帝国主義の世界戦争許すな 米帝のイラン爆撃弾劾 今夏反戦反核闘争に総力を

週刊『前進』04頁(3402号01面01)(2025/06/30)


帝国主義の世界戦争許すな
 米帝のイラン爆撃弾劾
 今夏反戦反核闘争に総力を


 6月21日夜、イランの地下核施設3カ所に対し新型地中貫通弾「バンカーバスター」による爆撃を強行したアメリカ帝国主義・トランプは、「イランの主要な核施設は完全に破壊された」「歴史上最も成功した軍事攻撃」などと演説した。この凶暴な帝国主義の侵略を怒りを込めて弾劾する! トランプはこの爆撃強行をもって米軍の圧倒的力を中国やロシア、北朝鮮に見せつけた。同時にEUや日本の帝国主義に対し、米帝だけがこのような戦争ができる唯一の帝国主義であることを思い知らせ、米帝の軍事的・経済的要求に従わせる争闘戦を貫徹している。欧・日の帝国主義も帝国主義としての存立をかけ、米帝の要求に応じ大軍拡と中国侵略戦争・世界戦争に突き進むしかない。情勢はさらに加速した。今夏反戦闘争に総決起しよう!

米帝が巨大軍事力を発動

 米軍は「ミッドナイト・ハンマー(真夜中の鉄つい)」と名づけられた対イラン作戦で、潜水艦から巡航ミサイル「トマホーク」を24発以上発射し、これに続いて7機のB2ステルス戦略爆撃機が「バンカーバスター」GBU57を計14発投下した。作戦にはB2のほか空中給油機、戦闘機、偵察機など合計125機の航空機が動員され、約75発の精密誘導兵器が使用された。トランプは数カ月にわたってこの大作戦を準備し、発動するタイミングを図っていたのである。
 トランプはこのイラン爆撃について、広島と長崎への原爆投下になぞらえ「戦争を終結させた」などと言い放った。放射能汚染の被害をも一顧だにせず核施設への大型爆弾による攻撃を強行したこととも合わせ、米帝・トランプは自らの軍事力を誇示するためなら核攻撃をも辞さないことを公然と表明しているのだ。断じて許すことはできない。
 イランの現体制は、親米パーレビ王制を打倒した1979年のイラン革命で成立し、米帝の中東支配の決定的破綻点をなしている。米帝は、第1次トランプ政権下の2018年にイランとの核合意を一方的に破棄して経済制裁を再開し、イランを追いつめようとした。だが、これに対しイランは、21年に中国と25年間の包括的戦略パートナーシップ協定を締結し、23年3月には中国の仲介のもとでサウジアラビアとの国交を樹立、イスラエルと中東諸国との国交樹立(通称・アブラハム合意)を通じてイラン包囲網を構築しようと画策してきた米帝の中東戦略に大打撃を与えた。これに焦った米帝が23年秋の過程でイスラエルとサウジの国交回復へ交渉を成立させようとした瞬間、10・7パレスチナ蜂起がたたきつけられ、米帝の中東戦略はさらなる大破綻にたたきこまれた。他方、25年1月には中国やロシアが主導する「BRICS」にイランが正式加盟するなど、中国とイランの関係強化が進んだ。
 こうした事態を受け、米帝・トランプは中国侵略戦争に向かってイランをたたき、イスラエルを先兵とする中東支配の再建を図るために、今回のイラン爆撃に踏み切ったのだ。そして、重量13㌧超、全長6㍍以上もある世界最大級の通常爆弾バンカーバスターを実戦で初めて使用することによって中国に恫喝を加えると同時に、欧州諸国や日本などの同盟国にも米帝の圧倒的軍事力を見せつけたのである。

NATOが歴史的大軍拡

 25日、ひとまずの停戦合意に応じたイスラエルとイランの双方が「勝利宣言」を発し、トランプは「戦争終結」を表明したが、世界戦争・核戦争への留め金を外したのは米帝・トランプ自身であり、帝国主義が延命を続ける限りこの世界戦争への歴史的プロセスを止めることはできない。
 こうした中、トランプも出席して24~25日にオランダで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、加盟国の防衛費を2035年までに国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標で合意したとする首脳宣言が発せられた。現行の2%から大幅な引き上げだ。英首相スターマーは首脳会議で、核兵器を搭載できる米国製新型戦闘機F35A12機を購入し、NATOの「核共有」の一環としてアメリカの核兵器を共同で運用することを表明した。これに先立つ2日には「戦略防衛見直し」で、150億㍀をかけて国産の核弾頭を開発・製造すると発表。5日のNATO国防相会合では、ミサイルなどの迎撃能力を現在の5倍の規模に増強する方針で合意した。
 またNATOのルッテ事務総長は会議直前の記者会見で、米軍によるイラン攻撃は「国際法違反ではない」とトランプを擁護した。まさに今回のNATO首脳会議で、欧州帝国主義はトランプの要求に応じるがままに世界戦争・核戦争の放火者として一線を越えた大軍拡に踏み出したのである。
 米帝は日本を含むアジアの同盟国にも、NATOと同水準まで防衛費を引き上げるよう求めている。すでに日帝には非公式で3・5%増額を要求している。石破は米帝の激しい争闘戦に追いつめられ、NATO首脳会議の直前になって欠席を通告せざるを得なくなった。だが石破は結局、米帝と一体化して、日本全土を戦場化する中国侵略戦争に突き進む以外にない。帝国主義とスターリン主義の根底的打倒こそが世界戦争・核戦争から人類を救う唯一の道だ。
 今夏8・6広島―8・9長崎闘争に向け、歴史を決する中国侵略戦争阻止の反戦反核闘争に全力で立ち上がろう!

人民の怒り示す自民大敗

 6月22日に投開票が行われた東京都議会議員選挙の結果は、自公政権に対する労働者人民の怒りの広さと深さ、そして日本帝国主義の既存の政治支配の崩壊ぶりをまざまざと示した。
 自民党は獲得議席を30から21へと大きく減らし、過去最低だった2017年の23を下回る歴史的大敗となった。公明党は大拠点と言われた新宿区や大田区で3人が敗れ、36年ぶりの落選者を出した。この政権与党の大敗にもかかわらず、日本共産党は怒りの結集軸になれず5議席も減らして野党第一党から転落し、議席を上積みした立憲民主党にその座を譲った。他方、これまで都議会に勢力を持たなかった国民民主党が9議席、参政党が3議席を獲得した。「日本ファースト」を掲げる参政党は、石原都政時代の天皇制教育の復興や「不法就労」取り締まり強化など外国人排斥を訴える極右・排外主義政党だ。
 これに続く7月3日公示―20日投開票の参院選は、与野党を挙げて国家主義・排外主義を競い合う場になろうとしている。6月22日閉会した今通常国会では、トランプ関税に対し「国難」が叫ばれ、全政党が国益主義を満展開させた。立憲民主党は「国難に際して政治的空白をつくるべきではない」として内閣不信任案も出さず石破を救済、日本共産党もこれを支持した。能動的サイバー法案や学術会議法人化法案など戦争法案が成立する一方、衆院憲法審査会では12日、自民、公明、日本維新の会、国民民主、会派「有志の会」の5党派が戦時の国会議員の任期を延長する改憲骨子案を初めて提示した。
 だが、この腐りきった政治と社会に対する労働者階級人民の怒りは地に満ちている。いま何よりも求められていることは、反戦闘争の荒々しい内乱的・実力闘争的な爆発であり、帝国主義=自国政府の戦争と差別・排外主義に絶対反対で立ち向かい、社会の根底的変革をめざして闘う本物の革命党の登場である。今夏反戦反核闘争の爆発をかちとり、青年・学生・女性を先頭に巨大な革命勢力の歴史的登場をかちとろう!

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