中国侵略戦争阻止 戦後の「常識」捨て戦争国家へ 岸田が施政方針演説で表明

週刊『前進』04頁(3279号03面01)(2023/01/30)


中国侵略戦争阻止
 戦後の「常識」捨て戦争国家へ
 岸田が施政方針演説で表明


 1月23日、岸田首相が衆参両院本会議で施政方針演説を行った。岸田は「今は歴史の分岐点」「これまでの時代の常識を捨て去る」と強調し、中国侵略戦争に向かって今国会の審議を政府・与党の主導で推し進め、野党の屈服を水路にして「挙国一致」体制をつくり上げようとしている。今春国会闘争に連続的に決起し、大軍拡・戦争予算案と反動諸法案の成立を阻止し、岸田政権打倒へ闘おう。

「防衛力の強化」が第一に

 岸田の施政方針演説は、この間の安保政策大転換の暴力的・クーデター的な強行を全面的に居直り、「国民の前で正々堂々議論をし」などという大うそを用いて労働者階級を屈服させようとするものである。
 初めに岸田は、「日本にとって、大きな時代の転換点は2回ありました。明治維新と、その77年後の大戦の終戦です。そして奇しくもそれから77年が経った今、われわれは再び歴史の分岐点に立っています」と述べ、その理由として真っ先に「国際平和秩序の弱体化」を挙げる。すなわち米帝基軸の戦後世界体制が崩壊し、世界がむき出しの争闘戦と戦争の時代に突入したことで帝国主義の最弱の環=日帝が存亡の危機にあることを表明している。
 そこで岸田は、「こうした現実を前に」「これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持って、新たな時代にふさわしい、社会、経済、国際秩序を創り上げていく」と述べる。「これまでの時代の常識を捨て去る」とは、日帝が「敗戦国」としての戦後的制約を取り払い、「戦争をする国」になるということだ。その「強い覚悟をもつ」と言っている。
 そして施政方針の第一に掲げたのが「防衛力の抜本的強化」である。時の政権が施政方針の第一に、社会保障とか国民生活ではなく、軍事力の強化を挙げたのは戦後、初めてである。まさに戦後の日本のあり方を根本から覆す大転換だ。
 岸田は、「5年間で43兆円の防衛予算を確保し、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有、南西地域の防衛体制の抜本強化……などを進める」と攻撃を列挙した。その一つひとつが戦争体制づくりであり、自衛隊の増強、産業や科学技術・大学・研究機関の戦争動員、労働者の戦争動員、民間空港・港湾の軍事利用による継戦能力の強化、軍事産業の育成・強化などである。そのための法案が数多く提出される。「防衛」の名目で準備されていることは、米日帝国主義の中国侵略戦争だ。

「新しい資本主義」の正体

 施政方針の2番目が「新しい資本主義」である。「官と民が連携し、国家間の競争に勝ちぬくための経済モデル」として打ち出している。その内容は資本救済、原発推進、資本のための技術革新の支援などであり、いかに資本をもうけさせるかの政策でしかない。「労働市場改革」と称して「構造的な賃上げ」のためには「従来の年功賃金から日本型職務給への移行は企業の成長のためにも急務」と叫んでいる。それは国鉄分割・民営化攻撃以来進めてきた解雇自由の攻撃を全面的に進めるものだ。
 3番目に「こども・子育て政策」を挙げている。岸田は「急速に進展する少子化」によって「我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」と危機感をあらわにし、「こども・子育て政策への対応は、待ったなし」だと述べている。だが、こどもを産み育てることもできない社会にしているのは、日帝資本家階級自身だ。
 「こども・子育て政策は最も有効な未来への投資」という言葉に象徴されるように、日帝の「少子化対策」とは、国際争闘戦に国家・資本が勝ちぬくための未来の搾取材料の確保でしかない。それは、日帝の解決不能の最末期的な危機を示すものだ。
 4番目の「包括的な経済社会づくり」とは、「多様性が尊重される社会」という美名のもとに老若男女、障害者を資本主義と戦争に総動員するものである。社会保障とか社会福祉という概念、考え方を完全に一掃している。唯一、「全世代型社会保障改革」という言葉で、実際は社会保障を解体することを述べている。

福島圧殺と改憲狙う攻撃

 5番目の「災害対応・復興支援」では、「福島原発事故」という言葉を抹殺し放射能汚染水の海洋放出の強行を「政府一丸となって推進する」と宣言した。
 6番目に「新型コロナ」対策が出てくるが、第8波の大流行で感染者、死者が激増しているときに、これまでのコロナ対策を一掃するような方針(感染症法上の位置づけの5類への引き下げなど)を打ち出した。
「国民の命と暮らしを守る」などという政府の言葉は大うそだということだ。 岸田は、改憲についても「先送りできない課題」「より一層議論を深めていただく」と強調した。
 自民党憲法改正実現本部事務総長の新藤義孝は「ウクライナは憲法に基づき緊急事態を宣言し、国の運営を有事モードに切り替え、国民が一体となって頑張っている」とウクライナを例に挙げて、国防規定と緊急事態条項を憲法に規定すべきだと主張している(1月23日付産経新聞)。完全に戦争を想定しているのだ。加速する改憲攻撃を絶対に粉砕しよう。
 岸田に対する人民の怒りは大きく燃え広がっている。戦争国会粉砕へ全力で闘い、岸田を打倒しよう。
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