反戦貫き全国で狭山闘争 不当逮捕59ヵ年弾劾! 石川さんは無実だ

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週刊『前進』04頁(3246号03面02)(2022/05/30)


反戦貫き全国で狭山闘争
 不当逮捕59ヵ年弾劾!
 石川さんは無実だ


 不当逮捕から59年を迎えて石川一雄さんは、全国水平社創立100年の今年、「狭山の闘いを勝利してその1ページを飾りたかったが、残念、無念」と語り、真相究明へ「不屈に闘う」と5・23メッセージを発した。全国で5・23狭山闘争が日米首脳会談・クアッド会合粉砕闘争と一体で闘われた。(編集局)

東京高裁に要請行動
 下山鑑定人の尋問を行え

(写真 東京高裁前でのアピールは、各地で闘う仲間が大結集して力強く行われた【5月23日】)

 5月23日昼、全国水平同盟と部落解放東日本共闘会議が主催する東京高裁要請行動と裁判所前アピール行動が闘われ、行動終了後には午後2時からのクアッド会合粉砕のデモに合流しました。久原正子全国水平同盟委員長を先頭に、全国から40人が結集。全学連・赤嶺知晃委員長など多くの仲間が連帯のアピールを行い、全体で「東京高裁は下山鑑定の事実調べを行え! 全証拠を開示し、狭山再審を行え!」「石川一雄さんは無実だ!」と怒りのシュプレヒコールを上げて東京高裁を追及。再審棄却を許さない大行動としてやりぬきました。
 東京高等裁判所第4刑事部・大野勝則裁判長への要請行動は20人の要請団で行いました。不当逮捕59カ年を徹底弾劾し、下山鑑定の鑑定人尋問を激しく迫り、無実を訴える石川さんの本人尋問を要求した。水平同盟西郡支部、高槻支部、杉並支部をはじめ動労千葉など13通の要請書を提出しました。
 この要請行動の間も、裁判所前では全学連の仲間が霞が関一帯に響き渡るアピールを展開していました。ここに要請団も合流し、再審棄却を狙う東京高裁に怒りをたたきつけました。

東京
 狭山闘争の階級的意義を学習

(写真 東京で開かれた狭山集会【5月23日】)

 5月23日夕、全国水平同盟杉並支部と部落解放東日本共闘会議は、狭山第3次再審闘争の勝利にむけて狭山集会を開催しました。
 岸田政権のウクライナ戦争への参戦国家化と「台湾有事」を口実とした中国侵略戦争への突進という情勢のなかで切迫する東京高裁の再審棄却攻撃を粉砕すべく、会場の南部労政会館に60人の労働者、学生が集まりました。
 基調報告に立った田中れい子杉並支部長は、日米首脳会談・クアッド粉砕闘争のただ中で狭山闘争が戦争絶対反対の闘いとして貫かれていることを確認し、新自由主義の大崩壊は「戦争と革命」の時代への突入だと鮮明に提起しました。
 そして、59年前の石川さんの不当逮捕が、国家の部落差別による権力犯罪であることを、当時の捜査、起訴、一審死刑判決の過程全体の暴力性から暴きだしました。また、石川さんの二審冒頭での「俺はやっていない」という決起こそ狭山闘争の原点であり、部落解放運動の融和主義、行政依存主義をのりこえた闘いとして、国家による部落差別と闘い続けてきた狭山闘争の歴史的、階級的意義を語りました。
 さらに、更地化による部落解放運動根絶攻撃と闘い狭山闘争の先頭にたつ全国水平同盟とともに決起することを呼びかけました。
 水平社創立から100周年に当たって「水平社の闘いと戦争」と題し、近代史研究家の柏木俊秋さんが講演しました。柏木さんは、まず水平社創立100周年をどのように「記念」すべきかと問い、その生成、高揚、消滅の歴史をたどり、戦争協力に至った主体的根拠と歴史的背景を解き明かしました。水平社創立にかけた部落民自身の「自主解放」の変革の意志は、現代に継承されるべきだと語り、「戦争と革命」の時代の狭山闘争・部落解放闘争の役割を提起する講演でした。
 石川さんの5・23メッセージが紹介されました。石川さんは、「自白」を強要した不当な取り調べを弾劾し、「この悲哀、不条理、不正義が何時までも続く筈はない」「真相は必ず解明される」と不屈に闘う決意を述べ、鑑定人尋問の実現が最重要と訴えています。石川さんに応え、下山鑑定をはじめとした鑑定人尋問をなんとしてもかちとろうと決意を固めました。
 星野全国再審連絡会議、解放共闘、動労千葉、東京労組交流センター、全学連、水平同盟杉並支部から報告と決意表明。解放共闘の代表は5・4狭山現地調査を報告、動労千葉の中村仁副委員長は1047名不当解雇撤回闘争の決意を述べ、全学連の学生は石川さんの闘いが希望となって学生が陸続と狭山闘争に決起していると語りました。
 杉並支部の狩野正幸書記長は、鑑定人尋問の申し立てが「再審開始か棄却か」の決戦情勢そのものであり、最大の山場を迎えていると今秋狭山決戦への総決起を呼びかけました。
 最後に7月19日の東京高裁要請行動と裁判所前アピール行動への結集が訴えられました。
(全国水平同盟杉並支部・狩野正幸)

関西
 米総領事館に怒りのデモ行進

(写真 米総領事館前でシュプレヒコール【5月21日】)

 5月21日、全関西狭山闘争は、中之島女神像前に80人が結集、22日の日米首脳会談粉砕全国闘争と一体の闘いとして、集会・デモを闘いぬいた。
 集会は、木下浩平関西労組交流センター代表が司会を務めた。最初に発言に立った中川育子さんは「5月泉佐野市議選挙戦で闘う組織と運動を作る確信つかんだ。共に闘った人たちと6月懇談会を開く。戦争下、7月10日関空闘争へ総結集しよう」と訴えた。
 基調報告を行った久原正子全国水平同盟委員長は「新たな戦争攻撃として狭山第3次再審請求の棄却情勢が切迫している。下山鑑定を武器に反戦闘争と一体で狭山闘争の職場、地域からの総決起をかちとろう」と訴えた。石川一雄さんの5・23メッセージが紹介され、その怒りと決意に、参加者は第3次再審勝利をかちとる決意を固めた。
 全国水平同盟高槻支部の曽我勝宣支部長は「狭山裁判に決着をつけるのは裁判官ではなく、ぼくらの闘いだ。高槻でも住宅をめぐる新たな住民の決起をかちとる」と決意を語り、西郡支部の佃文弘書記長は「戦争と差別・分断をあおる維新や共産党を打倒しよう。石川さんの怒りと青年の決起を結びつけ、狭山を勝利させよう」と訴えた。直ちに大阪駅前までのデモに決起。途中の米総領事館前では「日米首脳会議粉砕! クアッド戦争会議粉砕!」の怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。

広島
 岸田のG7被爆地開催に怒り

(写真 広島で開かれた狭山集会【5月23日】)


 5月23日、部落解放広島共闘会議は広島市西区福島町の「いきいきプラザ」で25人の仲間が結集して狭山集会を開催しました。同日の東京高裁要請行動とも一体であることを確認し、日米首脳会談とクアッド会合、特に岸田のG7サミット広島開催に怒りを燃やしてかちとりました。
 冒頭、司会の広島解放共闘議長の壹貫田康博さんから、前日の東京での集会とデモの報告がありました。石川一雄さんのビデオメッセージ上映と5・23メッセージの代読の後、広島解放共闘事務局から「世界戦争を阻止しよう!水平社100年と狭山闘争」というテーマで基調報告がありました。ロシア革命と前後して結成され、階級的な部落解放闘争を訴えた「水平社宣言」と水平社の闘い。しかし、水平社はわずか10年余りの間に侵略戦争翼賛勢力へと転落しました。これをのりこえて世界戦争阻止へ闘っている全国水平同盟の存在と闘いの意義を確認しました。階級的労働運動と一体で狭山闘争・部落解放闘争を闘おう、という提起に圧倒的な支持が寄せられました。
 広島地方郵便局部落解放研究会からの活動報告と狭山闘争を闘う決意に熱い拍手が送られ、広島連帯ユニオンや婦人民主クラブ全国協議会広島支部からも連帯のアピールがありました。最後に全員で「団結ガンバロー」を三唱し、集会を締めくくりました。
(部落解放広島共闘会議・奥村毅)

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狭山差別裁判
 部落差別による国家犯罪
 1963年5月1日、埼玉県狭山市で女子高校生が行方不明になり、身代金を取りに来た犯人を警察が取り逃がし、4日に遺体で発見された。3月の吉展ちゃん事件に次ぐ営利誘拐殺人事件であり、60年安保闘争への治安弾圧も続く中、人民の怒りは国家権力に向けられた。
 参院本会議で警察のミスを追及された篠田国家公安委員長は「何としても生きた犯人を捕まえる」と発言。警察は、はじめから部落民を犯人にでっち上げる意図をもって、狭山市内の被差別部落に捜査を集中させた。「1週間にわたって、部落と外界との交通が遮断されて、警察がほとんど軒下に立ち並んで、それに報道班が入って......やっている」(6月23日、衆院法務委員会での田中織之進議員の質問)。
 5月23日、石川一雄さん(当時24歳)が別件で不当逮捕される。無実を訴えるが、1カ月にわたり警察の留置場(代用監獄)で取り調べが行われ、石川さんは「自白」を強要される。6月26日に「被害者の万年筆」が石川さん宅のかもいから「発見」される。
 7月9日に起訴、翌64年3月に浦和地裁が死刑判決。同年9月、東京高裁で開かれた控訴審の冒頭、石川さんは「俺はやっていない!」と叫び、無実・無罪を訴えた。
 69年11月14日、部落青年による浦和地裁占拠闘争を機に部落解放同盟、学生、青年労働者から裁判支援が広がる。74年9月26日には日比谷公園に11万人が集まり、東京高裁を包囲する大デモが闘いぬかれた。
 しかし10月31日、東京高裁・寺尾裁判長が無期懲役の有罪判決を下す。77年8月9日、上告棄却。
 石川さんは下獄後も千葉刑務所で再審闘争を続け、1994年12月に31年7カ月ぶりに仮出獄。今も国家の部落差別と闘い続けている。

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