トランプへの反撃広がる 労組官僚と闘い全米で実力決起
週刊『前進』04頁(3396号04面01)(2025/05/19)
トランプへの反撃広がる
労組官僚と闘い全米で実力決起

(写真 100人を超す学生がコロンビア大学の図書館を占拠し、パレスチナ連帯の緊急集会を開催した【5月7日 ニューヨーク】)
中国侵略戦争―世界戦争へのがむしゃらな突進を開始した第2次トランプ政権下で、米国内では移民への襲撃、差別・排外主義が吹き荒れている。労働者人民がこれと真正面から闘うことが中国侵略戦争を阻止するための不可欠の条件だ。
2023年10・7蜂起後の大学占拠とイスラエル向け軍需物資の輸送を拒否・阻止し街頭デモを闘う米労働運動の爆発は、この道が確実に開かれていることを示している。「ハマスのテロを非難せよ」という既成勢力の圧力をはねのけ、大衆的規模で「あいまいさのないパレスチナ連帯」を貫いたことが、米階級闘争の質を一変させているのだ。
それは、「第2インターナショナルの崩壊」というべき事態との厳しい対決と一体で切り開かれている。
既成勢力の屈服をのりこえ闘い爆発
米労働運動のナショナルセンターであるアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL―CIO)本部は帝国主義労働運動であり、初めからイスラエル=シオニスト全面支持の立場だ。ウクライナにおける14年マイダン・クーデターにも、米国務省や中央情報局(CIA)と一体となって関与している。その上で重大なのは、従来「左派」と言われてきた勢力が、AFL―CIO本部や民主党と共に、北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ軍事支援を支持し翼賛勢力化したことだ。左派労働運動の結集軸の一つであった「レイバーノーツ」誌や「革命的左翼」諸党派のうちのいくつかが急速に転向していった。
全米自動車労組(UAW)では、アメリカ帝国主義と資本に対する組合員の怒りと闘う機運が高まる中で、23年にショーン・フェインが「左派」的に登場し委員長に選出された。だが、フェイン執行部は戦闘的な言辞で扇動しつつ、実際にはストを最小限化し、パレスチナ人民へのすさまじいジェノサイドを支援するバイデン政権を賛美し続けた。これに対して、UAW組合員の2割を占める大学院生・大学職員組合員はジェノサイド阻止の大学占拠闘争に決起し、大弾圧と不屈に闘っている。
各地で革命的なメーデー闘争復活
アメリカの既成労働運動は、長らくメーデーを開催していない。1886年のシカゴでの8時間労働要求のゼネスト、弾圧と暴動の歴史は米労働者階級の力を示すからこそ、労組官僚はこれを忌み嫌っている。しかし今年は各地のAFL―CIO連盟がメーデーを主催し、他団体のものも加えると全米で千カ所にも上った。もはや労働者の開催要求を抑えられなくなったのだ。そして、経済闘争のみに限定する労組官僚の統制を超え、各地で反戦闘争が正面から掲げられた。
ニューヨークでは、ジェノサイド反対闘争を理由に処分された学生たちが闘いを牽引(けんいん)した。
UAWの根拠地デトロイトでも、トランプの関税戦争を弾劾し、戦争と排外主義に反対する声が圧倒した。フェインがトランプ関税に「喝采を送る」という排外主義的な声明を出したことに対し、地元から反撃をたたきつけたのだ。
カリフォルニア州オークランドでは、港湾を止めて参加した国際港湾倉庫労組第10支部(ILWUローカル10)が闘争をリード。組合員は「すべての権力を人民に」「パレスチナと連帯し船を止めよう」と訴え、対中国戦争への反対を呼びかけた。
5月7日にはコロンビア大学で、昨年来キャンパス内では最大規模のパレスチナ連帯デモが闘われた。100人以上の学生・教職員・卒業生が図書館を占拠し、運動の代表者の一人であるマフムード・カリル氏らの入管当局による拉致・収容を弾劾。イスラエルからの投資引き揚げを求めて闘い抜いた。学生たちは大量逮捕・停学処分攻撃をはね返して闘い続けている。
侵略を内乱に転化する闘いはすでに始まっている。米労働者人民と固く連帯し帝国主義を打倒しよう。