「軍事貨物の荷役拒否する」 アメリカ 労組結成とストが拡大

週刊『前進』04頁(3265号02面04)(2022/10/17)


「軍事貨物の荷役拒否する」
 アメリカ 労組結成とストが拡大

(写真 「学校と港湾の民営化阻止」を掲げて共同の集会を行い、デモに出るILWUローカル10とスト中のオークランド教組【4月29日 オークランド】)

(写真 火災後、アマゾンの労働者650人が倉庫に入るのを拒否して座り込み【10月3日 ニューヨーク】)


 2003年の11月集会以来、動労千葉との連帯を深めてきた国際港湾倉庫労組(ILWU)のランク&ファイル(現場主体)の指導的な活動家の代表17人が「ウクライナ戦争を止めよう 軍事貨物荷役を拒否しよう」という声明を出し左翼誌「カウンターパンチ」で発表した。元本部委員長マクウィリアム氏のほか、11月集会に参加したローカル10(第10支部)のヘイマン氏、トーマス氏、ローカル34のシャンクリン氏、ミヤシロ氏、ローカル21のコフマン氏らが名を連ねる。
 「(全米で)労働組合が組織され、巨大資本家と闘っている」「米・北大西洋条約機構(NATO)の攻撃で開始されたウクライナ戦争はザポロジエの巨大な核汚染を引き起こしつつあり、ロシアとの核戦争にも、中国との第3次世界大戦にも行きかねない」「ウクライナの新自由主義政権が成立させた法5371号は、労働者の70%から団体交渉権を奪い、解雇に対しても闘えなくする」「反動的なロシア・ウクライナ両政府は戦争をやめられない。ILWUと国際的な港湾労働者の軍事貨物荷役拒否で戦争を止めよう」

鉄道ストへ全国各支部を組織化

 鉄道では、活動家が全米の関連諸労組の支部に働きかけ、労働条件をめぐるストライキ賛成の動きをつくり出していった。9月16日に設定された全米一斉スト突入はバイデン政権の大統領緊急委員会(PEB)の介入で停止されたが、現場の闘いは続いている。
 鉄道労働者は、オンコール(待機)で24時間365日の9割を縛られている。熱があっても負傷していても、子どもを病院に連れていく必要があっても、電話で呼び出されたら出勤しなければ解雇などの処分だ。有給でも無給でも病休はとれない。これに、コロナで100万人が死亡する中でも「エッセンシャルワーカー」として働かされることが加わった。この過酷さから退職が続出し、人員不足でますます多忙化した。
 9月にPEBの仲介で締結された暫定協約で導入された「賃上げ」は14・1%で、インフレによる生活費の高騰分に遠く及ばない。新設された病休日は形だけでごくわずかだ。労働者の怒りは沸騰している。ストはいったん停止されたが、全米各支部を組織化した経験と自信は大きい。
 昨年10月は、数十年来のストの多発で「ストライクトーバー」(ストの10月)と言われた。今年はさらにスト件数が増えている。
 重要なことは、昨年ストの波とともに労働組合の新規結成が急増し、今年はもっと増えていることだ。今年8月までの組合結成投票の全国労働関係委員会(NLRB)への申請件数は前年同期比で6割増だ。

労組破壊攻撃と対決するALU

 結成して間もない組合の労働者たちは世界的な巨大資本の攻撃と不屈に対決している。ニューヨーク市スタテン島のアマゾン物流拠点では、今年4月にNLRBの下での組合結成投票で勝利した。だがアマゾン資本は投票結果認定に異議を申し立て、同時に労組活動家の排除攻撃をかけてきた。アマゾン労働組合(ALU)は職場での闘いに加え全米の労組活動家との協力関係を強化して反撃。逆に職場の活動家を増やし、組合の基盤を強化した。
 10月3日夜、同倉庫で火災が起こった。多種多様な商品がある物流倉庫の火災では、有毒ガスが発生するおそれがある。労働者は避難しようとしたが、管理職が押しとどめた。これに対し、約650人の労働者たちは「自然発生的に」休憩室に座り込み、退室を拒否。さらに100人が管理事務所に入り占拠した。労働組合の会議や日常的な話し合い、職場での闘争の積み重ねが、不測の事態への自主的な判断と、皆が団結した実力行動を生み出したのだ。資本は50人を停職処分にしたが、労働者は戦闘的に闘い続けている。
 さらにこの間、ミネソタ州の1万5千人の看護師労組の全州スト、シアトル教組6千人のストなど、重要なストが相次いでいる。
 戦時下で全世界の階級闘争がかつてない高揚を迎えている中、アメリカで戦争協力拒否の声が上がったことは決定的だ。米労働者階級とともに闘い、11・6集会を成功させよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加