米議会報告書 〝中ロとの同時戦争準備せよ〟 アジアに核配備要求

週刊『前進』04頁(3317号03面02)(2023/10/30)


米議会報告書
 〝中ロとの同時戦争準備せよ〟
 アジアに核配備要求


 米連邦議会が超党派で設置した「米国の戦略態勢に関する議会諮問委員会」(戦略態勢委員会、委員長・クリードン元国防次官補)が10月12日、米国はロシアと中国との同時戦争を構える必要があるとの報告書を発表した。
 報告書は「米国と同盟国は双方(ロシアと中国)の敵対勢力を抑止し、打倒する準備を整えておかなければならない」と明記し、国防費の大幅な増額を要求。中ロの「脅威」は2027年から35年にかけて深刻化するとして「これに備え、今決断を下す必要がある」と強調した。さらに、「中国による核戦力の急速な拡大とロシアが核兵器への依存を高めていることが、米国の安全保障に前例のない脅威をもたらしている」とし、これに対して米国の核戦力は「十分ではない可能性がある」として、核兵器の近代化とアジア太平洋地域への核兵器配備を進めることを提言。この点について、バイデン政権が22年10月に発表した「核戦略見直し」(NPR)には、中ロの核戦略に対抗しうる「包括的な戦略がない」と批判した。
 ウクライナ・中東での戦争が激化するまっただ中で、アメリカ帝国主義の支配階級内部から、ロシアと中国を「抑止し、打倒する」世界戦争の本格的準備を急ピッチで進めるよう、バイデン政権を激しく突き上げる声が上がっているのだ。その最大の焦点は、日本を含むアジア太平洋地域の「同盟国」への核兵器配備にあるということもあけすけに語られている。この米帝の世界戦争戦略が想定し、実行しようとしているのは、南西諸島をはじめとした日本全土を対中国の核戦争の出撃拠点とし、東アジアを核戦争の戦場とすることである。
 大没落する米帝には、核兵器も含めた軍事力と戦争に訴える以外に、もはや自らの世界支配を維持するすべはない。そうした中で、バイデン政権は20日、総額1059億㌦(約16兆円)の緊急予算法案の策定を議会に求め、そのうち500億㌦以上を国内での兵器生産拡大に使うと表明、ウクライナとイスラエルへの武器供与を大幅に増強することを明らかにした。バイデンはこの予算について、19日の演説で「第2次大戦と同じように国家を愛する米労働者が民主主義の兵器庫をつくり、自由という理念に貢献する」と述べた。「民主主義の兵器庫」とは、1940年に当時の大統領ルーズベルトがラジオ演説で用いた言葉だ。バイデンは、第2次大戦に続く史上3度目の世界戦争へ米帝自身が突入していくことを明確に意識して、軍需生産の大幅増強とそのもとへの米労働者階級の総動員を進めようとしているのだ。
 「民主主義の防衛」と称してバイデンがやろうとしているのは、米帝の世界支配の維持と延命のための帝国主義戦争=世界戦争・核戦争にほかならない。日本における反戦・反核・反基地の闘いは、世界戦争を阻む国際反戦闘争の最前線にある。11・19国際反戦大集会を絶対に成功させよう。
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