土地利用規制法の施行弾劾 反基地闘争弾圧の治安立法許すな

週刊『前進』04頁(3264号03面02)(2022/10/10)


土地利用規制法の施行弾劾
 反基地闘争弾圧の治安立法許すな


 9月20日、「土地利用規制法」が全面施行された。自衛隊や在日米軍の基地、国境近くの離島、原発、空港や港湾などの重要インフラといった「安全保障上の観点から重要な場所」の周囲1㌔メートルを「注視区域」とし、その区域内の住民を監視・調査し、政府の判断で土地利用停止を命令、従わなければ刑事罰まで科すという、まさに反戦運動への監視・弾圧のための法律だ。その最大の焦点は中国侵略戦争の戦場となる南西諸島、とりわけ沖縄の反戦・反基地闘争だ。
 同法の審議は当初、「外国資本による土地買収とそれによる重要施設機能の妨害」を口実としていた(これ自体排外主義だ!)が、そのような妨害の実例は存在しないことが国会審議の過程でも判明した。始めから治安弾圧を目的としていることは明らかだ。

周辺住民を監視し思想・信条も調査

 土地利用規制法は、指定された土地の利用状況だけでなく、所有者の国籍や思想・信条などの個人情報まで調査する権限を政府に与える。そして施設の機能を「阻害する行為」に対して中止勧告・命令を出せる。さらに、「注視区域」の中でも司令部機能を持つ施設や国境離島は「特別注視区域」に指定し、200平方㍍以上の土地売買には事前届け出を義務付ける。命令に応じなければ刑事罰(2年以下の懲役か200万円以下の罰金)を科すことができるが、その適用対象は直接に政権が決めるのである。政府の一存で土地利用を規制できるというあり方は、むき出しの戦争遂行体制構築の一環であり、絶対に許すことはできない。
 9月16日に制定された運用についての基本方針では、「阻害行為」には「妨害電波の発射」「自衛隊機等の離着陸を妨害する工作物の設置」など7例が示されているが、同時に「安全保障をめぐる内外情勢の変化、技術の進歩、法の運用状況等を踏まえ、適時に見直しを行う」とも明記されている。また、基地周辺での集会などは対象に入らないとしているが、わざわざ「私有地での」と明記されており、辺野古新基地建設反対運動など公道上での抗議活動への適用は明らかに射程に入っている。
 昨年5月21日の衆議院内閣委員会で、自民党・杉田水脈議員は「(米軍基地の)フェンスに結ばれたリボンやガムテープで留められた横断幕......お弁当のごみなどが風に飛ばされるなどして基地の中に入ってしまう」と述べ、辺野古反対運動を「阻害行為」に含めるよう求めた。これが本音なのだ!

沖縄の怒りと連帯して立ち上がろう

 この攻撃の最大の焦点は先述の通り、中国侵略戦争の最前線として戦場になる南西諸島の反戦・反基地闘争だ。しかし他方、沖縄県知事選での辺野古新基地建設反対を掲げる現職の再選に見られるように積年の怒りは火を噴き、「復帰後」世代の決起も拡大している。沖縄の闘いと連帯し、全国で反戦・反基地の闘いを広げよう。

------------------------------------------------------------
土地利用規制法のポイント
〇政府が米軍・自衛隊の基地など「安全保障上の観点から重要な場所」の周囲1㌔を「注視区域」に指定して利用状況を調査。「阻害行為」に対して中止勧告・命令を出す
〇命令に従わなければ、2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科す
〇注視区域のうち司令部施設や国境離島は「特別注視区域」に指定し、200平方㍍以上の土地売買に事前届け出を義務付ける

このエントリーをはてなブックマークに追加