南西諸島を〝戦場化〟し大演習 キーンソード23 陸自戦闘車が公道を走行

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週刊『前進』04頁(3272号03面02)(2022/12/05)


南西諸島を〝戦場化〟し大演習
 キーンソード23
 陸自戦闘車が公道を走行

(写真 陸揚げされた自衛隊車両【11月8日 うるま市中城湾港】)



(写真 公道を走行する機動戦闘車【11月17日 与那国町】)


 米軍・自衛隊が九州や南西諸島を「戦場化」して中国との戦争を行うための軍事演習が連続的に行われている。11月10〜19日に南西諸島を中心に全国で実施された日米共同統合演習「キーンソード23」に続き、19〜20日には本州南方の海空域で日米豪3カ国共同訓練が行われ、海上自衛隊は安保戦争法に基づく「武器等防護」を初めて米豪に対して同時に行った。
 さらに28日には陸上自衛隊那覇駐屯地と与那国駐屯地で日米共同指揮所演習が始まり、12月13日まで行われる予定だ。

民間港湾、空港を使用し輸送訓練

 キーンソード23では、演習開始に先立ち自衛隊車両約70台が本土から民間船で輸送され、中城湾港(沖縄県うるま市)で陸揚げされた後、国道58号線を移動した。これ自体が、「有事」に際して本土から装備品や人員を南西諸島へと一挙・大量に輸送することを想定した訓練として行われた。港のゲート前では民間港の使用に抗議し「沖縄を再び戦場にするな!」と訴える人々を沖縄県警が排除、鉄柵で30分近くも身柄を拘束するなど不当極まる国家暴力を行使した。
 台湾から東へわずか110㌔の位置にある与那国島では、「装輪戦車」とも呼ばれる16式機動戦闘車(MCV)が航空自衛隊築城基地(福岡県築上町)からC2輸送機で与那国空港に運び込まれ、主砲(105㍉砲)をむき出しにして公道を走行した。民間空港の使用も公道での戦闘車の走行もかつてない事態だ。
 沖縄本島では、やはり県内で初となる「有事」を想定した本格的な地対艦ミサイル部隊の展開訓練が行われた。米軍那覇軍港や牧港補給地区(浦添市)に後方補給拠点を設置し、装備や物資などを輸送・集積する訓練、戦闘で負傷した米兵や自衛隊員を沖縄から本土へ送る「患者後送訓練」や臨時医療拠点の開設・運営訓練も実施された。
 鹿児島県奄美大島の陸自奄美駐屯地では、ウクライナ戦争で威力を発揮し、米海兵隊の対中国作戦「EABO」でも主力兵器となる高機動ロケット砲システム「ハイマース」の日米共同運用を初めて実施。オーストラリア、カナダ、韓国など7カ国軍の代表者が防衛省の招待でそれを視察した。徳之島では、陸自水陸機動団と米海兵隊が、南西諸島で初となる日米のオスプレイを使った水陸両用訓練を行った。

沖縄の怒りと闘いに応え共に闘おう

 まさに、南西諸島はいつでも戦場になるのだと言わんばかりの、中国侵略戦争に向けた米軍・自衛隊の一大戦争リハーサルが、住民生活を蹂躙(じゅうりん)しながら強行されたのだ。だが、この暴挙に対して、沖縄本島や与那国島をはじめ各地で住民の体を張った抗議闘争が闘われ、民間の港湾・空港使用を認可した玉城県政にも抗議の声が寄せられている。
 沖縄の怒りと闘いに応え、今こそ中国侵略戦争を阻止する反戦反基地闘争の爆発を全国でかちとろう。

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