女子学生から新入生に訴える 女性が人間として尊重される社会へ 差別の根源=資本主義をたおそう

週刊『前進』04頁(3237号03面02)(2022/03/28)


女子学生から新入生に訴える
 女性が人間として尊重される社会へ
 差別の根源=資本主義をたおそう

(写真 国際婦人デー渋谷デモ【3月6日】)

 昨年8月、小田急線の電車内で5人の女性を含む乗客10人が切りつけられた事件で、最も大きな被害を受けた女子大学生は背中を7カ所刺され重傷を負いました。犯人の男性は犯行の動機として「幸せそうな女性を見ると殺したいと思うようになった」と供述しました。新自由主義のもとでの女性差別の現実をまさに象徴する事件でした。
 私たち全学連はこの事件を受け、「差別・分断許さない」と掲げて全国4カ所で一斉スタンディング行動を行い、各地でたくさんの共感の声や飛び入り参加をかちとりました。昨年の全学連全国大会では「いかに差別による分断を乗り越えていくのか」をめぐって、集まった学生が真剣に議論を交わしました。いま「この社会を変えたい」と多くの女子学生が陸続と立ち上がっている中で、全学連自身が変わっていくという課題も大きく前進しています。私たちは、団結した力でこの社会を根底から変えることによってこそ、真に差別のない社会をつくることができると確信しています。新入生のみなさん、全学連と共に闘いましょう!

格差・貧困への怒りで新自由主義たおそう

 小田急線刺傷事件の加害者男性は、非正規職で仕事も続かず、生活保護を受けながら家賃2万5千円のアパートに暮らし、食品など生活必需品を万引きしながら生きていたと供述しています。このような格差社会・貧困への怒りが、権力者と社会体制に向かえば革命になることを、政治家や資本家たちは歴史からよく学んでいます。だからこそ怒りの矛先を民衆の内部に、もしくは国外に向けることが、彼らにとっては死活的課題なのです。女性差別は資本主義社会の中で、自然にではなく意識的・積極的に再生産されています。支配階級は、男性の怒りの矛先を、より弱い立場に置かれている女性に向けさせ、「男対女」という対立構造をつくりだし、分断しているのです。
 3月9日の韓国大統領選挙では、「女性家族省廃止」を公約に掲げるユンソンヨルが大統領に当選しました。フェミニズム運動の高揚と一体となった韓国の労働者人民の闘いはこれまで、韓国政府に女性の雇用を増やす政策を行わせるなど女性の権利拡大を実現してきました。ユン候補はこれを「男性に対する逆差別だ」と描いて徹底的に扇動し、20代男性を中心に支持を集めたと言われています。その背景には、ろうそく革命を通じて成立したムンジェイン政権が、「リベラル」「左翼」の顔をしながら実際には新自由主義政策を推し進めたことへの反発もありました。

女性への差別に社会矛盾が凝縮している

 しかし、現実に「逆差別」などということが起きているでしょうか。〈コロナ×大恐慌〉はこの社会の多くの矛盾を明るみに出しましたが、女性の置かれている状況はまさにその最たるものの一つです。2020年10月の日本の女性の自殺率は、前年比1・8倍にものぼりました。
 とくに雇用問題は深刻です。昨年2月の調査では、失業状態にある非正規雇用者の数は、男性43万人に対して女性は103万人でした。非正規雇用の割合は男性が約2割なのに対して、女性は5割以上です。国税庁民間給与実態統計調査によると、2020年の平均年収は正規職は496万円、非正規職は176万円ですが、正規職の男性は550万円に対して女性は384万円、非正規職の男性は228万円に対して女性は153万円と明確な男女差が存在しています。特にコロナによる経済的影響は女性を直撃しています。
 他方、労働力人口に占める女性の割合は1985年の39・7%(2367万人)から2019年には44・4%(3058万人)となり、「女性の社会進出」が進んだと言われますが、このことは女性が「産む役割」から解放されることを意味していません。
 女性抑圧の最も根源的な要因は私有財産制です。財産の発生以来、家族という単位で財産を継承していくために、女性は世継ぎのための「子産み道具」として扱われるようになりました。この本質は現在まで何も変わっていません。天皇家の世継ぎ問題が大きなニュースになることに象徴されるように、資本家や政治家もまた、親から子へ自らの社会的地位を引き継ぐことに重きを置いています。そして資本主義は常に一定数の労働力の再生産がなくては成り立ちません。少子高齢化の危機が叫ばれ、出生数を増やせと大宣伝されているのはそのためです。
 新自由主義のもとでの「ジェンダー平等」「女性活躍」といった美辞麗句は全くのペテンです。支配階級が女性に要求しているのは「結婚・出産しつつ安い労働力にもなってくれる女性」であることは、現実を見れば明らかです。
 他方で支配階級は、新自由主義に対する怒りを抑え込むために、一握りの女性を政治家や企業のトップなど支配階級の一員に取り込むことも進めています。性の抑圧に抗議する人々を「女性はいくらでもウソをつける」「(セクシャルマイノリティは)生産性がない」などと中傷する自民党議員の杉田水脈のような女性が、支配階級によって重用されています。このことが女性をますます分断します。そしてセクシャルマイノリティの人々に対する差別、資本主義的な経済合理性や家父長制的な家族制度・ジェンダー規範にそぐわない人々への差別は強固に維持されています。
 女性への差別を再編・強化しているのも、労働者の非正規職化を推し進めているのも、資本家階級という同じ敵です。そして、彼らによる分断支配と差別・排外主義の行き着く先が戦争です。戦争が性暴力や軍隊慰安婦といった最悪の女性差別を生み出すことは歴史や現在進行形で起きていることを見れば明らかです。ウクライナ戦争の中で難民となった女性たちが既に性犯罪や性産業に狙われていることが報道されています。差別をなくすことと、この支配を打ち破ることは一体の闘いであり、ここにしか真の女性解放はありえません。

闘う労働運動と学生運動を取りもどそう

 新自由主義は様々な分断や新たな形態の女性差別を生み出していますが、それと同時に、膨大な数の女性労働者を登場させ、これまで家庭に押し込まれてきた女性たちが自己解放の主体として社会に登場する条件を生み出しています。女性は差別されるままの「かわいそうな存在」でも、権力を持った人に温情を乞わなければ救われない人々でもありません。必要なことは、労働者階級として一つに団結すること、闘う労働運動・学生運動をよみがえらせることです。押し付けられたジェンダー(社会的な性)という抑圧を拒否し、誰かの妻、母親、娘としてではなく、女性が一人の人間として尊重される社会の実現のために、差別を再生産し続ける社会を根底から覆しましょう!
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