イスラエルがラファ包囲 ガザの更地化狙い攻撃激化

週刊『前進』04頁(3392号02面03)(2025/04/21)


イスラエルがラファ包囲
 ガザの更地化狙い攻撃激化



(写真 3月に不当逮捕されたコロンビア大生マフムード・カリルさんの「国外退去処分が可能」という移民裁判所の判断に抗議し、逮捕者全員の釈放を求めるデモ【4月12日 ニューヨーク】)


 2023年のパレスチナ10・7蜂起から、4月7日で1年半となった。パレスチナ自治区ガザ地区での死者数はすでに5万人を超えている。イスラエル軍は12日、ガザ南部を分断する「モラグ回廊」を設置して南部ラファを包囲したと発表。その後もガザ各地の病院などを相次いで攻撃している。中国侵略戦争に全力を注ぐために中東・パレスチナの民族解放闘争の根絶を狙うアメリカ帝国主義・トランプの全面的な後押しを受けたイスラエルは、パレスチナ人民大虐殺の侵略戦争をますます激化させているのだ。

ガザ南部を分割し新たな回廊を設置

 イスラエル軍は2日からガザへの軍事作戦を大幅に拡大し、同日だけで60人以上を殺害した。3日には北部ガザ市の避難所になっていた学校を攻撃し、90人以上を殺傷。4日には北部シャジャイヤで地上侵攻を開始した。
 23年10月7日から今年4月7日までのガザでの死者数は、ガザ保健省や自治政府の統計局が発表しただけでも5万752人に上った。1万8千人の子どもが虐殺され、1万7千人が孤児になった。3月18日にイスラエル軍がガザへの攻撃を再開して以降の死者数は1391人に上る。イスラエルは3月2日にガザへの物資搬入を、9日には電力供給を止めた。食料も医薬品も底をつき、診療所も機能しない状態に追い込まれている。ガザの民間防衛隊が「飢饉(ききん)の瀬戸際にある」と訴える中、4月7日には南部ハンユニスの食料配給所が空爆され、炊き出しを待つ16人以上が死傷した。
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、イスラエル軍は3月18日から4月9日までに224件の攻撃を行い、うち36件で死者の全員が女性と子どもだった。学校や病院などの避難所を狙った無差別爆撃を繰り返しているのだ。13日には北部で唯一、完全に機能していたアフリアラブ病院が攻撃され、治療中の子ども1人が避難に伴って死亡した。
 イスラエル軍は12日、ラファとハンユニスの間にモラグ回廊を設置し、ガザの面積の5分の1を占めるラファ全域を「緩衝地帯」にするとしている。軍はハンユニスにも避難命令を出し、カッツ国防相は「イスラエル軍の活動はまもなくガザの大部分で拡大していく」と宣言した。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、すでにガザの65%が立ち入り禁止か退避通告が出た状態だ。イスラエルはガザ全土から住民をたたき出し、完全に更地化しようとしているのだ。

シリア、レバノンでも軍事作戦拡大

 さらにイスラエル軍は、再び複数の戦線で攻撃を激化させている。1月下旬にヨルダン川西岸で大規模侵攻を開始し、3月末からはレバノンの首都ベイルート、シリアの首都ダマスカス近郊などを空爆した。
 こうした中でトランプは4月7日、イスラエルのネタニヤフ首相と会談し「人質解放のために大変な努力をしている」とイスラエルを全面擁護。「ガザは信じられないほど重要な不動産だ」として、米国がガザを所有し再開発すべきだとの主張を繰り返した。ネタニヤフも「ガザの住民にはどこにでも行く権利がある」と、ガザからパレスチナ人民を一掃する狙いをあらわにした。
 1月の「停戦」発表後もイスラエルへの武器供給が続けられる中、パレスチナの労働者は世界の労働者に「停戦要求以上の」行動を訴えている。パレスチナ労働組合総連盟は4月4日、米国の労働組合に向けて「連帯を効果的な行動に変え、この汚い戦争を止めるための本当の圧力を生み出す」ことを呼びかけた。不屈に闘うパレスチナ人民、米国をはじめ世界中でガザ大虐殺を止めるために体を張って決起している労働者人民と連帯し、中国侵略戦争阻止、日本帝国主義・石破打倒の反戦闘争を大爆発させよう。

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