大軍拡・戦争進める岸田政権打倒を G7外相声明を弾劾する 中・ロを相手に世界戦争を推進

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週刊『前進』04頁(3291号02面02)(2023/04/24)


大軍拡・戦争進める岸田政権打倒を
 G7外相声明を弾劾する
 中・ロを相手に世界戦争を推進

(写真 4月16〜18日に長野県軽井沢町で開かれた主要7カ国【G7】外相会合に抗議し、千曲ユニオンは16日、軽井沢駅北口近くでスタンディングを行い、反対の声を上げた。5千人の機動隊を動員した厳戒態勢を許さず、排除にかかる機動隊と対決して戦争会議を弾劾した)

 ウクライナに米欧の主力戦車が続々と到着し、この4〜5月にも戦争が新段階を迎えようとする中、日本では5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)に関連する一連の閣僚会合が4月15日から始まった。北海道での気候・エネルギー・環境相会合(15〜16日)に続き、18日には外相会合が共同声明を採択して閉幕した。外相声明は、G7としてウクライナ戦争を徹底的に推進することを確認し、また中国への敵意と排外主義に満ちた態度をあらわにした。これに中国は激しく抗議している。G7サミットが文字通り戦争会議であること、その議長国・日本帝国主義が率先して世界戦争を推進している構図が浮き彫りとなった。

ウクライナ戦争全面激化へ

 広島サミットに関連するG7の閣僚会合は国内で計15の開催が予定され、そのうち9会合はサミット前に開かれる。とりわけ最も重視されるのが外相会合とそこで採択される共同声明の内容である。
 まずもって今回の外相声明で、ロシアに対して「ウクライナからの即時、無条件の撤退」を要求したことは極めて重大だ。これは従来の表現の単なる繰り返しではない。戦争が果てしなく激化・泥沼化し核戦争すらも切迫する中で、なおかつG7として「停戦」のための条件の交渉などをロシアと行うことを完全に選択肢から排除し、ロシア軍が実効支配する東部・南部のみならずクリミア半島まで含めた「全領土」を奪還するまで戦争を継続することを表明したのである。加えてウクライナに対しては「必要とされる限り支援する」とも明記した。
 この間、ウクライナ戦争に関する米国の機密文書がSNS上に流出し大問題となっているが、その文書によると、4〜5千人規模とみられるウクライナ軍の新設12旅団のうち9旅団が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による訓練や兵器の配備を4月末までに終える予定だという。さらにNATOのストルテンベルグ事務総長は5日、「ウクライナ軍をソ連時代の水準からNATO水準へと移行させる」として、ウクライナの軍事力を飛躍的に強化させる「複数年計画」の策定に着手したことを明らかにした。
 NATO加盟国から供与された戦闘機の実戦投入も始まった。ポーランドとスロバキアが3月に供与した旧ソ連製戦闘機ミグ29の爆弾に米国製の精密誘導装置を付け、長距離攻撃に使用しているという。さらに12日、ワシントンでオースティン米国防長官と会談したウクライナのシュミハリ首相は、米国製戦闘機F15、F16の提供を要求。この間の〝戦車連合〟に加えて「〝戦闘機連合〟をつくるつもりだ」と述べ、そのための「リーダーシップ」を米国政府に求めた。
 こうした米欧からの大量の軍事支援を受け、ウクライナ軍は5月にもザポリージャ州南部陥落をめざす大規模な作戦に出ると見られ、放射能をまき散らす非人道兵器である劣化ウラン弾の実戦使用も辞さない構えだ。すでにこの戦争が完全に「NATOの戦争」であり「G7の戦争」であることは明白である。今回の外相会合は、この戦争を徹底的に推進していくことを確認したのだ。

中国の「核戦力」をやり玉に

 今回の外相会合で今一つ決定的なことは、中国の「核戦力増強」に対する「懸念」を表明し、「透明性向上」を求める異例の表現を盛り込んだことだ。その一方で「核なき世界」に向けた岸田の「ヒロシマ・アクション・プラン」を「歓迎」すると明記。被爆地・広島でのサミット開催を前に、帝国主義の側の圧倒的な核戦力と核政策を棚に上げ、あたかも中国だけが「密かに核戦争を狙っている」かのように、あるいは中国こそが「核なき世界の実現」にとって最大の障害であるかのように描き出そうとしているのだ。
 加えて「グローバル・サウス」と呼ばれるアジア、アフリカ、中南米などの後進国を念頭に「全ての意思あるパートナーと共に取り組む用意がある」と明記した。基軸国・アメリカ帝国主義の没落が顕著となる中で、これらの国々にはすでにG7の支配・制動が及ばなくなり、中国との協力関係を強める動きが広がっている。G7はこれに激しい危機感を募らせており、外相声明では抑制した表現をしながらも、米欧日と中ロのどちらにつくのか各国に「踏み絵」を踏ませようとする意図をにじませた。
 中国外務省はこの外相声明に対し、「傲慢(ごうまん)で偏見に満ちており、強烈な不満と断固たる反対を表明する」と激しく反発し、議長国・日本に「厳正な申し入れ」を行ったことを明らかにしている。
 戦後世界体制の最後的崩壊のもとで、G7に名を連ねる帝国主義諸国は、「民主主義と専制主義の戦い」と称して世界を真っ二つに分断し、中国・ロシアを「打倒対象」とする世界戦争に全地球を引きずり込もうとしている。そうする以外に、もはや米帝は台頭する中国を抑え込むことも従わせることもできないからだ。そしてG7議長国として日本帝国主義・岸田はその最も凶暴な旗振り役として登場している。
 だが、戦争とそのもとでの物価高騰に対し、全世界で労働者階級人民の反戦闘争が不屈に闘われている。この闘いと固く連帯し、G7広島サミット粉砕の闘いを大衆的実力闘争としてかちとろう。
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