反帝・反スターリン主義とは何か 8回大会決定を全力で実践しプロレタリア世界革命勝利へ 革命的共産主義者同盟書記長 秋月丈志

週刊『前進』04頁(3248号03面01)(2022/06/13)


反帝・反スターリン主義とは何か
 8回大会決定を全力で実践しプロレタリア世界革命勝利へ
 革命的共産主義者同盟書記長 秋月丈志

(写真 日本の階級的な闘いを世界に知らしめた5月22日の大反戦デモ【東京・港区】)


 戦後体制の最後的な崩壊がついに現実の戦争、世界戦争・核戦争に転化し始めた決定的瞬間において、革共同は第8回全国大会を開催しました。大会でわれわれは、ウクライナで始まった戦争を、新自由主義大崩壊―コロナ×大恐慌にまで至った最末期帝国主義の危機の爆発、この30年崩壊に崩壊を重ねてきた帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の最後的な崩壊、その世界戦争への転化の開始としてとらえました。
 このようにとらえているのは、反帝国主義・反スターリン主義の党としての革共同だけです。そして、この第3次世界大戦の破局から人類を救い出すことができるのは反帝・反スターリン主義世界革命だけであることを確認し、反戦闘争を軸とする階級的労働運動の断固たる推進をもってそれを実行するのだということを「党大会の決定」としました。まさに今、既存のあらゆる勢力が戦争翼賛勢力と化す「第2インター崩壊」情勢の中で、このような転向を拒否してボリシェビキ以来の挑戦に打って出ることを決定したのです。
 反帝・反スターリン主義は今こそ大衆に通じるスローガンです。帝国主義とスターリン主義を根底から打倒して全世界に労働者権力を打ち立てる----それだけが戦争を真になくす道だということをストレートに訴えれば本当に通じる時代です。今あらためて「反帝・反スターリン主義とは何か」ということを再確認し、全党が再武装することが求められています。
 そこで今期党学校の第1回は、革共同の創設者である本多延嘉元書記長の講演録「反帝・反スターリン主義とは何か」を取り上げました。これは、本多同志が1972年7月の全学連定期全国大会で約3時間にわたって行った記念講演ですが、今回はその最も核心的な部分を中心に見ていきたいと思います。(以下、引用は特記ない限り前進社刊『本多延嘉著作選』第6巻所収の講演録から)

⑴現代世界の根底的変革をめざす党の綱領的な立脚点

 本多同志はまず、一般的規定として、反帝・反スターリン主義とは「現代世界の根底的変革にかかわる綱領的な立脚点である。あるいは現代におけるプロレタリア革命の基本的戦略である」と確認しています。それは論理的な構成として考えた場合、次の二つの要素の結合として与えられている。
 一つは「現代の世界構造、それを規定している階級関係、この総体に対する正しい総体的認識をもつこと」、つまり1917年ロシア革命をもって〈帝国主義から社会主義への世界史的過渡期〉が始まったが、スターリン主義の発生によってそれがゆがめられ、そのことによって帝国主義が延命している、そのような現代世界の総体を認識するということがまず土台としてあります。それともう一つは「マルクスの世界革命論とそれにもとづく国際共産主義運動の現代的な貫徹という問題」です。この二つの要素を正しく結合するところから、今日における革命の基本的姿として反帝・反スターリン主義世界革命戦略がはっきりしてくるということです。
 現代世界の総体的認識ということでは、次の三つの時代的性格を踏まえることがその土台にあります。①世界革命の過渡期が、スターリン主義の裏切りによって反動的に固定化され、帝国主義とスターリン主義による世界分割支配体制へと変容していること。②「帝国主義とスターリン主義の世界体制の危機の時代」。つまり戦後体制は何ら安定的なものではなく「帝国主義の巨大な矛盾が次々と爆発し、それがスターリン主義をまきこみ、スターリン主義の歴史的な破産と無力性を次々と暴き出して、今日の世界体制の崩壊を統一的に進行させている時代」であるということ。本多同志は72年の時点でそう語っていますが、まさにそのようにして20年後にはソ連が崩壊し、また今もそのようにして戦後世界体制の崩壊が進んでいるのです。そして③「プロレタリアート人民の世界史的決起の開始の時代」。スターリン主義が階級闘争をゆがめているにもかかわらず、プロレタリアート人民は立ち上がらざるを得ないし、現代世界の矛盾の根本的解決を求めて前進を開始しているということです。
 反帝・反スターリン主義とは、このような時代において、マルクス主義の人間解放=プロレタリア自己解放の原理を今日の世界史的現実の中で実践的に貫く綱領として与えられているのです。

資本主義の特殊歴史的性格と共産主義の原理

 原理的・普遍的なものを今日の現実の中で実践的に貫くということですが、「プロレタリア革命の原理的な構造」といった場合、そもそも「共産主義とは何か」ということをはっきりさせ、その原理を貫くということがまず最初に確認されなければならない。本多同志は、この共産主義の原理について以下の5点に整理しています。
 第一に、まずもって資本主義社会の認識をはっきりと踏まえなければならないということです。それでは資本主義社会の基本的特徴、その特殊歴史的性格とは何か。それは「労働力という人間の社会を成立させているもっとも基本的な力、基本的な能力が、つまり人間生活のもっとも根底をなす力が......資本家階級の利潤増殖の目的の手段としてあらわれてきている。......労働力の商品化という事態を基本的な基礎にして、この基礎のうえに全社会的な経済的物質的諸過程が進行し、編成されている社会が資本主義社会の基本的な姿である」ということです。
 そして同時に「資本主義社会の基本的な特殊性というのは、そのような労働力の商品化ということの基礎のうえにたって、ただたんにそれだけではなしに、このような矛盾の価値法則的な展開をとおしてそれが資本主義としての独自な一社会をなす」ということが確認されています。労働力の商品化の基礎のうえに、「資本主義が資本主義なりのやり方をもって社会をなりたたせている、このなりたたせている根拠を科学的に解き明かすことによって、逆にこの社会を打ち倒して、そうして新しい共産主義社会をつくりだすことができる、そういう問題に発展することができるという弁証法的な関係」にあるということです。
 第二に、「資本主義社会の基本的な矛盾の基礎のうえにたって展開されているこんにちの階級闘争」こそ、共産主義社会を実現していく闘いの前提条件だということですが、同時におさえておかなければならないのは、「ブルジョア社会における階級闘争の即自的な発展をとおして共産主義が与えられるものでは断じてない」ということです。「階級闘争を基礎にして、この関係を根本的に変革」するプロレタリア独裁を通してのみ共産主義は実現される。「プロレタリアートがブルジョアジーのもっている手段、資本をとりあげて自分たちの社会をつくりあげていく、そのような革命的な飛躍をとおして共産主義が実現される」のです。われわれは、経済主義者のように「プロレタリア独裁をめざす闘争をプロレタリアートの経済闘争のしっぽに結びつけて、このような経済闘争の発展のなかでそれを政治化していく」のではなく、常に「プロレタリア独裁にむかっての革命的な闘争を準備していく」ものとして闘いを設定しなければならないのです。
 第三に、したがって共産主義とは①プロレタリアートによる資本の積極的な止揚の過程であり、②プロレタリアートの自己解放が同時に人間の全人間的な解放となり、③そしてそれは世界史的普遍性において実現されるということ----この三つの点を、共産主義の内実を問うものとして考えねばならないということです。

プロレタリア自己解放と共産主義者の役割

 第四に、「革命のこのような事業はけっして平々坦々たる過程としておこなわれるものではない」「われわれの革命の事業を妨害するいっさいの妨害物を革命的手段をもって除去すること、そしてこのようなたたかいをとおしてわれわれは自分を解放する能力をかちとっていく」ということです。革命とは、プロレタリアート人民が自分自身を解放する能力をつくりだす過程であり、新しい社会をつくっていく力を真に獲得していく過程にほかならないのです。
 第五に、この中で共産主義者はどういう役割を果たすのか。それは、以上に述べたような「プロレタリア革命の内実的な論理構成」を「プロレタリアートの内部にあって終始一貫して思想的、組織的、実践的に貫き通す」ということです。つまり共産主義者とは、「現在の社会の矛盾にたいする根本的な認識者であると同時に、その根本的な認識にもとづいてたえずそれを実践に結びつけていく、その解決に結びつけていく、そういう統一体」としてあるのです。そして、そのような実践は「個」としてはできない。組織的実践者、組織=党の一員として闘う者だけが「共産主義者としての栄誉と苦しみをともに味わうことができる」のです。

⑵崩壊する戦後世界体制と新たな革命の時代の始まり

 次に、以上のような共産主義の原理を根底に据えつつ、現代における革命の基本的な構造はどうなるのか。まずもってはっきりさせなければならないのは、今日の現代世界が基本的につぎのような諸要素の基礎の上に成り立っているということです。
 第一に、帝国主義の基本的な世界支配がまだ打ち破られておらず、世界の生産力の主要な部分が帝国主義者の手に握られている。したがって今日の世界においても、依然として帝国主義的な矛盾が最も主要な矛盾の爆発形態をなしているということです。第二に、このような帝国主義を打倒するプロレタリアートの世界革命が17年ロシア革命をもって開始され、帝国主義から社会主義に向かっての世界史的な過渡期が始まっていること。第三に、この革命の過程がスターリン主義者によって「一国社会主義理論と平和共存政策」の方向に変容させられていること。第四に、こうして大きな危機を抱えつつも延命した帝国主義が、アメリカ帝国主義を中心とする戦後世界体制という形で再編され、それによってまがりなりにも世界支配を維持してきたということ。そして第五に、この帝国主義とスターリン主義の両者による世界支配が、今や崩壊的危機にむかって巨大な変動を開始しつつある。世界革命への巨大な「大河の流れ」を帝国主義とスターリン主義が必死になって堰(せ)き止めてきたのが戦後という時代だったわけですが、どんなに堰き止めてもそこからあふれだす闘いが始まっているということです。
 このように、現代世界を〈段階・過渡・変容・再編・危機〉という五つの指標においてとらえたときにはじめて、われわれは現代世界の世界史的な性格を正しくよみとり、その崩壊の方向を正しくつかみとり、そしてこれを世界的な革命の勝利の方向へ、プロレタリア革命の勝利に向かって発展させていくことができるのです。
 帝国主義は、29年大恐慌と世界経済のブロック化という形で矛盾を爆発させ、第2次大戦を引き起こしたのち、米帝の圧倒的な経済力・政治力・軍事力を基礎にして戦後世界体制をつくりあげた。しかしそれは、基軸国=米帝の没落によって矛盾を爆発させ、崩壊に向かわざるを得ない。「帝国主義の矛盾の爆発がこんにちにおける戦後世界体制の矛盾の爆発のもっとも基本的な導火線をなしている」ということ、したがってわれわれの闘いはまずもって帝国主義の矛盾、これとの対決だということは第一におさえておきたい。

スターリン主義の発生と成立の歴史的根拠

 その上で、次にスターリン主義をどう把握するかという問題ですが、本多同志は次のように強調しています。
 「1917年のロシア革命によって世界革命の過渡期が開始されたにもかかわらず、帝国主義の基本的な部分において革命が進行しない。その結果としてその過渡期の時代が一国的に孤立させられるという世界史的な条件、一時的に孤立させられるというこの歴史的条件のうえに、いわばこの歴史的条件を一国社会主義の理論と平和共存の政策の方向に固定化するという努力としてスターリン主義というものが登場してきたという歴史的な関係、つまりスターリン主義の発生の歴史的な根拠とその理論的な根拠、それのもっている国家的な特色というものをはっきりととらえる必要がある」
 こういうものとしてスターリン主義は発生・成立したわけですが、強調しておきたいのは、ロシア革命のスターリン主義的変質は決して歴史的必然ではなかったということです。この点は革共同の第3回大会(66年)で決定的に確認した重要な点です。
 まず押さえるべきことは、スターリン派対トロツキー派(ボリシェビキ内左翼反対派)の党内闘争に歴史の帰趨(きすう)がかかっていたということです。過渡期建設とは、プロレタリアートがブルジョアジーを放逐し権力を握っているなかで進められる。それは労働者階級が政治と経済を社会主義に向かって自分で回していく、主体的に歴史をつくる段階に入っているということです。それが世界史的過渡期の時代的本質であり、まさに「必然の国から自由の国への飛躍」(エンゲルス)の始まりなのです。そこにおいて、労働者階級とその先頭に立っている党がどういう路線をとるか、どういう主体的選択をするかということをめぐって党内闘争が闘われ、そこでスターリン(派)が勝利したことによって「スターリン主義的な世界」が一時的にせよつくり出されてしまうことになった。トロツキー派が勝利していたらまったく別の歴史が始まっていたのです。
 すなわち革命党・指導部・階級の一つひとつの決断、主体的選択で歴史が決まるということです。レーニンの決断は常に労働者階級・国際プロレタリアートに対する絶対的信頼の上に立っていました。だがトロツキーはスターリンとの党内闘争の決定的局面において「プロレタリアートは疲れている」と言って日和見主義的に逃亡し、党指導部としての自らの逃亡を合理化したのです。
 加えて確認しておきたいことは、レーニン主義党組織論にスターリン主義の原因を求める論についてです。本多同志は論文「レーニン主義の継承か、レーニン主義の解体か」(著作選第1巻所収)の中で、このようなブルジョア社会学的定式とは正反対に「スターリンの一国社会主義理論がソ連共産党で勝利することによって生じた歴史的現実のうちに、たとえ裏がえしされた表現であれ、世界史的転形期における党のもつ意義を積極的に確認していかねばならない」と述べています。やはり党が決定的なのだということ、党が断固として世界革命の勝利に向かって進むことを決断すれば、歴史は変わるということです。

⑶世界戦争の危機を革命に転化する強大な党の建設を

 階級闘争の高揚と危機、そこにおける党の役割について、本多同志は、「階級闘争の偉大な高まりの時代にむかって時代が大きく前進していくからこそ、国家権力も反革命勢力もこれをおしとどめんとしてさまざまな反動的攻撃を加えてくる」「偉大な闘争の高まりの時代がくればくるほど、われわれはそのような高まりをほんとうに革命に転化するための、革命党の建設の問題について真剣に取り組まないといけない」と強調しています。
 このような「党のための闘争」という場合、まずもって確認すべきことは、そもそも党の目的はプロレタリア独裁権力の樹立にあるということです。「資本主義社会におけるブルジョアジーとプロレタリアートの階級闘争を基礎にしながら、さらにこの関係を直接的に反映するのではなしに、このブルジョアジーとプロレタリアートの階級闘争を基礎として、このブルジョア権力を打倒し、プロレタリア独裁権力を樹立し、これをテコとして共産主義社会を建設するというこのプロレタリアートの自己解放の観点を目的意識的につらぬくものとして、プロレタリア政党というものは登場し......発展していく」。ここにプロレタリア政党の独自性があるのです。
 このような革命党は「権力あるいは反革命との政治的・軍事的対峙(たいじ)を前提とし、そのような対峙の発展から建設される」以外にない。党のあり方としても「人民の内部において独自の思想、独自の活動の系列を......革命をなしとげるという目的意識性、プロレタリア権力を準備していくというわれわれ自身の直接的な目的に沿うものとして、ありとあらゆる形態がわれわれ自身の手によってつくりだされなければならない」。こうした党の闘い、党の活動を通して「いままで支配され、しいたげられ、抑圧されてきたところのプロレタリアートや人民が、文字どおり歴史を動かす能力、民衆を指導する能力、プロレタリアートが抑圧階級を独裁する能力、こういう人民の指導の能力、独裁の能力、自己解放の能力を文字どおり訓練する」のです。
 このような党の建設・発展のためには何が必要か。本多同志は4点にわたり提起しています。①まずは正しい革命の理論、レーニンの言葉を借りて言えば「革命的な理論なくして革命的な実践はありえない」ということです。次に、②党の団結を現実に保持していく力は何かといえば、第一には、メンバー(党員)の一人ひとりが共産主義的な自覚に立脚し、自己犠牲の精神にたって闘うこと。第二には、プロレタリア階級のみならずあらゆる人民の内部に分け入ってこの人たちを革命に組織する、そのような能力を党と党員一人ひとりが獲得していくこと。第三に、日々の階級闘争を指導していく正しい方針、正しい戦略・戦術、これを絶えずうち固めながら進んでいくことです。そして③徹底した民主主義的中央集権制を貫くこと。④党のための闘争の独自の領域として、どんなに困難でも組織を維持すること、組織を拡大・強化すること、すぐれた指導能力をもった革命党の幹部をつくりださなければならないことが強調されています。
 最後に本多同志は、「党としての闘争をたたかいぬきながら、党の建設のための闘争をおしすすめていく」ことを、結論として確認しています。偉大な闘争の高揚の時代における革命党建設とは、このような形をとる以外にないということです。
 戦後世界体制の最後的崩壊が世界戦争へと転化しつつある今、われわれはこれをなんとしても世界革命の勝利へ転化しなければならない。本多同志の提起に学び、党として必要な飛躍を共に成し遂げていきましょう。

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