天皇に広島の地を踏ませるな 反戦反核闘争の圧殺と新たな戦争動員が狙い

週刊『前進』04頁(3398号03面01)(2025/06/02)


天皇に広島の地を踏ませるな
 反戦反核闘争の圧殺と新たな戦争動員が狙い


 4月7日の硫黄島、6月4、5日の沖縄に続き、6月19、20日に天皇ナルヒトが広島を訪問することが発表された。19日には平和公園慰霊碑に献花、20日には2014年8月20日の豪雨災害の被災地、そして被爆者の施設を訪問するという。「平和を祈る天皇」の虚構をもって全人民を天皇制国家のもとに取り込み、広島の反戦反核の闘いを鎮圧しようとする策動を断じて許すことはできない。

原爆投下の責任は天皇に

 明治維新から日清・日露戦争、シベリア出兵、中国侵略戦争―アジア・太平洋戦争は、すべて天皇の名のもとに、天皇の命令で、天皇制国家の「護持」のために行われた。昭和天皇ヒロヒトはこれらの侵略戦争の総責任者であり、2千万人ものアジア人民を大虐殺した日本軍を「大元帥」として直接指揮した。だが、ヒロヒトはこれらの戦争について一切責任をとらず、謝罪もしなかった。後を継いだ平成天皇、現天皇も同じだ。「戦後80年慰霊の旅」なるものは、この歴史の事実を徹底的に覆い隠した上で「平和を祈る天皇」の虚像を演出し、天皇の戦争責任を居直り、過去の戦争への怒りを最後的に解体し、新たな戦争=中国侵略戦争に人民を動員するための攻撃である。
 広島はかつて、アジア侵略戦争を最先頭で担った「軍都」だった。日清戦争時には大本営と臨時帝国議会が広島に置かれた。広島を本拠地とした陸軍第5師団は中国からマレー半島、フィリピン、ニューギニアまで侵攻し、現地住民を大虐殺した部隊だ。天皇と軍部によって一貫して軍事的に重要な都市として位置づけられてきたからこそ、広島は原爆投下のターゲットにされたのだ。
 そして、1945年2月に近衛文麿元首相が天皇への上奏文で敗戦が必至であることを伝え、「国体護持」の観点から早期の戦争終結を求めたことに対し、天皇は「(国体護持を含んだ講和を実現するには)もう一度戦果を挙げてからでないとなかなか話は難しい」と一蹴し、戦争を継続した。その結果、沖縄での凄惨(せいさん)な地上戦が行われ、東京はじめ日本中は空襲で焼け野原にされた。中国や他のアジア諸国でも侵略戦争が継続され、無数のアジア人民が虐殺され、多くの日本軍兵士も命を落とした。
 さらに、7月26日に米・英・中の連名による日本への降伏勧告(ポツダム宣言)が出された後も、天皇と軍部は「国体護持」が約束されていないことを理由にその受諾を拒否し、絶望的に戦争を継続した。そして8月6日と9日のヒロシマ・ナガサキへの原爆投下まで行き着いたのだ。
 天皇が降伏を決断したのは、中立条約を結ぶソ連の仲立ちに最後の望みをかけていたのが、9日のソ連参戦でそれを断ち切られたからにほかならない。

歴史の歪曲・修正と一体

 1975年、ヒロヒトは日本記者クラブで記者から戦争責任について問われ、「戦争責任というような言葉のあやについては、私は文学方面についてはきちんと研究していないので、答えかねます」などと居直った。さらに被爆の責任について「こういう戦争中であることですから、どうも、広島市民に対しては気の毒であるが、やむを得ないことと私は思っております」と言い放った。
 戦争遂行とその結果としての原爆投下・被爆に直接責任のあるヒロヒトのこの居直りに、当時被爆者団体などは怒りの抗議を行ったが、天皇は撤回も謝罪もしなかった。その姿勢は、今の天皇にまで引き継がれている。その天皇がなぜ今、広島に来るのか。戦争と被爆に対する怒り、「二度と戦争を繰り返させない」という怒りを抑え込み、天皇制国家のもとに全人民を屈服させ、米日帝国主義の新たな中国侵略戦争に動員するためにほかならない。
 沖縄の「ひめゆりの塔」の展示に難癖をつけた自民党・西田昌司は、5月7日の会見で自らの発言を居直った上で、「過ちは繰り返しませぬから」という広島の平和公園の碑文に対しても「ものすごく違和感がある」などと悪罵(あくば)を投げつけた。沖縄戦やヒロシマ・ナガサキに行き着いた歴史をねじ曲げ、反戦反核の怒りと闘いを圧殺しようと必死になっているのだ。天皇の広島訪問は、こうした極右勢力の動きと完全に一体だ。
 今回、広島県知事や商工会議所、日本会議などが呼びかけ、天皇の宿泊するホテルの真下の旧市民球場跡地に1千人を動員し、ちょうちんを持たせて歓迎するという「行事」が企画されている。アジア侵略・大虐殺戦争を行った「天皇の軍隊」=日本軍をちょうちんで礼賛した歴史を彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。広島市教育委員会なども後援しており、子どもの動員も画策されている。
 これと一体で、広島市は5月23日、昨年と同じく8月6日朝の記念式典の最中、原爆ドーム周辺を含む平和公園を立ち入り規制し、集会を禁止することを発表した。昨年の規制に広島弁護士会などからも抗議声明が出る中で、今年も同様の規制に踏み込んできたのだ。この暴挙を徹底弾劾し、今こそ戦争と被爆への人民の怒りの深さ、中国侵略戦争・世界核戦争を阻止する決意を天皇と支配者どもに思い知らせなければならない。沖縄に続く天皇広島訪問への怒りの弾劾闘争をたたきつけ、今夏8・6広島闘争へ攻め上ろう!

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天皇制こそ戦争・被爆・差別の元凶だ!
天皇は広島に来るな!
6・19天皇訪問弾劾デモ
 6月19日(木)正午 原爆ドーム前集合
 午後0時30分 デモ出発
 主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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