偉大な闘い継承誓う 葉山岳夫弁護士を偲ぶ会

週刊『前進』04頁(3304号04面02)(2023/07/24)


偉大な闘い継承誓う
 葉山岳夫弁護士を偲ぶ会

(写真 葉山岳夫弁護士を偲ぶ会で、葉山さんの闘いの精神を引き継ぐことを全参加者が誓い合って献杯【7月8日 東京・霞が関】)

(写真 葉山岳夫弁護士を偲ぶ会で、葉山さんの闘いの精神を引き継ぐことを全参加者が誓い合って献杯【7月8日 東京・霞が関】)


 60年以上にわたって階級闘争の先頭で闘い続け今年3月逝去した葉山岳夫弁護士を偲(しの)ぶ会が7月8日、東京・霞が関の法曹会館で開かれた。共に闘ってきた憲法と人権の日弁連をめざす会を始めとする弁護士戦線や、三里塚や動労千葉を始め各界の人々約百人が故人を偲び、偉大な闘いの軌跡を振り返った。
 森川文人弁護士の司会で、黙祷(もくとう)から始まり、高山俊吉弁護士が開会の辞を述べ、山本志都弁護士が葉山さんの略歴を紹介した。1956年東大入学以来2023年までの66年間の軌跡の質と量の大きさに参加者は改めて感嘆の思いを強くした。
 追悼の辞が、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんと伊藤信晴さん、動労千葉の田中康宏顧問、救援連絡センターの足立昌勝代表、革共同の清水丈夫議長から述べられた。
 田中顧問は、動労千葉が50年間支えてもらったと感謝の言葉を捧げ、国鉄分割・民営化との闘いを共に闘ったことをたたえた。特に1047名解雇が、JRの不当労働行為による採用差別だったことを最高裁に認めさせ、それをめぐる訴訟で勝利の目前まで来ていると、葉山弁護士の果たした役割を強調した。
 清水議長は、1956年以来の友人、同志として闘ってきたこと、共に闘った59年11・27国会突入闘争が反スターリン主義への転換、反戦闘争論の確立という点で決定的だったことを強調した。そして今日のウクライナ戦争、中国侵略戦争に対して葉山さんの戦闘精神をもって闘うことを訴えた。(要旨別掲)
 小長井・葉山事務所として初期にともに活動した小長井良浩弁護士の音頭で献杯、歓談タイムの後、破防法弾圧元被告の藤原慶久さんら、ゆかりの人が次々と追悼の言葉を述べた。
 三里塚反対同盟顧問弁護団、動労千葉顧問弁護団、富山再審弁護団の弁護士らが故人への尊敬の念を込めて回顧した。星野国賠訴訟原告の星野暁子さんが感謝の言葉を述べ、全学連の神野豊典副委員長が闘いの継承を誓った。
 最後に憲法と人権の日弁連をめざす会代表の武内更一弁護士が閉会の辞。葉山弁護士の偉大な闘いの精神を引き継ぐことを誓い合う有意義な会となった。

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帝国主義の打倒へ反戦闘争貫く
 革共同議長 清水丈夫

 葉山岳夫同志は1956年から今年2023年に至るまで六十有余年間の長きにわたって労働者階級の解放、人間解放の闘いの先頭に立って闘い続けてこられました。私も葉山さんも56年入学ですが、葉山さんは入学した当初から、当時の鳩山一郎内閣の小選挙区制反対、砂川闘争に立ち上がり、さらに60年安保闘争、70年安保・沖縄決戦、破防法粉砕闘争や反革命カクマルを撃退する闘いに決起しました。そして何よりも国鉄決戦、三里塚決戦を基軸とする全戦線の闘いの先頭に立って闘われました。こうした闘いそのものを貫徹するという姿勢を弁護人として貫かれました。
 私たちが、大学に入って学生運動を始めた頃から日本の共産主義運動において、日本共産党スターリン主義の問題性が自覚されるようになりました。スターリン主義を打倒して反スターリン主義の新たな運動をつくり出すことが、すべての運動にとって問題になったわけです。
 私も最初は日本共産党に入っていましたが、ハンガリー革命やその後の過程でいろいろ勉強したり、話を聞いたりして反スタ化していきました。そういう中で、葉山さんも闘いの先頭に立ち、スターリン主義からの決別を貫徹されました。
 葉山さんといえば籠城(ろうじょう)事件です。葉山さんは、東大本郷で籠城しましたが、僕は駒場の方で籠城しました。けれどもあの闘いは、もともと59年11・27国会突入闘争があって、これに対する弾圧とどう闘うかということで籠城に発展していったんです。
 11・27国会突入闘争は、日本をもう一度戦争への道に導く安保条約改定に対して闘うということで、ついに本格的に爆発した闘いです。60年安保の大闘争に発展するきっかけになったんです。
 その時に、僕は国会正門からの突入の先頭に立って闘い、もう一方南通用門の方からは葉山さんが先頭に立って突入しました。同時に両方で警官の壁を破って国会に突入しました。何万という労働者と学生が構内になだれ込んで、革命をやったような雰囲気で沸き立った。日本共産党はこの闘争に対して「トロツキストの挑発」と、徹底的に敵対しました。スターリン主義から反スターリン主義への転換の重要な闘いになりました。
 重要だったのは、反戦闘争論がこの過程で確立されたことです。それ以前は、平和擁護闘争だった。平和を守り続ければ、社会主義圏が帝国主義に対して優秀だから、平和のうちに社会主義の方が勝利するという考え方です。当時、われわれが反スターリン主義に転換するということは、実践的に言うと、平和擁護闘争ではなく反戦闘争なんだと確認したということです。
 帝国主義戦争に対して反対する、その反対を徹底的に進めると、国家権力とぶつかる、戦争の原因となっているものを取り除かなかったら、本当の平和は実現されない。レーニンが提起したような、戦争を内乱に転化する、自国政府の戦争政策に断固反対する立場が必要です。
 葉山さんの反戦闘争は、根本的に帝国主義を打倒することに向けて前進していく、そういう反帝闘争です。第2次世界大戦を繰り返してはいけない、広島、長崎を繰り返してはいけない、その立場を貫くための反戦闘争ということで葉山さんの反戦闘争論は成り立っていたことをぜひ確認してほしいと思うんです。
 その上で、今の確認の上に立って、二つだけ提起させてほしいのですが、一つは、今の情勢ですね。ウクライナ戦争から中国侵略戦争、そして日本の岸田政権のもとでの戦争のできる国への転換が嵐のように一気に進行しています。
 今、ウクライナ、中国に対する侵略戦争として始まった戦争は、アメリカ帝国主義を始めとする帝国主義の行き詰まりと破産を基礎とした帝国主義戦争です。帝国主義が日米欧という形で、ウクライナの戦争を利用しながら、一気に中国に対する侵略戦争を狙っている。全体として世界戦争に向かう、そういう戦争が今、始まっている。今現にわれわれに突きつけられている戦争に対して、葉山さんの戦闘精神で断固闘おう。反戦闘争を爆発させて帝国主義を打倒していこう。葉山さんを受け継ぐとはそういうことだと思います。
 その上で最後に、もう一点。反戦闘争は、帝国主義と闘う反戦闘争であり、必ず権力とぶつかる。権力とぶつからないような闘争はあり得ない。戦争に突き進む国家と闘う場合、国家権力のものすごい弾圧と攻撃を覚悟しなければいけない。合法闘争も非合法闘争も必要となれば両方とも徹底的にやらなければならない。
 もともと戦争をやるということは法律なんか全部破らなければできない。それをあえてやる帝国主義と闘うためには、われわれが合法的闘争をトコトンまでやると同時に非合法闘争をトコトンまでやることが必要です。そのために弁護団の活動はますます決定的な意味を持ってくる。
 そういう点で党派も、弁護士戦線の方々も一体となって、基本的目的を達成するために団結して、徹底的に闘うことを葉山さんの前に誓いたいと思います。

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