九州・沖縄の軍事拠点化を許すな 対中戦争準備の実態を暴く 再び沖縄を戦場にするな

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週刊『前進』04頁(3314号03面01)(2023/10/09)


九州・沖縄の軍事拠点化を許すな
 対中戦争準備の実態を暴く
 再び沖縄を戦場にするな


 没落するアメリカ帝国主義はその覇権の維持をかけてウクライナ戦争を「対ロシア戦争」として遂行、中国侵略戦争へと突進し、三度目の世界戦争への道を走っている。日本帝国主義は、中国侵略戦争への参戦に帝国主義としての延命の一切をかけ、人民の怒りと反対の声を踏みにじりながら先島諸島をはじめ沖縄・九州の軍事拠点化を激しく進めている。それは単なる自衛隊の強化にとどまらず、空港や港湾など民間の公共インフラの軍事利用をはじめとした国家総動員体制の構築として進められている。その現状を暴く。

日米の大規模訓練が激増
 進む南西諸島のミサイル配備

 9月9日、日米合同委員会で合意した自衛隊と在日米軍の施設の相互使用件数が10年で約4倍になったと共同通信が報じた。2013年には7件だったが、22年は27件、23年は8月の時点で23件に上り、その大半は日米共同訓練だ。
 日米共同訓練の内容も劇的にエスカレートしてきた。16年から北海道で行われるようになった陸上自衛隊と米海兵隊の日米共同訓練「ノーザンバイパー」は、米軍再編に伴って「沖縄の負担を軽減するため、オスプレイ等の訓練を沖縄県外に移転」するものと防衛省は説明していたが、その実態は当初から米軍と自衛隊がオスプレイを用いた即応機動能力をつけるものであった。この訓練は21年から「レゾリュート・ドラゴン」に名を変え、東北各地の演習場を島々に見立て、米海兵隊の対中国作戦「遠征前進基地作戦」(EABO)と陸自が連携する訓練として、中国侵略戦争を具体的に想定した国内最大規模の実動訓練へと拡大し、その本性を現した。
 10月、レゾリュート・ドラゴン23は空自・海自も参加して、初めて九州・沖縄など南西地域を中心に実施されようとしている。この訓練が想定するのはまさしく「沖縄戦の再来」だ。
 平行して2010年代には、南西諸島への自衛隊の配備が進められてきた。台湾から約110㌔の与那国島には16年に陸自与那国駐屯地が開設、22年には空自レーダー部隊が配備され、さらには「敵基地攻撃能力(反撃能力)」のために長射程化が計画されている「12式地対艦誘導弾」を持つミサイル部隊の配備が検討されている。同様のミサイル部隊はすでに奄美大島(16年)、宮古島(20年)、石垣島(23年)に配備され、23年度中に沖縄本島(勝連分屯地)にも配備される予定だ。馬毛島で建設が進む空自基地は、空母から離発着ができる戦闘機F35Bの訓練所となる予定だ。「いずも」型護衛艦の空母化と一体のすさまじい軍事強化である。
 九州では、米海兵隊と共にEABOを担うことが想定される陸自「水陸機動団」の拡大が大焦点だ。長崎県佐世保市の陸自相浦駐屯地に本部を置く水陸機動団は18年に新編、2連隊が所属しているが、来春に1連隊増えて3千人規模になろうとしている。「離島奪還」を名目に上陸作戦を担うこの部隊の「足」は悪名高いオスプレイであり、暫定配備先の千葉県にある木更津駐屯地から、25年中にも佐賀空港西側に新設する駐屯地にオスプレイを移そうとしている。
 安保3文書や、今年1月に行われた日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)でも、日米の軍事施設の共同使用拡大や共同演習・訓練の増加などが確認されており、九州・沖縄での侵略戦争準備はさらに激しく進もうとしている。

ウクライナを教訓に「継戦能力」強化

 また、ウクライナ戦争の泥沼化は「継戦能力」を戦争遂行の焦点に浮かび上がらせ、防衛省は急ピッチで弾薬庫増設・補給体制の整備を進めようとしている。
 現在、弾薬庫は全国に約1400棟あり、防衛省は32年度までに約130棟を増設するとしている。23年度は海自大湊地方総監部(青森県)、陸自大分分屯地(大分県)に各2棟ずつ弾薬庫が新設される予定となっており、他にも陸自瀬戸内分屯地(鹿児島県)、保良訓練場(沖縄県)では弾薬庫新設に着手、海自横須賀地方総監部(神奈川県)や舞鶴地方総監部(京都府)などでは関連施設の整備が計画されている。さらに、南西諸島での戦闘を想定して、その補給・輸送を担うために陸自と海自の共同部隊として25年3月に「海上輸送群」を新設、海自呉基地(広島県)にその司令部を置くとしている。
 日帝・岸田政権は、ボロボロであるがゆえに戦争と排外主義で階級支配の危機を乗り切るしかない。しかしそのための膨大な軍事費の調達(増税と社会保障切り捨て)、軍事を一切に優先する人民の生活への圧迫は矛盾を拡大せずにはおかない。先島諸島での無茶な避難計画やシェルター建設、全国的な民間施設の軍事利用、自治体や教育の戦争動員は、労働者階級人民の怒りと闘いを拡大させるほかない。

軍事最優先の公共インフラ整備
 空港・港湾の軍事利用ねらう

 南西地域での軍事強化とともに、岸田政権は全国の空港・港湾などを本格的な軍事利用に向けて整備しようとしている。
 もともと空港・港湾・交通機関などの「公共インフラ」の整備は、国土交通省が優先度を判断して行われてきた。だが首相官邸と防衛省が直接乗り出し、「有事」に対処する部隊や軍需物資の移送、あるいは平素からの訓練・演習を行うことを最優先とする。戦略的拠点を定め、護衛艦・巡視船などの大型艦船の出入港や、大型輸送機の離着陸に必要な整備・拡充・強化工事を進めるという。
 9月29日、そうした施設として政府が西日本を中心に10道県の33カ所(14空港、19港湾)を選定したことが報じられた。
 港湾では、①与那国島北側に大型艦船が接岸できる新港建設、②石垣港の岸壁延長(海上保安部の拠点)、さらに③那覇港、博多港、高松港、敦賀港などの整備・拡充を進める。
 空港では、①与那国空港、新石垣空港、宮古空港、那覇空港の滑走路延長(巨大輸送機C―2や戦闘機の離着陸に必要な3千㍍級への延長)、駐機場新設、誘導路などの整備、②鹿児島空港、宮崎空港、高知空港などの滑走路延長に取り組む。(図)
 この計画について、「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」の資料では、「南西諸島を中心としつつ、その他の地域においても、必要な空港・港湾等について、民生利用とのデュアルユース〔軍民両用〕を前提として、自衛隊・海上保安庁の艦船・航空機が利用できるように、整備又は既存事業の促進を図る」「自衛隊・海上保安庁が、平時から円滑に空港・港湾等の利用ができるよう、インフラ管理者との間で『円滑な利用に関する枠組み』を設ける」としている。
 「平時から円滑に利用」と明記していることを見逃してはならない。木原稔防衛相は9月15日の記者会見で「国防の観点で多様な空港・港湾を平時から円滑に利用できることが重要」と強調した。つまり、「平時」から自衛隊、海上保安庁、米軍が警備・運搬・訓練・演習などで空港・港湾をわが物顔で利用すると宣言しているのだ。
 実際に9月7日、米海軍の掃海艦が石垣港に09年以来14年ぶりに入港する事件が発生した。09年に米軍掃海艦が入港した際には「親善」が理由だったが、今回は当初「親善」としていたものを直前に「通常寄港」に変更。沖縄県や港湾労組の反対を無視して入港したのだ。艦長は「できるだけ多くの場所を通常から寄港できるようにしておく」ためだとその狙いを明け透けに語っている。レゾリュート・ドラゴン23で、陸自のV22オスプレイが新石垣空港を使用することもこの計画の一環だ。
 さらに、22年に浜田靖一防衛相(当時)が下地島空港(滑走路3000㍍)だけでなく成田空港の名を挙げて「軍事利用解禁」への意欲を示したように、南西諸島や西日本に限らず、全国の空港・港湾を「防衛力の迅速な機動的展開」を掲げて戦争に利用しようとしている。
 世界戦争情勢下、民間国際空港の建前をとる成田空港や、3千㍍級滑走路を持つ関西空港も、ついに巨大兵站(へいたん)基地・軍事空港としての本性を現そうとしているのだ。

人民の怒りを巨大な反戦のうねりへ

 岸田政権は「中国に勝つ」ため、労働者人民に「従え、協力しろ、戦う覚悟を持て」と叫んでいる。だが今、沖縄・南西諸島の労働者住民には、あまりに横暴な戦争政策推進と生活破壊への怒りが日一日と積み重なっている。第4次嘉手納爆音訴訟には過去最多の3万5000人の原告が立ち、レゾリュート・ドラゴン23に反対して11団体が共同の抗議行動に立とうとしている。辺野古新基地をめぐり、国の強制代執行攻撃との闘いも始まろうとしている。
 半世紀を超えて不屈に闘い抜く三里塚闘争は、労働者人民が実力で国家暴力を打ち破って勝利する歴史的実例を示し続けている。
 反戦・反基地の闘いを猛然と巻き起こし、労働者の戦争協力拒否を訴えて労働運動を復権し、岸田の中国侵略戦争策動を挫折に追い込もう。10月反戦闘争―11月労働者集会への大結集をつくりだそう。

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