自衛隊のミサイル攻撃想定 日米演習概要 米軍と一体で武力行使
週刊『前進』04頁(3392号02面02)(2025/04/21)
自衛隊のミサイル攻撃想定
日米演習概要
米軍と一体で武力行使

昨年2月に初めて中国を「敵」と明示して行われた日米共同図上演習「キーン・エッジ24」の概要が判明した。今年3月24日に発足した自衛隊の全部隊への指揮権を持つ統合作戦司令部がすでに存在すると仮定し、①「台湾有事」に伴い、中国軍が米軍佐世保基地と岩国基地をミサイルで攻撃する、②日本政府は「存立危機事態」と認定して集団的自衛権を発動し、陸上自衛隊は増援部隊を九州に派遣する、③米軍が台湾海峡を航行する中国軍の強襲揚陸部隊への攻撃を自衛隊に要請し、航空自衛隊の戦闘機が中国軍の輸送艦などをミサイルで攻撃した、ということを想定して演習したことがわかった。
つまり、自衛隊の戦闘機が自国の領域外で、しかも直接に日本を狙ったわけでもない他国の軍隊にミサイルを撃ち込むことを具体的に想定した演習をやっていたということだ。形式上は「南西諸島(琉球弧)の防衛」を掲げてきた、これまでの軍拡や演習とも一線を画する踏み込みである。絶対に許してはならない。
日本政府は正式な外交上の立場としては、1972年の日中国交回復とそれを踏襲した78年の日中平和友好条約の締結以後、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府」として承認し、台湾が「中華人民共和国の領土の一部」であることを公式見解としている。だが、今回判明した演習の内容は、台湾海峡の戦闘に自衛隊が参戦し、中国艦船を攻撃するものであり、完全に「他国への武力攻撃」以外の何ものでもない。
産経新聞は4月8日、この演習が「80年に及ぶ『戦間期』の終わりを覚悟させる筋書きで進んだ」と書き立て、概要を初めて報道した7日には「米と一体化 9条の壁」と見出しをつけ、「平時から日米一体となった司令部を設置すれば、憲法違反になりかねない……日米同盟が連合司令部の不在というハンディを背負っている」と改憲を促した。キーン・エッジ24の実施から1年も経って商業新聞に詳細が「リーク」された意図はここにある。
キーン・エッジ24は、昨年10~11月に行われた日米共同実動演習「キーン・ソード25」とセットの演習だ。キーン・ソード25は自衛隊約3万3千人、米軍約1万2千人を軸に北大西洋条約機構(NATO)諸国や韓国、オーストラリアなどがオブザーバー参加し、「アメリカ帝国主義陣営」を総結集した一大演習だった。日米両政府がこれらの演習を踏まえた作戦計画の策定を進めていることも昨年末の時点で判明しており、その内容は「リーク」されたものよりさらに激しいことは確実だ。
「日本は西太平洋で発生する有事で最前線に立つことになるであろう」——ヘグセス米国防長官が3月30日の日米防衛相会談でこう語った通り、米帝は日帝・自衛隊を中国侵略戦争に全面的に動員し、最前線で「血を流す」ことを求めている。日帝もまたこの要求に応えることを通じてまさしく「侵略軍隊」を持つ帝国主義の姿を取り戻すことを狙っている。反戦闘争の爆発で侵略を阻もう!
