戦争国会支える野党の正体 排外主義と世代間分断で社会保障の全面解体狙う
週刊『前進』04頁(3396号02面03)(2025/05/19)
戦争国会支える野党の正体
排外主義と世代間分断で社会保障の全面解体狙う
トランプ関税は大恐慌を引き寄せている。これへの石破政権の対応策は、中国侵略戦争の最前線に立つことを求めるトランプに応じ、これを日本帝国主義自身の戦争として遂行するというものだ。だから石破は「国難」を叫び、挙国一致体制の確立を狙っている。
トランプ関税への対策をめぐり、消費税減税を求める野党とそれを拒む石破の対立が盛んに報道されている。だが、その双方が反動を競い合って戦争に突き進んでいる。国会はかつてなく総翼賛化した。
大軍拡を容認し減税叫ぶペテン
コメなどの物価は高騰し、労働者の賃金は抑え込まれたままだ。税負担の重さも耐え難い。労働者人民の減税要求は当然だ。だが8兆7005億円もの防衛費を聖域化して叫ばれる減税やその財源をめぐる議論は、すべてがまやかしだ。「手取りを増やす」と叫ぶ国民民主党は、困窮する民衆の救世主であるかのように持ち上げられている。だが同党は、「自分の国は自分で守る」を掲げる戦争翼賛勢力であり、排外主義をあおるヘイト集団だ。
彼らは、日本に居住する外国人に社会保険制度、特に医療費の自己負担額を一定限度に抑える「高額療養費制度」が適用されていることを問題視し、「現役世代が苦労して支払う社会保険料は、原則、日本人のために使われるべきだ」とわめく。社会保険への加入が義務付けられて保険料を徴収される日本在住の外国人に、日本人と同等の給付がなされるのは当然だ。「外国人には生存権などない」と言うに等しい国民民主党の主張は、帝国主義による侵略と虐殺を容認し加担することに直接つながる。
同党や日本維新の会などが何のためらいもなく消費税減税を唱えるのは、社会保障の全面解体が狙いだからだ。国民民主党代表の玉木雄一郎は昨年10月、「尊厳死を法制化して医療給付を抑え、若い人の社会保険料給付を抑える」と公言した。ナチスと同様の優生思想をあらわにしたのだ。
彼らの描く高齢者像は、年金などによる収入は現役世代より低くても、多くの資産を持つ恵まれた層というものだ。金融経済教育推進機構の一昨年の調査によれば、60歳以上の世帯が保有する金融資産の平均値は2千万円を超え、40歳代の約2倍だ。だがこれは超富裕層も含む全世帯の平均値だ。金融資産をまったく持たない世帯の割合は60歳代で24・6%に及ぶ。高齢者を資産家と決めつけるのは、資本家と労働者の階級間の対立を世代間の対立にすり替えるデマ宣伝だ。
所得が低いほど負担重い消費税
石破は動揺を重ねつつも「消費税は社会保障を支える重要な財源だ」として減税を拒む方針を固めた。だが、消費税率を引き上げながら社会保障を解体してきたのは歴代自民党政権だ。衆院予算委員会で財務相の加藤勝信は、「起こり得る様々な有事に備えて」減税はしないと答弁した。消費税は戦争のための財源だ。消費税は、低所得者ほど取られる税額の所得に対する割合が大きくなる大衆収奪の悪税だ。しかも、その税収の大半が法人税減税の穴埋めに使われてきた。
立憲民主党も、食料品の消費税を1年間だけゼロにする方針をおずおずと掲げた。だが、同党代表の野田佳彦は民主党政権の首相として12年に消費税率の8%、10%への引き上げを決めた張本人だ。同党は「財源のめどなしに減税はしない」と言うが、防衛費の削減には絶対に触れない。
一方、石破は5年(23~27年度)で43兆円の大軍拡について、物価高を口実に一層の増額をたくらんでいる。それが問題にもされないのが国会の現状だ。
「護憲派との印象を払拭したい」と言う立憲民主党元代表の枝野幸男を会長に、衆院憲法審査会は週1回のハイペースで改憲論議を重ねている。能動的サイバー防御法案や刑事訴訟法改悪案、日本学術会議の独立法人化法案などの戦争法案はすでに衆院を通過した。さらに翼賛化する国会を弾劾し、6・14反戦闘争に結集しよう。