星野さん獄死3年 全国集会 反戦貫き国賠勝利へ

週刊『前進』04頁(3247号04面01)(2022/06/06)


星野さん獄死3年 全国集会
 反戦貫き国賠勝利へ

(写真 星野文昭さんの遺影が掲げられ、国賠裁判を弁護団が報告。左から岩井弁護士、藤田弁護士、土田弁護士【5月29日】)

 「星野文昭さん獄死3年 星野国賠訴訟に勝利し人間らしく生きられる社会を5・29全国集会」が東京・目黒区で開かれた。全国から310人が集まり、深まる戦争情勢と対決し、星野国賠闘争に勝利しようと誓い合った。
 主催者あいさつに立った星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議共同代表の狩野満男さんは、5月の激闘を振り返り、70年安保・沖縄闘争を継承した星野闘争について「戦争・改憲阻止の闘いが星野闘争の力であり、星野闘争の力を戦争・改憲阻止の力として発展させよう」と訴えた。
 狩野さんは、星野闘争の課題について「何より星野さんの獄死の真相を明らかにし責任を追及する国家賠償請求に勝利する闘いである」と語り、獄中44年を不屈に闘った星野さんの闘いが、反弾圧・救援闘争として「階級性と大衆性を開花させた」と総括。この反弾圧・救援闘争の地平から秋から始まる大坂裁判闘争を闘おうと呼びかけた。
 星野国賠勝利!全国運動呼びかけ人の福島尚文さん、船木明貴さん、三浦正子さんが、それぞれ反戦闘争と一体のものとして星野闘争を闘う決意を語った。

裁判が重大局面に

 弁護団が重大な局面を迎えた国賠裁判を報告した。
 岩井信弁護士は、12月までに原告が提出した3人の医師の意見書に対し被告・国が反論できずにいることに対し裁判所から次回8月の弁論期日までに「反論の医師の意見書を作成するのか、しないのか」を迫るファックスが届いたと報告。さらに弁護団が求釈明で、2019年3月1日に行った星野さんの腹部エコー検査の結果(腫瘍が判明)を徳島刑務所はこれまで「時期尚早と判断して告知しなかった」と言っていたが、準備書面(8)では逆に「3月1日に告知した」と回答。「これはうそだ」と、星野さんが3月5日付の星野暁子さんあての手紙で「エコー検査の結果は聞いていない」と書いていることを明らかにした。
 土田元哉弁護士は、5月28日の手術後、血圧が64まで低下した時点で術後出血を疑い、腹部を超音波で調べることもせず、再開腹―止血術を行わなかったことは「救命される機会を奪ったのであり重大である」と肝臓外科専門医が意見書で指摘したことに対し、「国は『再開腹の必要があったとは言えない』『保存的経過観察をしていた』と言うが、この間、刑務官が巡回しただけであり、医療放置だ」と弾劾した。
 大坂裁判の弁護人でもある藤田城治弁護士は、大坂裁判が3月に裁判員裁判から除外されたことを報告し、「裁判員に危害が及ぶおそれ」などと言っているが、実際には「50年前の調書で裁けるのか」ということだと、今秋本番を迎える大坂裁判の支援を訴えた。
 後半は、沖縄の金城幸男さんのビデオメッセージで始まり、東京拘置所の大坂正明さんのメッセージが読み上げられた(別掲)。

刑務所医療の実態

 「刑務所医療の危険な局面と星野国賠訴訟」と題し龍谷大学法学部の赤池一将教授が講演した。
 日本では「刑務所の医療目的は、刑の執行のため」とされ「本人の権利保障のためにやっているわけではない」という刑務所医療の根本問題を明らかにした。検査結果すらも本人の医療情報ではなく、「いや、本人の紙ではないですから。要は、施設が出した検査結果ですから……だから施設長のものなのです」と平然と言われていると指摘。
 しかし昨年6月15日、最高裁が、東拘が被収容者(未決)にカルテ開示をしなかった件で「開示せよ」という画期的な判決を出した。この判決の意義を語った赤池さんは、「『刑事施設の中だから仕方がない』のではなく、できないなら転医義務があり、医者を変えるべきだ。医療訴訟であり、国賠訴訟として、『刑の執行のため』という逃げ道をふさぐ必要がある。困難であるが風向きは悪くない。支援の中で弁護士が十分な活動ができるようにしてほしい」と参加者の奮闘を呼びかけた。

獄中者の命を守れ

 獄中医療との闘いについて、大坂さん救援会の小泉義秀事務局長、横浜刑務所の須賀武敏さんの「刑の執行停止」を求める十亀弘史さんが発言した。大坂さんは鼻にポリープができて呼吸が困難な状態だが、治療もせず、放置されている。須賀さんはすでに歩行が困難となり、放置すれば歩けなくなる。二人は無実の大坂さん、須賀さんの即時解放を訴えた。
 全国の星野救援会を代表し、5月に結成された関西連絡会の吾郷春代さんが、11・14闘争のように実力闘争に決起する時だと強調し、福島取り戻す会の長沢宏さんが、3・11反原発福島行動を福島で開催し、岸田を弾劾したと意気高く決意を語った。
 家族の星野暁子さんは、5・15沖縄闘争と、スクラムデモで闘った5・22闘争に参加し「実力闘争の復権の中に文昭の闘いが青年に引き継がれていることを実感した」と語り、「一人の政治犯の死の真相を暴き、私が星野だという巨万の沖縄闘争の隊列を登場させましょう。戦争を阻止するためには、自国の岸田政権を倒しましょう」と呼びかけた。
 最後に事務局の神藤猛雄さんが「人間が人間らしく生きられる社会をつくるため共に闘いましょう」と締めくくった。戦争と革命の時代の救援運動、沖縄と連帯し、戦争を阻止する星野闘争が力強い展望を示す全国集会となった。
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