医療労働者の戦争動員を許さない 命を守る医療福祉の現場から社会を変え戦争とめる闘いを

週刊『前進』04頁(3262号02面03)(2022/09/26)


医療労働者の戦争動員を許さない
 命を守る医療福祉の現場から社会を変え戦争とめる闘いを

(写真 7月1日、都立病院の独法化強行に対して闘争継続を宣言)

 日本帝国主義の総力を挙げて中国侵略戦争に乗り出した岸田政権は、戦時医療化・医療の戦争動員を狙っている。医療福祉現場から戦争を阻止する闘いに打って出る時だ。安倍国葬阻止闘争に続き、全国の医療・介護・福祉労働者は11・6集会に結集しよう。

コロナも戦争も元凶は資本主義

 この8月だけで新型コロナウイルスによる死者が7千人、関連死が1万4千人を超え、トリアージ(命の選別)が当たり前のように語られるなか、岸田は感染者の全数把握見直しと療養期間の短縮を打ち出した。
 「医療体制逼迫(ひっぱく)の緩和」など口実にすぎない。現に医療体制が破綻しているのをよいことに、今後は高齢者や基礎疾患がある者以外は自己責任で何とかしろとするものだ。「棄民政策」が一線を越えて進もうとしている。
 これは単なる医療崩壊などではない。戦時下で国家権力が労働者人民の命を選別し、医療を戦争の道具へと180度転換させる攻撃がかけられているのだ。岸田は「骨太の方針2022」で「新たな国家安全保障戦略の検討を加速し、防衛力を5年以内に抜本的に強化する」とする一方、2024年からの健康保険証の廃止・マイナンバーカードとの一体化実施、「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部」設置による社会保障の全面解体へと動き出した。
 感染症のパンデミックも戦争も、すべて資本主義が生み出したものだ。資本主義のもとで一握りの資本家階級が世界の富と権力を独占し、環境破壊・気候変動で感染症を広げ、世界中で戦争を繰り返してきた。
 資本主義のもとでは命さえ階級的だ。コロナ死者が100万人を超えたアメリカでは、黒人とヒスパニックの死者は白人の2倍に達する。貧困、格差、差別が多くの人々を殺している。日本でもコロナの死者数は大阪が全国ワースト1位で2位の東京の1・8倍、全国平均の2倍だ(8月末段階)。府立・市立病院のほとんどを地方独立行政法人化し、保健所と看護学校を激減させてきた維新政治の責任だ。都立病院の独法化によって、こうした事態を繰り返させてはならない。今こそ戦争の元凶である資本主義を打倒し、医療・介護・福祉を労働者人民のもとに取り戻そう。

「医療と戦争はあいいれない」

 新型コロナ第7波、そして米日帝の中国侵略戦争が開始されるなか、医療福祉産別で闘う仲間は「クラスターで職場が回らない」「いつ感染するか分からない」「患者や利用者の命を守れるのか?」という緊迫した現実に日々立ち向かいながら、時代認識で一致し、職場で資本と闘い、安倍国葬粉砕の先頭に立ち、反戦闘争を軸とする階級的労働運動を貫いてきた。
 8・6ヒロシマ大行動の前日に広島でかちとられた医療福祉の産別集会は、日々、命と向き合う医療福祉労働者こそが中国侵略戦争阻止の反戦闘争を切り開く先頭に立つという明確な問題意識のもとに構想され、大成功を収めた。
 東京における都立病院独法化反対の闘い。関西における、「発熱外来は医療の最前線」の闘いを貫く八尾北医療センター労組と「命を守るストライキ」を闘いぬいた高槻医療福祉労組を中心とした6・19地域医療交流集会の取り組み。地元広島で、コロナ情勢下で矛盾の集中する女性労働者が直面する課題を組合と地区党全体の問題として位置づけて闘った報告——。すべての報告と発言を通して、地域医療交流会が生み出した「医療と戦争はあいいれない」というスローガンを、全国の医療福祉労働者の共通のスローガンとして確立したのである。

都立病院独法化は戦時医療化だ

 都立病院独法化反対の闘いは、路線的に闘いぬいたことで独法化に負けない闘争の永続化と地域拠点形成の確かな展望を切り開いている。2年にわたる「都立病院をつぶすな!」署名運動は、7月1日までに8回に及ぶ都庁申し入れ行動を行い、総計1万7805筆の署名提出を実現。あわせて都庁包囲デモと都立病院近隣での集会・デモを数波にわたりかちとってきた。
 20年7月に千葉県の船橋二和病院労組がコロナ下の医療破壊に対して「医療を社会保障として取り戻す」を掲げストライキで闘ったことから学んだ教訓は大きい。職場における資本との非和解的闘いと一体で「都立病院つぶすな」と地域で訴え、署名運動の広がりとともに、労働組合と地域住民、患者・家族との団結を形成・拡大してきた。
 決定的なのは都立病院独法化の本質を戦時医療への大転換と捉えきったことだ。法人の定款(ていかん)には戦時動員を念頭に、知事の求めに応じて「災害及び公衆衛生上の緊急事態等に対処するために必要な業務を行う」とある。さらに岸田政権は新たな感染症の拡大に備えるためとして民間病院を含めた医療機関への指揮権強化に乗り出した。指示に従わない場合は罰を科すという。
 また厚生労働省は医師や看護師、薬剤師などの職種を超えて仕事を分担する「タスクシェア」や、医師の仕事の一部を看護師に任せる「タスクシフト」推進を狙っている。戦時医療への転換は、医療福祉現場で命を守るためにあった既存の規制・ルールをすべて破壊することに行き着く。

階級的労働運動貫き11・6集会へ

 都立病院独法化は、JRにおける国土交通省「検討会」路線に象徴される、戦時下での国家大改造計画の一環としてある。
 都直営の都立病院を全廃し、独立採算を目標に法人による民間運営が行われ、5年ごとの業績評価に基づき病院の廃止(大阪市立住吉市民病院は独法移行の4年後に廃止された)や売却も可能となる。しかも都立病院独法化では7千人の労働者から公務員身分を剝奪(はくだつ)しておきながら、「公務員」のように知事の命令で有事=戦時動員を強制できる仕組みになっている。独法化=民営化だが、民営化より悪らつな戦時医療化攻撃なのだ。
 医療福祉労働者は今こそ動労千葉のように「戦争協力拒否宣言」を発して闘おう。「都立病院独法化に反対!労働者と地域の力で都直営にもどそう」を掲げる10・16集会&デモの大高揚をかちとり、11・6労働者集会に、戦争に反対し命を守る医療福祉労働者の大隊列を登場させよう。
 〔革共同医療福祉 労働者委員会〕
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