年金改悪強行許すな 社会保障解体し戦時増税へ 与野党が競合しながら突進

週刊『前進』04頁(3400号02面05)(2025/06/16)


年金改悪強行許すな
 社会保障解体し戦時増税へ
 与野党が競合しながら突進


 中国侵略戦争が切迫する中、国会はますます戦争と総翼賛の反動を深めている。5月30日に衆院本会議を通過した年金改悪法案は、日本帝国主義が戦時国家体制の構築に向けて社会保障の解体に踏み込んできたことを意味するものだ。
 法案は基礎年金の受給額の長期にわたる減額を防ぐという口実で、厚生年金の積立金の一部を基礎年金に充てるとした。法案に賛成した自民党・公明党の与党と立憲民主党は、基礎年金の底上げで非正規雇用が多い「氷河期世代」は救済されると吹聴する。だが、これにより現在60歳代以上の厚生年金受給者はおおむね受給額を減らされる。遺族年金の支給期間を基本的に5年に限定することも盛り込まれた。また、この法案が成立すれば、基礎年金の財源として新たに2兆円程度の税金投入が必要になると見込まれる。

年金の民営化狙う国民民主党と維新

 年金給付額の削減と、いずれ不可避となった増税に対して労働者人民の怒りが噴出している。コメをはじめとした物価が高騰する一方、賃金は上がらず、人民にとって税金と社会保険料の負担の重さは耐え難い。怒りの声は当然だ。
 その怒りをかすめ取ろうとして、国民民主党や日本維新の会は、厚生年金の積立金の流用や「隠れ増税」にかみつくキャンペーンを始めた。だが彼らの真の狙いは社会保障の解体にある。維新の会はかねてから年金の積立金方式への全面移行を唱えてきた。国民民主党が都議選候補にした山口花は、「年金制度を廃止して手取りを増やせ」とあからさまに叫んだ。
 積立方式とは、年金保険料を払えない低所得者は受給額がゼロでも仕方がないという制度だ。個々人の掛け金が受給額に直結するのなら、公的年金も民営化できる。経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」は厚生年金の報酬比例部分の完全民営化を一貫して唱えてきた。昨年12月に経団連が出した「フューチャーデザイン2040」も、「現役世代への負担が大きい社会保険料への依存は、成長と分配の好循環を阻害する」として、「全世代型社会保障」の名でその解体を改めて主張した。国民民主党や維新の会は、まさにこの攻撃の実行部隊だ。

戦争財源の確保へ立憲民主が先兵に

 他方で経団連提言は、「財政健全化」をかつてなく強調し、「社会保障の財源である消費税収と社会保険料収入では給付を賄えない」として大増税を叫んでいる。社会保障は口実で、本当の目的は戦争財源を確保するための大増税だ。
 経団連提言は「法の支配に基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に貢献する」ため「総合的な国力の向上を図る」ことを方針の基本に据えた。日帝ブルジョアジーの意思として中国侵略戦争に突進すると宣言したのだ。
 かつて政権政党として消費税率アップを強行し、今また年金改悪を推進する立憲民主党は、この攻撃の積極的な推進者だ。
 与野党は年金や社会保障制度、その財源を巡り対立を装いながら、誰一人として8兆7005億円もの巨額の防衛費を問題にしない。反動を競い合い、中国敵視論と排外主義をあおり立てている。立憲民主党は「トランプ関税という国難に国益をかけて交渉している内閣の足を引っ張っていいのか」と言い内閣不信任案を提出しない方針を固めた。国会は総翼賛化して戦争に突進している。これを許さず、全世界の闘う人民と連帯して、実力闘争で中国侵略戦争を阻止しよう。
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