大坂裁判勝利へ大運動を 「供述は検察の作文」と証言 年末3回の集中公判で明らかに

週刊『前進』04頁(3276号04面01)(2023/01/09)


大坂裁判勝利へ大運動を
 「供述は検察の作文」と証言
 年末3回の集中公判で明らかに


 1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争を闘った大坂正明同志は、でっち上げ殺人罪の弾圧と51年間にわたり不屈に闘っている。昨年10月25日に始まった裁判(東京地裁刑事第4部・高橋康明裁判長)は、年末には1週間に3回の公判という超過密日程で行われた。大坂同志は毎回元気に出廷し、国家権力と対決する毅然とした姿勢で臨んでいる。毎回、数十人が抽選に並び、傍聴闘争がかちとられている。
 12月20日の第8回、21日の第9回公判は、いずれも「証人等特定事項秘匿」(証人の名前が記号で呼ばれる)が決定された上、「ビデオリンク方式」による公判とされた。証人は別室にいて、検察官、弁護人の尋問にオンラインで証言し、傍聴席はもちろん、被告人の大坂さんにも遮蔽(しゃへい)措置がとられ、法廷には声のやりとりだけが流れる。裁判公開の原則を逸脱し、特に被告人の権利を奪うものであり、許すことができない。
 権力のでっち上げストーリーは、11・14渋谷闘争の2日前、11月12日に工学院大学に大坂さんがいた、闘争翌日15日の法政大学の総括集会で大坂さんが発言した、というものだ。地方も大学も違い一面識もない大坂さんが殴打現場にいたことを見たとする虚構である。大坂さんは工学院大学に行っていないし、法政大学での総括集会でも発言していない。初めから破綻した「立証」計画なのだ。
 第8回のC証人は、当時東京学芸大学3年生、21歳で渋谷暴動闘争に参加、翌年4月に逮捕され、6月に執行猶予付きの有罪判決を受けている。C証人は「千葉方面の大学の大坂さんを見知っている」と供述させられていた。公判では、いつどこかはわからないが渋谷闘争以前に「部屋のようなところで私たちが何人かで雑談をしている時に立っている大坂さんを見た」と、51年間一度も供述したことがない内容の証言をしたが、渋谷闘争の現場では大坂さんの記憶はないと証言した。闘争翌日の集会で大坂さんが発言するのを見たと証言するも、それがどこだったのか記憶にないと語った。また、証人は11月12日ころに工学院大学に行ったと認めているが、「工学院で大坂さんを見たことはない」と証言した。
 第9回公判の群馬県内のB大学のA証人は、「工学院大学で大坂さんを見た」という供述のある人物で、「工学院大学で見た男が中村巡査を殴打していた」というAR証人らのでっち上げ調書を補強するための証人である。しかしA証人は「工学院に行ったことも大坂さんを見たことも記憶にない」と証言した。
 そして、14日の前にどこかの集会で大坂さんが演説するのを見た記憶がある、しかしどのような集会だったのか他の発言者についても全く記憶がないと、これもこれまで51年間一度も供述したことがない内容の証言をした。なお、A証人は闘争現場については何も見ていないし何も覚えていない。もちろん大坂さんも見ていないのだ。
 また、かつての供述調書の末尾の署名の一つについて「自分が書いた署名ではない」と証言し偽造調書の存在が暴露された。両日のビデオリンク証言は、検察官と5回・10時間も打ち合わせして行われた極めて不自然なものであり、そのでたらめさは弁護人の追及で全面的にさらけ出された。
 23日の第10回公判では、IT証人の証人尋問が行われた。当時高崎経済大学2年生、72年2月に逮捕され、5月に有罪判決を受けている。検察官の調書では、「11月12日に工学院大学で見た大坂さんが機動隊員を殴打するのを見た」と言っていたIT証人は、星野文昭さんの裁判では一貫して「見てもいないことを認めさせられた」「供述調書は検察官の作り話」だと証言してきた。
 この日の公判では、検察官の尋問に答えて、渋谷闘争の現場では一切大坂さんを見ていないことを明言した。検察官がかつてのIT供述調書を読み上げて確認を求めたのに対し、「素晴らしい作文」「向こうが勝手に作って書いたものに署名した」と断言。取調室で「道案内は大坂だろう」とか「お前が言わないのはお前がやったからだ」と繰り返し繰り返し言われて、「陥落した」と証言した。
 弁護人の尋問では、「(頭の中に)大坂さんがいた映像が新しく作られ、自分の中にもともとある映像と作られた映像が二つある」と、でっち上げられた取り調べ現場の苦しかったことを回想し、「記憶にない供述調書を取られて申し訳ない」と語った。
 第7回のAO証人に続き、うその供述調書を強いられた証人が供述内容を明白に否定したことは決定的な意味がある。これまで10回の公判は、被告・弁護側の闘いによって完全に勝利的に進められている。これに続き、2023年の大坂裁判闘争に突入しよう。

【要項】
大坂正明さん裁判
第11回公判 1月10日(火)午前10時開廷
  中津川彰証人尋問(当時の取調検事)ほか
第12回公判 1月12日(木)午前10時開廷
第13回公判 2月6日(月)午前10時開廷
第14回公判 2月7日(火)午前10時開廷
  東京地裁429号法廷、午後も継続
 *傍聴券配布のため、1時間前集合
大坂裁判勝利!東京地裁包囲デモ 
 1月12日(木)正午 日比谷公園霞門集合
 共催 東京労働組合交流センター
    大坂正明さん救援会

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