昇給が止まる事態が起こっている。人事委員会による不当な賃下げ勧告が繰り返され、管理職にならない限り賃金は上がらない制度になっている。
 ②今後は60歳超で基本給を一気に3割減らす。現行の定年後再任用の賃金よりもさらに下回る職員が大量に出ることになる(特区連の試算では現業職の78%、行政職の23%に及ぶ)。退職金は引き延ばされた定年時まで遅らされる。
 ③次に来るのは全世代にわたる破壊的な賃下げだ。すでに東京都人事委員会は「定年引き上げ完成後、60歳前後での給与水準が連続的になるように給与制度を設計する必要がある」と勧告している。全体を引き下げるということだ。現行の都職員の高卒初任給は時給換算で最低賃金以下。一生ぎりぎりの生活が続くのは区職員も同じだ。
 ④すでに自治体業務の多くが最低賃金水準の会計年度任用職員や民間の非正規職、シルバー人材センター(会員70万人)の高齢者に置き換えられ、際限なく拡大されようとしている。
 正規職60歳超の賃金3割削減は始まりでしかない。これまでの「現給保障」「激変緩和措置」というごまかしは通用しない。将来にわたる自治体労働者総体の賃金破壊・雇用破壊との大決戦となっているのだ。

戦争と一体の団結破壊うち破れ

 国が法で決めたら何でも従うのか。そんなことはない。国鉄改革法による分割・民営化攻撃に屈することなく、1047名解雇撤回闘争は動労千葉を先頭に闘い続けられ、国家的不当労働行為を暴いて国とJRを追いつめている。まして改悪地公法は労働法と地方自治の否定だ。絶対反対で闘い粉砕しよう。
 自治体労働者の賃金破壊(3割賃下げ・定昇解体・評価制度の厳格化)、コロナ危機とデジタル化をも水路とする民営化・総非正規職化は、改憲・戦争と一体の団結破壊だ。関西生コン支部弾圧やJR東日本の「業務融合化」・大合理化と共に「労組なき社会」化攻撃そのものである。これと闘うことなしには労働組合の団結は解体される。
 これまで公務員労組は改憲に絶対反対し、反戦・反基地闘争の主力を担ってきた。その解体は、新自由主義の大崩壊下で改憲と中国侵略戦争に向かって連合本部が旗振り役になって進める産業報国会への道だ。
 現場では、スト賛成が圧倒的多数であるにもかかわらず闘おうとしない執行部に失望して脱退するか、そもそも組合に加入しない労働者が大量に生まれている。労働組合の危機だ。労働者の階級的利害を貫いて絶対反対の実力闘争で闘う中でこそ労働組合の再生と展望も切り開かれる。労働組合の基軸的闘いとして反戦政治闘争を全力で闘うとともに、賃金破壊・団結破壊と徹底的に闘おう。

22春闘の先陣を切って闘おう!

 〈コロナ×大恐慌×戦争〉の情勢下で総非正規職化・労組破壊が本格化している。公務員労働者への攻撃は全産別の労働者への賃下げ・総非正規職化を一気に加速する。特区連賃闘は重大な焦点となった。
 昨秋、公務員賃下げを報じたヤフーニュースのコメント欄には、保健所や公立病院をはじめコロナ下で奮闘する公務員への感謝とその職員の賃下げに反対し「公務員の給与が下がると民間も下がって引き下げ合戦になる」と指摘する声があふれた。特区連は自信をもって闘いぬこう。
 「希望退職」と称する退職強要が広がっている。御用組合の屈服・協力で、KDDIや日立製作所などは〈定昇なし・解雇自由〉のジョブ型雇用を全社員に拡大し総非正規職化にかじを切った。全トヨタ労連(35万8千人)は評価制度による「定昇ゼロ」を認めたのに続き、衆院選では与党との連携に転じ、22春闘では一律賃上げ・定昇要求もやめた。これが岸田政権の「新しい資本主義」「3%超賃上げ」の正体であり、連合本部と一体の動きだ。
 しかし労働者の「生きさせろ!」の怒りは激しく燃え広がる。賃金も雇用も闘うことでしか守れない。階級的労働運動の出番だ。22春闘を反転攻勢の時としよう。先陣を切る闘いとして特区連賃闘を闘おう。
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