軍拡・戦争国会粉砕を 安保3文書関連法案の成立阻め

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週刊『前進』04頁(3291号02面03)(2023/04/24)


軍拡・戦争国会粉砕を
 安保3文書関連法案の成立阻め


 野党の屈服と体たらくに助けられて何の議会内的抵抗も受けずに2023年度予算を成立させた岸田政権は、4月以降、G7広島サミットの準備と一体で、安保3文書の中身を具体化するための法案を次々と国会で審議入りさせている。軍拡・戦争国会粉砕の闘いはいよいよ正念場だ。

「反撃能力」行使は中国への先制攻撃

 4日の衆院本会議では、「反撃能力」と称する他国領域内への攻撃手段について、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合」すなわち「存立危機事態」に際して行使できると岸田自身が言明した。「台湾有事」に際して米軍と中国軍が交戦状態になれば、日本が保有する長射程ミサイルで中国本土を先制攻撃できるということだ。
 6日の衆院本会議では、安保3文書で明記した「5年間で43兆円」とする大軍拡の実行に向け、財源確保法(財確法)案が審議入りした。「防衛力強化資金」を新設し、外国為替資金特別会計(外為特会)の余剰金などを「防衛財源」として確保できるようにする。国公立病院の運営法人に積み上がった余剰金746億円も同資金に繰り入れる予定だ。国公立病院の整備・拡充に使える予算を軍事に回すということだ。しかも、これら余剰金はもともと赤字国債が財源である場合が多く、本質的には戦前同様の国債発行による戦時予算の確保と変わらない。
 これと一体で、7日には防衛産業強化法案が審議入りした。軍需産業から民間企業が次々と撤退(2003年以降で百社以上)する状況に激しい危機感を募らせた岸田政権は、国の助成金で軍需産業を育成・強化するための新たな基金を同法案で創設しようとしている。さらに、事業継続が困難となった企業は国が製造施設を取得・保有できる仕組みが盛り込まれており、「戦前のような軍管理工場の復活に近づきつつある」(軍事評論家・前田哲男氏。4月8日付東京新聞)と指摘されている。

反戦の怒り結集し4・28国会闘争へ

 13日の入管法改悪案の審議入り(関連記事4面)に続き、14日には健康保険証の廃止を含むマイナンバー関連法案も審議入りした。日本学術会議への政府の介入・統制を狙う学術会議法改悪案の国会提出も狙われ、学術界からの反発も強まっている。これも、安保3文書の一つである国家安全保障戦略で明記した「技術力の向上と研究開発成果の安全保障分野での積極的な活用のための官民の連携の強化」に向けた動きであることは明白だ。
 こうした重大な戦争法案が次々と出されているにもかかわらず、野党は対決姿勢も存在感も示せず、岸田は与党の議席数にモノを言わせて全て成立させようとしている。15日に和歌山市で起きた手製の爆発物による岸田への「襲撃事件」は、金しだいのブルジョア選挙制度と、野党も含めて腐りきったブルジョア政治全体に対する根底的不信と絶望の噴出にほかならない。今日の戦争と新自由主義大崩壊のもとで、人民大衆の「憤怒と激高」がいつ、どのような形で爆発してくるかわからない状況に岸田は震え上がり、広島サミットを前に治安弾圧の全面的強化を図ろうと必死になっている。
 今必要なのは、戦争を内乱に転化する労働者階級人民の荒々しい大衆的実力闘争の復権だ。「戦争絶対反対」を貫いた杉並区議選決戦の地平をさらに発展させ、4・28国会闘争から軍拡・戦争国会粉砕の巨大な決起をつくりだそう。その力で5月広島サミット粉砕決戦へ総決起しよう。
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