復興庁が「放射能汚染水安全」チラシ 子どもに配布するな

週刊『前進』04頁(3234号03面02)(2022/03/07)


復興庁が「放射能汚染水安全」チラシ
 子どもに配布するな

(写真 学校に送られた復興庁のチラシ)


 「トリチウムは健康に害がない」と教え込む教育が全国の小中高校でたくらまれている。昨年12月から今年1月にかけ全国の中学高校に、福島第一原発の汚染水は「心配ない」と書いた復興庁のチラシが送られた。小学校にも資源エネルギー庁の同様のチラシが送られた。福島第一原発の汚染水海洋放出のために、まず子どもにうそを教えこむ狙いだ。絶対に許せない。

配布の中止や回収を決定した学校も

 復興庁チラシで真っ先に目に飛び込んでくるのが、若い男性がトリチウム入りの水を飲んでいる場面のイラストだ。生徒たちに、視覚を通して「トリチウムは安全」と強く印象付けようとしているのだ。
 さらに、チラシは「ALPS(アルプス)処理水について知ってほしい3つのこと」という見出しを付け、言葉たくみにうそを連ねている。一つめに「トリチウム(三重水素)は身の回りにたくさんあります」という説明だ。〈自然界にも存在するから安全〉とごまかそうとしている。だが、自然界に存在することは決して「安全」を意味しない。自然界の放射性物質・放射線も危険なのだ。
 二つめの「トリチウムの健康への影響は心配ありません」「体内に入っても蓄積されず、水と一緒に排出されます」もうそだ。トリチウムはとくに有機物と結びつき有機結合型トリチウムとなって体内に入り、細胞・DNAを破壊する。
 三つめの「取り除けるものは徹底的に取り除き、大幅に薄めてから海に流します」もペテンだ。汚染水には除去できない、トリチウム以外の放射性物質が大量に含まれている。また、トリチウムはどんなに薄めても総量は変わらない。それが生物濃縮し魚貝類の体内に蓄積され、食べた人間を内部被曝させる。
 小学校に送られたチラシも同様に許せない。「人間が食べたり、飲んだりしても健康に問題のない安全な状態で処分されます」という文句と共に、食事をする男性のイラストが描かれている。「トリチウムは食べても飲んでも大丈夫」と植え付けようというのだ。
 これらのチラシに学校現場では「子どもにうそを教えていいのか」と批判が高まっている。東北の被災地を中心に児童・生徒への配布を中止する学校や、一度配布したチラシを回収する学校も出てきている。

「うそを教えるな」職場で声上げよう

 日帝・岸田政権が全国の小中高校にチラシを送り付けた意図はどこにあるか。何よりも、来春に狙っている福島第一原発の放射能汚染水放出を「正しい」とするためだ。そのために復興庁の職員が学校で授業を行うなどの動きも始まっている。昨年11月には東京の筑波大付属高校で復興庁の職員が「処理水の安全対策」などの授業を行った。今後首都圏で「継続して展開する」としている。
 もう一つの狙いは、日帝が核武装し、対中国の戦争(核戦争)に参戦するためだ。日帝はかつて明治以来「教育勅語」による教育で子ども時代に天皇制イデオロギーを植え付け、「天皇のために死ぬことが国民の名誉」として労働者農民を戦場に送った。これと同じように、子どもたちに「放射線は安全」と教え込み、「原爆保有が必要--核戦争参戦も必要」と植え付けていこうとしているのだ。さらには、労働者人民が守りぬいてきた「原爆反対・核戦争反対」の階級意識の解体まで狙っている。
 米帝・NATOとロシアの軍事的対峙がウクライナでの戦争に発展した。これを「渡りに船」と、元首相の安倍晋三を先頭に「アメリカとの核兵器の共同運用」を叫び始めた。絶対に阻止しなければならない。
 学校現場が攻防の焦点になった。教育労働者は誇りにかけ立ち上がろう。チラシを配布させるな。「放射線副読本」も撤回させよう。「教え子を再び戦場に送るな」と「子どもを被曝させるな」はひとつだ。「子どもにうそを教えていいのか」の訴えは教育労働者なら誰でも共感する。学校職場から「放射線安全教育絶対反対」「汚染水放出許すな」の声を上げよう。そのためにも3・11反原発福島行動に駆けつけよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加