労組交流センター 反戦軸に階級的労働運動を 結成35年 全国総会で飛躍誓う

週刊『前進』04頁(3331号02面01)(2024/02/12)


労組交流センター
 反戦軸に階級的労働運動を
 結成35年 全国総会で飛躍誓う

(写真 中国侵略戦争阻止へ、団結を固めて階級的労働運動を創出する運動方針を飯田英貴事務局長が提案した【2月3日 千葉市】)


 全国労働組合交流センターは2月3、4日に第31回定期全国総会を開いた。
 総会1日目はDC会館で行われ、冒頭、労組交流センターに結成当初から関わった郵政労働者・岩本正治さんの急逝を悼んで黙禱(もくとう)をささげた。
 武谷新吾代表運営委員(全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部副委員長)が開会あいさつで、11・19労働者集会が集会参加労組のスト決起を生んだと述べ、各地のストが関生弾圧への最大の反撃だと訴えた。
 来賓あいさつで三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さんと動労千葉の関道利委員長が、交流センターへの期待を語った。
 飯田英貴事務局長が、反戦を軸に闘って11・19集会は成功し、また、パレスチナ人民の10・7蜂起を帝国主義国の労働者階級への糾弾と決起の呼びかけと捉えて断固支持し、それに応える連日の激闘を貫いたことが集会への大結集と交流センター派の各労組のスト決起をつくったと総括した。飯田さんは続いて、帝国主義打倒の反戦闘争を基軸に階級的労働運動を創出する方針を提起。階級的労働運動とは帝国主義の侵略戦争を阻止し、資本家階級の権力を打倒して労働者が主体の社会をつくる運動だ。交流センターは1989年2月の結成以来、この路線を貫くための苦闘を重ねた。運動方針は、この蓄積の上に中国侵略戦争を阻止すること、3労組共闘を発展させて24反戦春闘に立つこと、今年の11月労働者集会への昨年を倍する結集と交流センターの組織拡大を勝ち取ることを打ち出した。
 討論では北陸地方協議会の代議員が、能登半島地震による被災を新自由主義がもたらした人災だと弾劾し、被災地で苦闘する仲間へのカンパを呼びかけた。
 総会2日目は東京都内で行われ、木下浩平代表運営委員(全国金属機械労組港合同執行委員)と田中康宏代表運営委員(動労千葉前委員長)が提起に立った。木下代表は、昌一金属支部のストの後に経営側は民事再生法の適用を申請する攻撃に出てきたが、支部はストを土台に団結を固め直す新たな闘いの渦中にあると報告した。田中代表は、岸田政権が戦争動員の攻撃を強める中で、攻防は内乱的激突を含む新段階に入ったと提起した(要旨別掲)。
 中国侵略戦争への突入が従来の労資関係や労働者の意識を一変させた。討論では、時代認識を巡る労組内での徹底議論の重要性が語られた。当局と一体となって戦争を推進する連合や全労連指導部に対し、自治体労働者を先頭に組合権力を巡る激しい攻防が闘われていることも報告された。
 運動方針を採択し「港合同と関生支部防衛」「星野国賠勝利、大坂正明さん無罪奪還」の決議を上げた。
 1日目の議事の後には交流センター結成35周年レセプションが行われた。「反連合・反全労連」を掲げ、総評労働運動を真に乗り越える階級的労働運動の全国潮流を目指した結成の原点と、1万人の組織化を目標にした当時の意気込みを確認し、それを24年決戦の中で実現する決意を固めた。

------------------------------------------------------------
田中康宏共同代表の提起(要旨)

中国侵略戦争阻止へ勝負の年
 日本革命の姿示した11・19日比谷大結集

 私たちはウクライナ戦争以降、反戦闘争を運動の柱に据えて闘ってきました。その中で起きた10・7蜂起の衝撃は本当に大きかった。ここで民族解放の血叫びを断固支持し、帝国主義の戦争反対の声を上げなければ階級的労働運動は絶対につくれない。そう確信し、時代に正面から向き合って実践したから、11・19集会で日比谷野音を満杯にすることができました。集会・デモへの外国人労働者の参加が本当に多かった。在日外国人労働者は200万人を超え、6千万労働者の30人に1人が外国人です。在日朝鮮人・中国人はもちろん、滞日・在日外国人労働者との団結なしに日本の変革はありえません。彼らは日本革命の主体です。韓日労働者共同声明やパレスチナ連帯決議を含め、日本における革命の姿が11・19日比谷で垣間見えた。
 国鉄分割・民営化が行われた1987年、韓国では労働者大闘争があり軍事独裁を倒した。パレスチナの第1次インティファーダは87年に始まり、子どもも女性も石をとって民衆蜂起に立った。そのとき日本では国鉄分割・民営化で労働運動は急速に敗退していった。そのことの申し訳なさは心に刻まなければいけないけれど、少し認識を変えました。今、10・7蜂起に連帯して11月集会を実現できているということは、僕らはパレスチナや韓国に連帯できる独特の地平を独特な形でつくりあげてきたのではないかと、昨年の11月集会の成功を見て思うようになったのです。
 さらに、11月集会と一つになって港合同昌一金属支部や日本機械工業労組などのストライキが闘われた。ストは現場からの必死の努力がなければできません。開始された世界戦争を絶対に止めることを労働運動の基軸に据えたとき、労働者を必死に組織する行動が始まり、反戦闘争と職場闘争が一つになって、11月集会は本当の意味で労働運動の再生運動になりました。
 この地平を僕ら以上に権力の側が見ています。東京では、ものすごい数の機動隊がデモ隊を包囲する。これを実力で粉砕する精神をたぎらせ、権力の弾圧に勝ちきれなかった戦後労働運動を乗り越えたい。権力の予想を上回る結集を真剣に訴えて、機動隊の包囲を粉砕する。昌一金属の民事再生法の申請など、現場の攻防も新自由主義の崩壊下で激化しています。

30年続いた賃下げで日帝も崩壊の危機に

 日本帝国主義の国家のあり方が根本から変わろうとしています。地方自治法の改悪もそうです。辺野古の基地建設は、沖縄県を裁判に訴え国が代執行する形になった。こんなことはもうなくし、国が地方に手を突っ込んで何でもできるようにする。地方自治の最後的解体です。
 春闘をめぐってもそうです。今年の経労委報告は財界の側からの異様な賃上げのアジテーションになっていて、「昨年以上の熱量と決意をもって物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務」などと言う。岸田首相も施政方針演説で「公的賃上げ」を何回も叫んだ。いったいこれは何なのか。帝国主義としての崩壊寸前の危機への悲鳴です。
 新自由主義下で30年以上も賃金を下げ続けた結果、軍拡大増税をはじめすべてがきしんでいる。「異次元の少子化対策」と言うが、賃金を下げ続けたことが少子化の最大の原因です。37%の労働者が非正規職で、最低賃金すれすれの労働者は20~25%に激増して飢餓賃金状態にある。こんなことにした連中に「賃上げ」と言わせてる連合は何なんだ。お前らが30年間も賃下げの片棒を担いできたんじゃないか。僕らは烈火のごとく怒らなくちゃいけない。
 経労委報告は賃上げを叫ぶ裏側で、労働組合の賃上げ要求で社会は大混乱に陥ったが、経団連はそれを全力で抑えて社会を安定させたとゴリゴリ書いている。そごう・西武のストに対して、ああいうものは持ち込ませず、日本の安定した労使関係は絶対に維持すると言う。これへの労働者の大反乱が必要です。

一切を戦争動員する攻撃との全面対決に

 2022年12月の安保3文書の閣議決定は国のあり方を一変させました。これに先立ち出された「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の報告書は「あらゆる能力を国力としての防衛力という観点で総合的・一体的に利活用すべき」「防衛省・自衛隊などのニーズを踏まえ、関係府省が連携し、それらの予算が総合的な防衛体制の強化のために効果的に活用される仕組みとする」と言う。43兆円の大軍拡どころか全省庁の予算を国防のために使えというのです。これは戦前、「高度国防国家建設」の名で一切を戦争に動員し、日中戦争に至った経過と同じです。
 切迫する中国侵略戦争を絶対に止めなければいけない。反戦デモを組織し、ストライキを復権させて、24反戦春闘に地域・産別で打って出る。ストライキを構えて動労千葉が設定した3・16総決起集会に、東京|関東の仲間は総結集してほしい。
 2・24ウクライナ開戦2周年デモはイタリアなどからの提起を受けて国際共同行動に位置づけました。絶対に1千人を集め機動隊の包囲を打ち破りたい。また、沖縄闘争の高揚ぬきに中国侵略戦争は止められません。
 「飢餓賃金打破」から始まった戦後革命期の闘いが最終的に挫折したのは1950年の朝鮮戦争です。これによる戦争特需で急速に経済が回復していく現実に労働運動がのみ込まれていった。その後の春闘に象徴される55年体制下の運動は、どんどん体制内化する性質をもったものでした。戦時下でこの歴史を絶対に乗り越えたい。
 この1年は本当の勝負です。交流センターへの5千人、1万人の組織化は現状では夢物語に見えても、この1年間の闘い方しだいで夢ではなくなります。11月労働者集会に向けて「3労組共同アピール2024」も出します。日比谷をあふれる結集を実現し、僕らが連合に代わる労働運動の新たな火花となるため、全力で闘いましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加