革共同第31回全国委員会総会 清水丈夫議長の発言 反戦闘争としての反戦闘争を断固として実践しよう

週刊『前進』04頁(3312号02面02)(2023/09/25)


革共同第31回全国委員会総会
 清水丈夫議長の発言
 反戦闘争としての反戦闘争を断固として実践しよう


 革共同は8月、第31回全国委員会総会(31全総)を開催し、政治局報告(3309号に全文掲載)と全国委員の活発な討論を経て「反戦闘争の爆発で11・19へ」の路線・方針を決定、直ちにその実践に突入した。総会討論での清水丈夫革共同議長の発言を紹介します。(「共産主義者」217号にも掲載。編集局)

権力打倒へ行き着く闘い

 今回の総会で戦争が始まっているということを、厳密な意味で確認しました。ただ戦争に突入している階級闘争というのは、戦後のわれわれには経験がない。もちろん、ベトナム戦争、古くは朝鮮戦争における階級闘争はありました。けれども今、帝国主義の中心と旧スターリン主義ロシアのような大国が、正面からぶつかるような世界史上から言っても考えられないような大戦争が現実となっている。今回、党として整理した反戦闘争論の内容で断固進んでほしいと思います。
 その上で、さらに進んで言うと、日本自身が戦争の主体となるような世界戦争がウクライナ・中国で始まっているということについて、党の確認としてだけではなく、全労働者人民のものにしていく努力が絶対に必要だと思います。要するに、戦争下の反戦闘争がどんどん発展していけば、必ず国家権力とぶつかるわけです。今回、「反戦闘争としての反戦闘争」ということが強調されているゆえんはそういう点にあるわけです。
 つまり、戦時下の反戦闘争とは権力とぶつかっていく、あるいは権力打倒に行き着く以外にないものなのです。この反戦闘争は、党が本気になってやれば、どこまでも発展するし、どこまでも大きくなる。そういう点で、この反戦闘争のもっている権力との激突は、闘争の全過程にわたり、最後的には内乱に勝利するまで発展する。革命に勝利するところにまで行き着くような闘いを、われわれは今から始めるんだということについて、一人の共産主義者として、厳粛に確認しないといけない。
 いま世界戦争が迫って、労働者をまき込もうとしていることについて、共産主義者はどういう態度をとるのか。党や組織と言うまえに、一人の共産主義者として、「絶対に許せない」という精神を確立する必要がある。これを完全に組織的にがちっと固めて、敵階級をぶっとばす、そういう力にしていかないといけない。

「平和的状態」から脱却を

 だから、ひっくり返して言うと、「反戦闘争としての反戦闘争」という提起について、ストレートに断固やるというふうにはなかなかいっていない現実もあります。もちろん、それはそれぞれの苦闘や格闘の中から来る、さまざまな言葉となって表現されています。
 しかしやはり、この提起は、まず反戦闘争——反戦のデモ・反戦のストライキをやらなければならない、という問題としてとらえないといけない。その点は党が命がけで闘うという場合に、少しでもあいまいさや迷いがあったら絶対に闘えないからです。
 このことは、日本では戦後の長い間、平和的な状態が続いてきたことも影響しています。70年以上にわたって、日帝が直接戦争に参戦しない状態が続きました。共産主義者とはいえ、われわれも、長い間、ある意味で「戦後の平和的状態」に慣れ切ってきたということがあるわけです。
 だけど、ここまで日帝が踏み込んできた以上、われわれは覚悟して進んでいかなければならない。戦争に反対する闘争というのはガチガチに尖(とが)っているんですよ。
 また、別の角度から言うと、『何をなすべきか』でレーニンが言っていることをよく学ぶ必要があります。結論的に言えば、労働者階級というのは、戦争と決定的に闘える階級なんだということです。戦争の情勢が動いているということについてよく分かっていて、政治的にすぐれた階級なんです。労働者階級は、反戦闘争を決定的に闘える唯一の階級なんです。
 それが同時に、反戦闘争というのは、労働者以外のありとあらゆる階層、極端に言えば、ブルジョアの個人であってもごりごりに議論すれば味方に引き入れられる。反戦闘争とは、一方で幅が広く、大統一戦線を形成することができる運動なんです。今日、いろいろな議論がありましたが、行動の統一、つまり実際に行動に移して、デモ・スト、その他のいろいろな運動をやるということが必要です。これらの点を確認してほしい。

戦争の根源は米帝大没落

 もう一つは、この「反戦闘争としての反戦闘争」を徹底的に闘うためには、党員全体が「どうしてこの戦争が起きているのか」「誰のために、誰の利益のために行われているのか」、それを一人ひとりがきちっと確認することです。そのことを運動の中で生かしていくことが必要です。
 そういう点では、「現代の世界戦争」とわれわれが言う場合には、まずアメリカ帝国主義の危機を決定的に確認しなければならない。アメリカ帝国主義の力量は戦後史の中で最もボロボロになっていて、「世界の帝国」としての力を発揮することもできないようなところに来ていること。これを一人ひとりが実感して確認してほしい。
 その上で、今の米帝の危機の深さはどこにあるのか。戦後、帝国主義とスターリン主義の相互対立がずっと展開してきたわけですが、その中身が変わってきている。もはや基軸国としてのアメリカが基軸国としての役割を果たせなくなっている。歴史的に見れば、戦後の特異な発展も帝国主義の基本矛盾の爆発を避けられず、1974~75年恐慌と2008年リーマンショック以降の恐慌、この二つの大恐慌に襲われたのです。これを米帝は、どういう形で乗り切ってきたのか。
 端的に言えば、経済の金融バブル化(財政・金融の超緩和政策)なんです。これを軸にして、前期においてIT産業とか、後期になると、五つの大会社(GAFAM)、情報通信関係を中心とした重要な産業が登場する。それが言わば種になって、金融バブルがそれ以上に産業的な発展も含めて、経済成長を支えるというような力を発揮して乗り切ってきました。
 しかし今や、IT産業も過剰資本・過剰生産力の壁にぶつかってしまった。二つの恐慌からの乗り切り策としては金融バブル化と一対のものとして、グローバリゼーションということが重要な役割を演じます。これは新自由主義のもう一つの側面なんです。
 新自由主義(最末期帝国主義の絶望的延命形態)においては一方で、労働者階級に対しては搾取の自由ということでメチャクチャな合理化を行い、失業者がどれほどたくさん出ようが構わないという資本攻勢がかけられる。こういうような精神で、国内階級闘争に向かうわけです。もう一方では、グローバリゼーション、つまり資本がもうかるところでもうけていいというような攻撃がかけられる。そこで問題になったのが中国市場でした。

中国侵略戦争の超重大性

 二つの恐慌を乗り切る過程で起こったことは、帝国主義が中国(スターリン主義)市場に乗り込んでいく。そのことをとおして中国から利益を吸い上げることでした。その結果として、中国は米帝に続いて世界の経済大国になってしまった。グローバリゼーションは中国を思わぬ経済大国にした。さらに言えば、軍事大国にしてしまった。この結果、アメリカもふき飛ばされる危険性さえ出てきてしまった。
 中国市場に依存してアメリカが延命するというやり方は、もう続けられない。このままいったらもっと大国化する、アメリカも手が付けられなくなってしまうかもしれない。もし、米帝がこのままの状態を続けたら、世界の帝国主義として、ほとんど存立不可能なところにまで追い込まれたということなんです。これが、新自由主義の行き着いた先の大破綻なのです。
 その結果、アメリカの軍部を中心に、「今のうちに中国をたたかなかったら戦争に勝てない」「逆にやられてしまう」という声が出てきたのです。いまやアメリカ帝国主義支配階級、軍部は帝国主義の生き残りをかけた戦争として中国侵略戦争を実際に計画し、軍事演習を激しく展開しているのです。
 中国侵略戦争というのは、アメリカ帝国主義の生き残りをかけたものすごい攻撃として展開している。これらのことをはっきりさせて、われわれはこれと全力で闘う。ぜひとも、この反戦闘争の重要性、大きさを確認してほしいと思います。
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