イジェミョン政権の正体 労働者の要求に背を向け 日米韓軍事同盟強化狙う

週刊『前進』04頁(3402号02面02)(2025/06/30)


イジェミョン政権の正体
 労働者の要求に背を向け
 日米韓軍事同盟強化狙う


 韓国で6月4日、最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)が大統領に就任した。この政権交代は、前大統領ユンソンニョルが昨年12月の非常戒厳宣布をめぐって弾劾・罷免(ひめん)されたことで実現した。命がけでユン政権の戒厳クーデターに立ち向かった労働者民衆の怒りがイジェミョンを大統領へと押し上げたのだ。しかしイジェミョンは早くも労働者階級を裏切り、社会大改革の闘いに敵対している。

「国益重視」を掲げ人民の闘いに敵対

 イジェミョンは、かつてはユン政権の進める日米韓軍事同盟構築や軍事演習、「軍隊慰安婦」=日本軍の性奴隷制をめぐる日本帝国主義の対応を批判していた。しかし、ユンソンニョルの弾劾訴追案が可決されて大統領の座が視野に入るや立場を翻し、自らは「進歩ではなく中道保守」「左派でも右派でもなく実力派」などと主張し始めた。
 選挙戦では「経済成長」や米韓同盟・日米韓協力の重要性を押し出し、与党とほとんど変わらない主張を展開した。イジェミョンは「国民統合」「トランプ関税対策」を大義名分に、社会の根底的変革、南北分断打破を求めて闘う労働者民衆を公然と裏切り、闘いに敵対する道を選んだのだ。
 加えて、就任式後の記者会見では、日帝の植民地支配下で「徴用工」(強制連行・強制労働被害者)とされた人々の訴訟をめぐり、ユン政権の「解決策」を継承する考えを示した。すなわち、「1965年の日韓条約・請求権協定で解決済み」として侵略と植民地支配、戦争犯罪のすべてを居直る日帝と同じ立場に立ち、韓国の労働者民衆の闘いをたたきつぶすということだ。これが「国益重視の実用外交」の内実だ。
 イジェミョンは就任後、トランプに次ぐ2番目の電話会談の相手として石破を選び、6月17日には主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせてカナダで日韓首脳会談を行った。これらの会談で石破とイジェミョンは、「北朝鮮問題を含む地域のさまざまな地政学的危機」に対応するために日米韓・日韓協力を深化させる考えを強調した。
 首脳会談ではさらに「歴史問題は適切に管理し、未来志向の関係を築いていく」ことが確認された。「歴史問題を管理する」とは、日帝の侵略と植民地支配の責任を問う闘いを、国家権力を行使して弾圧・圧殺するという宣言だ。日韓労働者階級にとって、絶対に許せない内容だ。

韓国労働者人民と団結し日帝倒そう

 しかし、民主労総をはじめとする闘う韓国の労働者民衆は、イジェミョンにいかなる幻想も抱いてはいない。大統領パククネを打倒した2016~17年の「ろうそく革命」を受け17年に大統領に就任した「共に民主党」のムンジェインは、就任直後からペテン的な「公共部門非正規職ゼロ」を打ち出すなど、あたかも労働者民衆の怒りに応えるかのようなポーズをとったが、実際には労働者の状況はむしろ悪化し、ユン政権の誕生につながった。
 民主労総は今回のイジェミョン当選を受けて声明を発し「市民の要求を受け入れることができない政府は、いつでも沈没させることができる」と警告。中でも、ユン政権の時から高空籠城(ろうじょう)闘争を続ける労組執行部らは「大統領選が終わっても労働者の人生は変わらず、依然として非常戒厳のような状況におかれている」と訴えている。「内乱勢力清算」と社会大改革のための闘いは、これからが正念場だ。
 何より、こうした動きの一切は米日帝が中国侵略戦争へと突き進む中で起きている。在韓米軍は韓国を「日本と中国本土の間に浮かぶ固定された空母」(ブランソン司令官)と位置づけ、中国侵略戦争に向けた在韓米軍の再編と一体で韓国軍を強化し、北朝鮮と対峙するよう求めている。日米韓軍事同盟の強化は南北朝鮮―アジア人民を戦火に引きずり込むものだ。
 韓国労働者民衆の闘いに応え、日本から日帝・石破政権打倒、中国侵略戦争阻止の闘いを巻き起こそう。

このエントリーをはてなブックマークに追加