パレスチナ人民の蜂起に応え、帝国主義打倒の反戦闘争を 虐殺やめろ!世界で怒り拡大

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週刊『前進』04頁(3317号03面01)(2023/10/30)


パレスチナ人民の蜂起に応え、帝国主義打倒の反戦闘争を
 虐殺やめろ!世界で怒り拡大

(写真 パレスチナ自治区と国境を接するヨルダンには多くのパレスチナ人が居住する。首都アンマンで数千人規模の抗議行動【10月10日】)

(写真 ハーバード大学の構内では千人規模のパレスチナ連帯集会が開催された【10月14日 米マサチューセッツ州】)

(写真 「パレスチナ解放」「ジェノサイドをやめろ!」。イギリスの抗議行動参加者は週を追うごとに増えている【10月21日 ロンドン】)


 イスラエルによる人民虐殺に全世界で怒りの決起が爆発する中、パレスチナの労働組合が世界の労働組合に緊急要請を発し、イスラエルとの武器取引を停止させる行動を起こすよう呼びかけた。トルコでは、エルドアン政権と闘う国際労働者連帯協会(UID―DER)がこの戦争の本質を喝破する声明を発した。

パレスチナ労組が緊急要請
 すべての共犯関係を終わらせイスラエルへの兵器供与中止を

 イスラエルは、110万人のパレスチナ人を絶え間ない砲撃にさらしながら、ガザの北半分の地域からの避難を要求しています。この無慈悲な動きは、米国と欧州諸国の大多数からの揺るぎない支援と積極的な参加に支えられたイスラエルの計画の一部であり、ガザに住む230万人のパレスチナ人に対して前例のない凶悪な虐殺を行い、すべてのパレスチナ人を民族浄化するものです。
 土曜日(10月7日)以降、イスラエルはガザを無差別かつ集中的に砲撃し、燃料、電気、水、食料、医療物資を遮断しました。イスラエルは724人の子どもを含む2600人以上のパレスチナ人を殺害し、居住区全体を破壊し、家族全員を消し去り、1万人以上を負傷させました。イスラエルによるジェノサイド行為に警告を発し始めている国際法の専門家もいます。
 イスラエルの極右政府は1948年、パレスチナ人に対する攻撃やポグロムをエスカレートさせるために、占領下のヨルダン川西岸地区の過激派入植者たちに1万丁以上のライフルを配布しました。イスラエルの行動、虐殺、レトリックは、かねてから約束されていた第2のナクバ(大破局を意味するアラビア語。1948年5月14日のイスラエル「建国」の翌日の5月15日をこう呼ぶ)を実行に移し、可能な限り多くのパレスチナ人を追放し、パレスチナ人が永続的に服従する「新中東」をつくり出そうとしていることを指し示しています。
 西側諸国の反応は、国際法には目もくれず、イスラエル国家を完全かつ全面的に支持するものでした。これはイスラエルの不処罰を増幅させ、ジェノサイド戦争を無制限に遂行する白紙委任状をイスラエルに与えています。外交的支援にとどまらず、西側諸国はイスラエルに武器を供給し、国境内におけるイスラエルの兵器会社の運営を認可しているのです。
 イスラエルが軍事作戦をエスカレートさせる中、パレスチナの労働組合は、世界の労働組合やすべての良心ある人々に対し、イスラエルの犯罪へのあらゆる形態の加担を終わらせること、とりわけ緊急にイスラエルとの武器貿易を停止すること、そしてすべての資金提供や軍事研究を停止することを求めます。今こそ行動を起こすときです。パレスチナの人々の命がかかっているのです。
 この緊急かつジェノサイド的な状況は、パレスチナの人々との世界的な連帯を格段に強め、イスラエルの戦争マシーンを抑制することによってのみ防ぐことができます。イスラエル国家の武装化と封鎖のインフラに関わる企業を阻止するために、みなさんが世界のどこにいようとも、直ちに行動を起こしてくださることを求めます。私たちは、イタリア、南アフリカ、アメリカの労働組合による過去の動員や、1930年代のイタリアのエチオピア侵略、70年代のチリのファシスト独裁政権、そして世界的な連帯が植民地的残虐行為の範囲を制限した他の場所に対する同様の国際的な動員からインスピレーションを得て呼びかけています。
 私たちは関連産業の労働組合に呼びかけます。
①イスラエル向け兵器の製造を拒否すること。
②イスラエルへの武器輸送を拒否すること。
③労働組合でその旨の動議を可決すること。
④イスラエルの残忍かつ違法な包囲の実施に関与している共犯企業、特にみなさんの組合が所属する機関と労働協約を結んでいる企業に対して行動を起こすこと。
⑤イスラエルとのすべての軍事貿易、アメリカの場合はイスラエルへの資金提供を停止するよう、各国政府に圧力をかけること。
 私たちは、パレスチナの人々とのあらゆる連帯を禁止し沈黙させようとする試みを目の当たりにして、この呼びかけを行います。私たちは、労働組合が歴史的に行ってきたように、不正義に直面して声を上げ行動を起こすことを求めます。 私たちは、パレスチナの正義と解放のための闘いは、単に地域的・グローバル的に決着される闘いではないという信念のもとにこの呼びかけを行います。それは、奪われ搾取されている世界のすべての人々の解放のためのテコなのです。
2023年10月16日
パレスチナ労働組合総連合(ガザ) 、パレスチナ労働組合総連盟ほか

抑圧の体制打倒を
 トルコ UID―DERが声明
 「パレスチナ・中東における戦火」(抜粋)

 イスラエルのファシスト・ネタニヤフ政権は10月7日のハマスの攻撃以来、日夜にわたってガザへの空爆を継続している。すでに中東の火薬庫となり、長期にわたり支配権を争う帝国主義者どもの戦争で焦土と化したパレスチナは、今や帝国主義者の血みどろの戦争の業火にさらされている。もしこの戦火が中東・アフリカ・アジア太平洋地域にまで拡大していくならば、それはまさに帝国主義による第3次世界大戦だ。
●この流血の責任者は誰か
 問題は、明らかにイスラエルとパレスチナのみにとどまるものではない。イスラエルは、この大虐殺を米欧帝国主義の公然たる支援のもとに強行している。数年にわたって天井のない監獄に閉じ込められ暴力と抑圧の屈辱にさらされてきたパレスチナ人民は、帝国主義間の争闘戦と支配権をめぐる戦争の拡大の犠牲者にされているのだ。
 ロシアがウクライナ攻撃を開始した時、欧州連合(EU)の指導者たちは砲撃の開始と市民の死に心を痛めているかのようなふりをして、自国内で反戦の名のもとにロシア人民への憎悪をかきたてた。ウクライナ戦争開始からすでに2年、支配者たちの態度は何も変わっていない。ウクライナに最新鋭の武器と殺人兵器を送っている彼らは「平和」を語っている。アフガニスタン・イラク・シリア・ウクライナ、そして今パレスチナで同じことが行われている。連中にとって、数百万人の人民の死など何の問題でもないのだ。この世の中とは何かを知る前に死に直面する子どもたち、目の前で自分たちの幼児が殺されている母親たち、苦しみの中にある人民など何の関心もないのだ。
 ロシアとウクライナの戦争の場合と同様、西側のメディアは完全な報道管制と情報操作によって真実が見えないようにしようとしている。イスラエルへの抗議行動は英独仏など多くのヨーロッパ諸国で禁止された。街頭での抗議デモに参加する人々は警察に攻撃され、拘束・逮捕されてさえいる。
●中東とパレスチナに平和と自由をもたらすのは労働者の闘いだ!
 しかし、このような問題のはぐらかしと抑圧にもかかわらず、数十カ国で数百万人の人々が帝国主義者の戦争、見境のない人民の殺戮(さつりく)に反対し、パレスチナ人民との連帯を表明して抗議行動に立ち上がっている。
 ハマスの人質とされた人々の家族が、パレスチナ人民は現在起こっている事態に責任はなく、住民の殺戮をやめるべきだとイスラエルの内務省を弾劾している。18歳の娘がハマスの人質にされたイスラエルのある母親は「娘は軍隊にとられ、軍隊のキャンプにいたのです。彼女はまだ子どもで、殺し合いをするつもりなど全くありません」と訴えている。
 イスラエルの警察はパレスチナへの攻撃に反対し街頭デモをしているイスラエル人民を弾圧しているが、「ネタニヤフは殺人者だ」という声を押しつぶすことはできない。アメリカではユダヤ人労働者が抗議行動を行い、「イスラエルのシオニズムはわれわれを代表するものではない。パレスチナ人民の殺戮をやめろ」と声を上げている。
 誰が本当に平和を望んでいるかは明らかだ。支配階級は吐き気のするような偽善的な姿勢で、市民の命を尊重するといいながら、帝国主義者の利益のために殺戮を承認している。他方で労働者階級は、心の底から良心をかけて戦争と殺戮を弾劾している。世界のどこでも、ムスリム、ユダヤ人、キリスト教徒、あるいは仏教徒であろうと、支配者の汚い戦争で殺され、苦悩し、住居を追われているのは労働者人民だ。資本主義の支配者たちはわれわれの死体を踏みにじって権力を強化し富を増やしている。資本主義のもとでは、われわれにとって平和も自由もない。
 戦争のない、自由な生活が保証され、人々が共に生き、搾取のない社会は、労働者の闘いによってのみつくり出される。資本主義は、失うものは何もない労働者の闘いによってのみ打倒される。平和と自由の最大の妨害者であるこの抑圧の体制を打倒するため、団結して労働者階級の闘いの戦列に立とう!
2023年10月20日
国際労働者連帯協会(UID―DER)

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各地でパレスチナ連帯行動
 大学生、ユダヤ人団体も決起

 イスラエル=アメリカ帝国主義弾劾、パレスチナ人民連帯の闘いが全世界を覆っている。とりわけ、米帝によって絶えず戦火にさらされてきた中東・北アフリカ諸国で連日激しい抗議行動が巻き起こっている。イラクでは首都バグダッドの広場を人々が埋め尽くし、エジプトやヨルダン、イエメン、トルコ、チュニジアなどで数千、数万人規模のデモが闘われている。
 何より、一切の元凶である米英独帝国主義諸国で巨大な闘いが始まったことは決定的な事態だ。英独ではパレスチナ人民との連帯行動に「反ユダヤ主義」のレッテルを貼ってデモや集会を禁圧する自国政府と対決して闘いが巻き起こり、ロンドンでの毎週末のデモは30万人にまで拡大。フランスなどでもパレスチナ難民を先頭に数千人規模のデモが繰り返し闘われている。
 アメリカでも10・7蜂起当日から直ちに大規模な反戦闘争が爆発し、その先頭に青年・学生が立っている。怒りはウクライナに続きイスラエルに兵器を供与してジェノサイドに加担する米帝に向けられている。
 ハーバード大学では30以上の学生組織からなる「パレスチナ連帯グループ」が「進行中のすべての暴力に対する全面的な責任はイスラエルの政権にある」と訴える声明を発表。政財界からの猛攻撃にもひるむことなく声を上げている。
 18日にはユダヤ系の団体が「ユダヤ人の名を使った虐殺をやめろ」と訴え、即時停戦を求めて連邦議会を占拠。300人が逮捕されながらも闘い抜いた。
 イスラエル=米帝弾劾、パレスチナ人民連帯の闘いは、「テロとの闘い」の名目で労働者民衆の怒りをそらし、挙国一致体制をつくりあげようとする自国政府―帝国主義との対決として発展している。この闘いはウクライナ戦争の反人民的な本質を一層鮮明に突き出している。パレスチナの労組の要請に応え、戦争協力拒否を貫く階級的労働運動の力を発揮するときだ。11・19集会を国際反戦大集会として大成功させよう。

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