団結する権利奪わせない 関生弾圧 逆転無罪判決の意義

週刊『前進』04頁(3299号02面03)(2023/06/19)


団結する権利奪わせない
 関生弾圧 逆転無罪判決の意義

(写真 和歌山広域生コン協組事件の当該でもある武谷新吾書記次長が、6月4日に開かれた関生支援東京の会の総会で闘争報告)

 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部は大弾圧と対決し、反転攻勢に立っている。関生弾圧との闘いは、戦争のために労働組合を絶滅する戦時国家改造を打ち破る歴史的な決戦だ。
 逮捕にも解雇にも負けず団結を守った関生支部組合員の闘いが3月、和歌山広域生コン協組事件での大阪高裁の逆転無罪判決を引き出した。これを全事件に適用させ、湯川裕司委員長への実刑判決などのあらゆる有罪判決を打ち砕こう。

労組の行為は処罰されないのが原則

 和歌山広域生コン協組事件は、暴力団関係者を関生支部事務所に差し向けて脅しをかけさせた和歌山広域生コン協組の代表者に対し、関生支部役員が抗議したことを「強要未遂」「威力業務妨害」にでっち上げた弾圧だ。2022年3月に出された和歌山地裁判決は、関生役員の抗議行動を「違法」と決めつけ、その理由に「協組に雇われた労働者の中に関生組合員がいない」ことを挙げた。
 これに対して大阪高裁判決は、「産業別労働組合である関生支部は、業界の企業あるいはその団体と、労働関係上の当事者に当たるから、憲法28条の団結権の保障を受ける」と断じた。端的に言えばこれは、生コン協組のような業界団体は関生との団体交渉に応じる義務があるということだ。産業別労組の権利をここまで明示に認めた判決はかつてない。画期的な勝利だ。
 判決はまた、協組代表者への関生役員の抗議行動は「暴力の行使を伴うものでない限り、労働組合の団結権を守るための正当な行為であり、労組法1条2項の適用を受ける」とした。労組法1条2項は労働組合の正当な行為は罰しないと定めている。労働組合の行為は資本にとっては「脅迫」「強要」「威力業務妨害」などに見える。だが、労働組合の行為である限りそれは犯罪にはならない。「労働組合の刑事免責」といわれる重要な原則だ。これをストレートに判決に書き込ませた意義は大きい。
 判決はさらに、関生役員の言動の一部に、いきり立ってなされたものがあったとしても、協組代表者の方が先に関生に脅しをかけた経緯や、抗議行動の際の双方の言動の全体像から、関生役員の行動が「社会的相当性を明らかに逸脱するとは言い難い」とした。これも、この間の裁判所の反動を覆す重要な点だ。
 裁判所は「労働組合の正当な行為」の幅を極限まで狭める判決を出し続けてきた。例えば動労千葉が06年3月に実施した安全運転闘争を、裁判所は「正当な争議行為の範囲を逸脱する」と決めつけている。これは、レール破断が頻発する危険な個所では減速運転するという、きわめてまっとうな闘いだった。だが裁判所は「正当な争議行為とは労務を提供しないことに限られる」と言い張り、これを「違法」とした。同様の理屈で、ストライキの際のピケットや職場集会の正当性を否定した判決も少なくない。関生の闘いはこうした反動にも風穴を開けた。

戦時に労働基本権を取り戻す決戦へ

 岸田政権が戦争と雇用破壊に突進する中、関生弾圧はここまで押し返された。
 資本主義の勃興期には、どの国でも労働者の団結は犯罪とされた。ストライキを組織した労働者は解雇され監獄にぶち込まれ、虐殺さえされた。ストライキが刑罰の対象ではなくなった後も、資本はストに立った労働者に損害賠償を請求して、ストを実質的に禁圧し続けた。労組法8条は、ストなどの労働組合の正当な行為について、使用者が労働組合や組合員に損害賠償を求めることを禁じている。「労働組合の民事免責」と言われる原則だ。
 労働者が労働組合に団結する権利は、資本や国家権力との激烈な攻防の中で勝ち取られた。このかけがえのない労働基本権を、連合は自ら売り渡している。これを許さず、関生弾圧粉砕の闘いを軸に階級的労働運動を再生しよう。それは戦争阻止の闘いと一体だ。
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