6・15国鉄全国集会発言(要旨) 労働運動変革へ新たな出発
6・15国鉄全国集会発言(要旨)
労働運動変革へ新たな出発
基調報告
動労千葉委員長 関 道利さん
11月集会の原点に立ち、反戦・反侵略―差別・排外主義と対決する労働運動を

国鉄闘争勝利へ扉を開こう
国鉄1047名解雇撤回闘争が、「勝利まであと一歩」の最後の厚い壁を打ち破って勝利をかちとることができるか否か、正念場を迎えています。われわれは、国鉄分割・民営化攻撃が国家的不当労働行為に他ならなかったこと、その真実を暴き出しました。反動が襲いかかっていますが、絶対に勝利の扉をこじ開ける。本日の集会は何よりも第一に、その固い決意のもとに開催されています。
しかし、現在の情勢は、そこにとどまっていることを許してはくれません。従って第二に、本日の集会を労働運動の変革に向けたわれわれの新たな出発の宣言としてかちとりたいと考えています。
トランプの登場が事態を一変させました。今も、ガザでは大虐殺が続き、ロサンゼルスでの移民排斥をめぐる州兵や海兵隊との激突は全米各地に拡大しています。没落するアメリカ帝国主義が延命をかけて中国をたたきつぶそうとしています。それが起きている事態の本質です。
そして石破政権は「自らの戦争」として中国侵略戦争に踏み出し、「中国脅威論」「国益」「国防」「愛国主義」にすべてが流し込まれ、国会では戦争予算が無抵抗で通過し、激しい物価高で生活が足元から崩れていこうとしています。
連合の変質が一線を越えて進み、「労働組合」の名をもって有事体制の下に労働者を組み込んでいく役割を果たしています。多くの人が「これからどうすればいいんだ」「何が起きているんだ」と真剣に考えています。そこには怒りがあり、思考停止があり、簡単には回答の見つからない試行錯誤があります。
戦争を止め、資本主義の危機を打開することができる唯一の存在として労働者階級の団結した姿をこの時代の最前線に登場させることができるのか、そのことが今まさに問われています。
どんな困難があろうと、われわれの力で階級的労働運動を再建する。今日をその新たな出発点にしたいと思います。
差別との闘い、自らの課題に
第三に、本日はこうした訴えに相反する報告をせざるを得ません。今年の11月集会を3労組で呼びかけることができない現状にあるということです。3労組の運動、それを支える労組交流センターの運動の中で、深刻な女性差別事件が起きたことを契機として3労組が一致して闘いの旗を振ることができなくなっています。それは運動の中心的な役割を担う活動家によって引き起こされた性暴力事件でした。11月集会運動は、被害を受け告発に立ち上がった女性たちをはじめ全国の仲間たちの血のにじむような努力によってかちとられてきた運動です。それがこのようなことになったことについて、心からおわびしなければなりません。
11月集会運動は、国鉄分割・民営化、総評解散・連合結成として展開された新自由主義攻撃に抗して階級的労働運動の再生をめざす闘いでした。新自由主義とは、資本主義の延命をかけて、社会から階級的なものを解体・一掃し、国家間の衝突を生み出す攻撃で、それはすさまじいまでに階級対立を先鋭化させ、民族抑圧や女性差別を激化させました。この40年余りの世界の歴史は、労働者だけでなく、被抑圧民族人民や女性たちの命がけの大反乱の歴史でした。
振り返ってみれば、われわれの運動がそうした問題を自らの課題としえていたのか、労働者の解放をめざした運動の中からなぜこうした事件を引き起こしてしまったのか、われわれの前には、問い返し、乗り越えていかなければならない多くの問題があります。
しかし、われわれは一歩も後退することはできません。築き上げてきた闘いを前進させ、発展させるために、身を切る思いで告発の闘いに立ち上がった当該の女性たち、それを支えて闘いを開始している全国の仲間たちとともに闘うことを、本日の集会の共同の決意としたいと思います。
3労組の間でもこの問題を乗り越えて、いつか共同の闘いを再開しようと議論をしていますが、動労千葉は、全国運動や大行進運動の仲間たちとともに、単独でも本年の11月集会を呼びかける方針を決定しました。これが本日の集会の第四の訴えです。
現在の動労千葉の組織的力量からすればそれは身の丈を超えた挑戦です。しかし、動労千葉自身も、現状に甘んじていられる情勢ではないと決断しました。
動労千葉は決して活動家ばかりの集団ではなく、ごく普通の労働者たちの組合です。多くの欠点、不十分な点を抱えています。でも、動労本部からの分離・独立戦争を闘いぬき、国鉄分割・民営化という国家を挙げた攻撃に真っ向から立ち向かって団結を守りぬき、JR体制下でも多くの解雇者を出しながら外注化阻止闘争や1047名解雇撤回闘争を闘いぬいてきたことへの確信は今も揺らいではいません。私は、故・中野洋委員長がくり返し訴えたように「動労千葉の中にこそ革命の現実性がある」と考えています。
11月集会が切り開いてきた最大の地平は、1989年における日本労働運動の敗北に抗して、全国の仲間たちとともに日本労働運動の変革、階級的労働運動の建設という大テーマを真っ向から掲げて、四半世紀を超える組織化を継続してきたことです。しかもその闘いの中で、韓国・民主労総との20年を超える連帯をはじめ画期的な国際連帯をつくりあげてきました。この戦争情勢下でそれを1ミリたりとも後退させるわけにはいきません。
11月集会は、1994年9・18労働者集会がきっかけとなって始まりました。故・中野委員長はその場で全身全霊をかけて「四つのスローガン」を訴えました。①大失業時代に通用する労働運動をつくりだそう! ②反戦・反侵略―差別・排外主義と対決する労働運動をつくりだそう! ③国鉄闘争を水路に、連合路線と対決する労働運動をつくりだそう! ④村山自社連立政権打倒! 闘う労働者の党をつくりだそう!という4本です。
全く新たな情勢の中で、この原点に返り訴えたいと思います。日本の労働者は必ず立ち上がる、困難に負けず組織しよう。その決意を込めて11月労働者集会を心より訴えます。
中国侵略戦争阻む労働運動
第一のスローガンは「中国侵略戦争阻止―差別・排外主義と対決する労働運動をつくりだそう!」です。
「台湾有事」が声高に叫ばれ、すべてが戦争の言葉で語られ、完全に歯止めが外れようとしています。アジア安保会議でも中国代表を目の前にして「中国が武力による台湾の制圧を試みれば米軍は闘い、決定的に勝利する」と語り、日本も「インド太平洋地域を一つの戦域として対応する」と応じたのです。
政府は、労働者を国益・国家の利害と一体化させ、戦争に動員しようとしています。しかし、もはや国益と労働者の利益は1ミリたりとも一致しません。
労働者・労働運動が格闘してきた古くて新しい課題として、戦争反対を労働運動の第一の任務とするという課題があります。中国侵略戦争は始まる前に止めなければなりません。労働者の国際連帯と差別・排外主義との闘いが戦争を止める闘い、労働運動再生の闘いの決定的な軸になります。
戦争情勢とは、滞日・在日外国人労働者への排斥だけでなく、女性差別や「障害者」差別、部落差別など、差別・排外主義がきわめて凶暴化し、物質力をもつ時代でもあります。差別・排外主義との闘いをきちっと位置づける運動にならないかぎり、労働運動は成り立ちません。特に、あえて言いたいことは、差別・排外主義を吹聴するのは帝国主義ですが、その物質的な力は労働者だということです。階級意識が解体され、労働者がそれにからめとられた時、労働者はその手先になる。逆にともに闘うことができた時、その運動は巨大な獲得力をもつことを確認したいと思います。
中国侵略戦争情勢下での労働運動について考える場合、1950年の朝鮮戦争の過程で起きたことを歴史的に教訓化することが必要です。「中立」と言って戦争に反対できず戦争特需にのみ込まれていったこと、「労働者階級の前衛党」であった日本共産党がどういう指導をし、どういう裏切りをしたのかをはっきりさせなければなりません。
自国政府の戦争政策と断固として闘いぬくことによって、国境を越えた労働者の国際連帯闘争をつくりあげる以外に戦争を止める力はありません。
戦時労働政策に立ち向かおう!
第二のスローガンは「戦時下における労働政策の歴史的転換に抗する労働運動をつくりだそう!」です。
経団連は、労働政策の歴史的転換攻撃に踏み出しています。「三位一体の労働市場改革」と称する攻撃を、戦時下における労働政策、国鉄分割・民営化に比するような国家改造攻撃として開始しています。核心は、国力のすべてを国防に集中し、重要戦略分野に労働力を移動していくことにあります。
「三位一体の労働市場改革」の第二は、労働基準法・労働基本権の解体です。来年の通常国会には労基法改悪案が提出されようとしています。それを連合が容認し、先行して連合案まで発表しています。現代版産業報国会への転落に他なりません。
「三位一体の労働市場改革」の第三は、エッセンシャルワーカーとしての外国人労働者の導入です。2040年までに688万人が必要だとしています。さらに「社会保障制度改革」が掲げられ、それが「悪化の一途をたどるわが国の財政問題は、社会保障の財源問題」だと、国家の存亡に直結した問題として位置づけられています。
しかし、こうした攻撃が社会の底が抜けたような崩壊をもたらします。労働運動再生をめぐる条件がこれまでとは全く違う次元で必ず生まれてきます。
国鉄闘争水路に連合と対決
第三のスローガンは「国鉄分割・民営化反対闘争が切り開いた地平を水路に、連合路線と対決する労働運動をつくりだそう!」です。
連合の産業報国会化を弾劾し、連合を足元からひっくり返していく闘いに挑まなければなりません。
国鉄分割・民営化攻撃と真正面から闘いぬいて負けなかった唯一の勢力であるわれわれにはその挑戦権があります。今年11月、第1波ストから40年の節目を迎えます。国鉄分割・民営化という戦後最大の労働運動解体攻撃に2波のストライキをもって立ち向かい、40名もの解雇者を出しながら団結を守りぬいた闘いは、戦後日本労働運動に全く前例のない前人未到の地平です。
われわれが切り開いてきた大きな地平を本当の意味で生かすのはむしろこれからの課題です。
JR東日本はこの5月、組織、人事・賃金制度のあり方を全面的に解体・再編する提案を行ってきました。支社をすべて廃止し、「国鉄由来の人事・賃金制度を抜本的に変革する」といって定期昇給制度を廃止し、全社員に職務能力給を導入するなど、戦後的労資関係や社会保障制度を最後的に解体する意志を込めた攻撃です。
東京地裁の反動判決を打ち破って、国鉄1047名解雇撤回闘争に絶対勝利します。高裁第1回裁判が勝負です。全国闘争として闘います。署名運動を含め怒りの闘いで東京高裁を包囲したいと考えています。
第四のスローガンは「反動石破政権打倒、闘う労働者の新しい党をつくりだそう!」です。
労働者の新たな党をつくろう!
今や国会は、戦後最悪の翼賛国会です。労働者が投票するに値するような政党は存在しません。労働運動の切実な課題として、労働者自身の力で労働者の利害を代表する党をつくりあげる必要があります。韓国・民主労総の仲間たちが「政治勢力化」をスローガンに掲げているように、それはきわめて普遍的大衆的なスローガンです。戦争を止め、社会を変革するために労働者の党が必要だと広範な労働者に持ち込み、真剣に考える時です。
戦後80年をめぐって進む天皇の下への国民統合攻撃に対し、労働運動の課題として天皇制反対の闘いを強化しなければなりません。
提起した「四つのスローガン」を、労働組合の基本路線にすえきって、その上で個別の具体的問題に対する闘いを展開していく必要があります。
簡単な闘いではありませんがここで勝負しよう。戦争を阻止しよう。階級的労働運動を復権させよう。一からの再出発です。動労千葉は先頭に立つ決意です。11月労働者集会の大結集に向けてぜひ力を貸して下さい。ともに闘いましょう。
国鉄1047名解雇撤回闘争
労働者の団結で未来を開こう
動労千葉副委員長 中村 仁さん

東京高裁へ向けた最高裁決定に基づく解雇撤回・JR復帰、団交開催の判決を求める署名のご協力ありがとうございます。
国鉄分割・民営化の攻撃は、労働者の分断を目的としたものでした。私は1978年に、高校を卒業し、多くの仲間と共に夢を抱いて国鉄に入社しました。3年後には念願の電車運転士として、プロとして誇りを持って働き始めました。
しかし、「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根政権が登場し、臨調行革路線と、国鉄の赤字を口実とした国策としての民営化攻撃が襲いかかってきました。すさまじい合理化と労働組合への攻撃でした。それは、青年労働者を職場から遠ざけ、元職の運転の職場を奪い、駅への配転などを強制しました。将来への不安をあおり、生活を破壊し、分断し、労働者としての誇りを奪う攻撃でした。
動労千葉が85年のストライキを宣言した時、国鉄当局はストライキに入ったら全員解雇だと恫喝しました。しかし動労千葉はこれに屈せず、ストライキを貫徹しました。私の職場であった千葉運転区では、支部長、副支部長、書記長らがこのストライキで解雇処分とされ、他の執行部も停職処分になりました。
私は6カ月の停職処分にされ、これを含めた2度の処分が、私をJRに採用しなかった理由です。
動労千葉はストライキによって28人が解雇され、12人が清算事業団に送られ、血を流しながらも団結を崩さずに、ほとんどの組合員がJRに採用されました。JR発足後も組合差別が続いていますが、組合員はこれに負けずに闘い続けてくれています。分断されても屈しない意志を持って、団結を守って闘っています。支配者は労働者の団結を一番恐れています。だからこそ職場での闘いを強め、全国の仲間と連帯し、実力で権利を勝ち取ることが重要だと思っています。
東京高裁へ向けた解雇撤回・JR復帰を求める署名が全国の仲間から現在3274筆届けられています。署名はただの紙ではありません。仲間の団結の証であり、私たちの力です。労働者の未来は、資本家への迎合やお願いでは決して切り開くことはできません。闘う労働運動を私たちの手で広げ、仲間と共に実力でかちとるものです。
11月全国労働者総決起集会に向けた、明日を、未来を切り開く原動力に皆さんでなりましょう。
連帯あいさつ
労農連帯を貫き闘い抜く
三里塚芝山連合空港反対同盟 市東孝雄さん

皆さん、日頃のご支援に深く感謝いたします。ご存知のように耕作権裁判、19年を経て判決が出ました。しかし、その判決文がちょっと信じられないんです。19年間、何のために裁判をやったのか。終わってみれば結局、土地の位置、場所、それから親父の問題とか色々な問題も全て取り払って、面積が同じになれば関係ないんだと。そんな判決がどこにありますか。
これから私どもは高裁に行きます。まだ期日が入っていませんが、裁判というものがどれほどひどいものか知らされました。そういう中で私たちは労農連帯という形で皆さんに助けられてきました。中でも動労千葉とは50年にわたる関係で助けられています。これからも動労千葉と一緒にやっていくつもりでいます。
市民、学生、それと国策と闘っている皆さん、福島、沖縄、三里塚、一つの闘いとして闘い続けていきます。そして、何事も諦めず声を上げていく。反対同盟は当初から「農地死守、軍事空港絶対反対」の志を常に持ってきました。これからも皆さんと共に闘い続けたいと思います。
国際連帯の訴え
国境越えた力が世界を変える
全国鉄道労組ソウル地方本部 カンジョンナム本部長

闘う日本の同志たちに尊敬と連帯のあいさつを送ります。6・15全国集会に共に参加できて光栄です。
韓国は6月3日大統領選が終わり、政権が交代しました。内乱勢力清算を願う市民たちの勝利です。
2024年12月3日、ユンソンニョル大統領の非常戒厳宣布に対し、多くの労働者、市民たちが立ち上がりました。その日、国会前には、私を含めた鉄道労組ソウル本部の同志たちもいました。その結果、戒厳解除をかちとり、123日間の闘いで、ついにユンソンニョルを罷免させました。
ロウソク革命を超える光の広場、応援棒(ペンライト)の革命です。その闘いの広場で、最も大きな役割を果たしたのが労働者の組織です。民主労総は、闘争の広場で道を開き、多くの市民たちの応援と拍手をもらいました。今後、ユンソンニョル罷免広場の力を持ち、社会大改革のための闘いに立ち上がります。
闘う日本の労働者同志の皆さん! 韓国の光の広場の闘いと日本の同志たちの闘いに違いはありません。闘う労働者は一つです。労働者の連帯に国境はなく、労働者の国境を越える団結でよりよい世の中をつくることができます。
私たちは日本の保守政権の新自由主義攻勢に伴う国鉄分割・民営化と公共部門の民営化に伴った弊害について、そしてこれとの闘いをよく知っています。
特に1047名解雇撤回闘争と、継続される構造調整に対する動労千葉の同志たちの模範的で、素晴らしい闘いについても多く学んでいます。皆さんの闘争がどれほど重要かを私たちはよく理解しています。皆さんが示す勇気と粘り強さは、私たちにとっても大きな力になります。
韓国の鉄道労働者は今年、分離された高速鉄道KTXとSRTを統合する闘いを通して、分離された鉄道を統合させるために闘っています。6月の1カ月間、全組合員たちに会い、教育し、説明し準備しています。労働組合の力は、組合員の団結した力です。
闘う日本の労働者同志の皆さん! 同志たちの闘う労働組合を建設するための努力に連帯と支持、応援を送ります。私たちが共につくった連帯の力が、いずれこの世の中を変えると信じます。共に手を握り、熱く闘いましょう。同志たちの健康と勝利を祈ります。
トゥジェン(闘争)!