農地強奪の代執行許すな 三里塚反対同盟が緊急アピール

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週刊『前進』04頁(3268号01面02)(2022/11/07)


農地強奪の代執行許すな
 三里塚反対同盟が緊急アピール


 成田空港会社(NAA)が市東孝雄さんの農地強奪強制執行を申し立てたことを受け、三里塚芝山連合空港反対同盟が発した緊急アピールを紹介します(一部略)。反対同盟の訴えに応え11・13緊急現地闘争に駆けつけよう。(編集局)

 市東孝雄さんの農地取り上げ問題に心を寄せて下さっている全国の仲間のみなさん。NAAはついに、市東さんの農地取り上げ強制執行のための具体的かつ最後的な手続きを開始しました。事態は風雲急を告げています。あらゆる手段を駆使して農地取り上げを阻まなければなりません。ぜひとも力をお貸しください。
 東京高裁は10月18日、新やぐら裁判控訴審判決での仮執行宣言に対する反対同盟の強制執行停止申し立てを却下しました。NAAは間髪を入れずに同日、千葉地裁に対して「建物等収去命令」と「工作物収去命令」を申し立てました。
 NAAの田村明比古社長は20日の記者会見で、「円滑かつ確実に実施するため、関係各方面と検討している」とコメントしました。天神峰農地、その上に建つ営農と生活に必要な作業場・ビニールハウスなど、反対同盟の看板・やぐら、南台農地の一部まですべて奪うと公然と言い放ったのです。大木よねさんへの代執行以来阻んできた農地強奪にふたたび手を染めるという宣言を絶対に許すことはできません。
 そもそも空港公団(現NAA)は1993年、暴力的強制収用を謝罪し、「強制的な手段はとらない」「話し合いで問題を解決する」と誓約しました。黒野匡彦NAA社長(当時)は2005年、東峰区住民に「人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやらない」と謝罪しました。新たな強制執行に踏み切ることは不正義極まる暴挙と言うほかありません。
 しかも、対象となっている農地は市東家が3代100年にわたって耕し続け、豊富な微生物を含み多種多様な品目を育てることができる代替不可能な農地です。この農地を強奪し、手塩にかけた完全無農薬有機野菜で多くの産直会員の命と健康を支えている市東さんの誇りと生きがいを奪うことは、何人にも許されるものではありません。
 2019年の段階ですら成田の発着回数は30万回にも達していません。しかも、それは無理やり需要を創出したバブルでした。「飛び恥」運動の拡大などで、旅行客も戻りません。
 あるのは、軍事的な要請にもとづく需要だけです。政府は安保関連3文書の改定に向けた「有識者会議」で、平時からの自衛隊による民間空港の軍事利用について検討を始めると宣言しました。防衛省関係者は「滑走路の延伸が必要」とし、北側一雄元国土交通相は「自衛隊が利用する局面も想定した上で滑走路の長さなどを検討して整備を」とたきつけているのです。
 戦争反対の一環として市東さんの農地を守る全力での取り組みを訴えます。
 私たち反対同盟は、戦争に動員されて傷ついた苦しみ、侵略戦争に加担させられた痛苦の反省をふまえ、当初から「成田軍事空港絶対反対」を掲げ闘ってきました。「お国のため」として人や物資、土地などを徴用・徴発した結果がヒロシマ・ナガサキ、沖縄の惨劇ではなかったでしょうか。「経済発展のため」と乱開発した結果が原発事故、気候変動、食料危機の現実ではないでしょうか。
 「国民を飢えさせず、戦争を二度とやらない」と誓ったはずの日本政府は今、「他国の脅威」をあおって改憲・戦争への道をひた走っています。成田軍事空港建設を粉砕しましょう。
 農地は私たちの命です。「安全でおいしい野菜をつくるためにこの土を守る」「三里塚、福島、沖縄を一つの闘いとして体の続くかぎり農地を耕し闘う」と宣言する市東さんとともに、反対同盟は56年の闘いの歴史すべてをかけた決戦に必ず勝利する決意です。闘いはここからが本番です。それぞれの現場で市東さんの農地決戦について訴え、ぜひ現地に駆けつけてください。市東さんの農地を守るための十重二十重の陣形をつくろう。援農・カンパ・現地座り込みなどへの総決起を心から呼びかけます。
2022年11月1日

11・13緊急現地闘争
 11月13日(日)
 午後1時 市東さん宅中 庭集合 集会後デモ

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