「スパイ防止法」制定阻止を 中国侵略戦争への動員と反戦運動弾圧狙う治安法

週刊『前進』04頁(3403号02面03)(2025/07/07)


「スパイ防止法」制定阻止を
 中国侵略戦争への動員と反戦運動弾圧狙う治安法


 自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会(会長・高市早苗)は5月27日、「『治安力』の強化に関する提言」を石破首相に提出した。提言は「国際的な環境の変化に伴い、日本の治安に対する脅威は高まっている」と危機感をあおり、政府による情報収集能力の強化、情報部門の体制・予算の強化を求め、「諸外国と同水準のスパイ防止法の導入」を検討すべきだと主張している。
 これは米日帝国主義による中国侵略戦争のための総動員体制づくりの決定的攻撃である。高市は同法の狙いについて、「外国政府勢力によるスパイ活動を規定、監視し必要があれば逮捕する」ためだと語っている。だが、戦前の歴史を見れば明白なように、スパイ防止法の狙いは、国民の戦時危機意識を高め、精神的に中国侵略戦争に動員するとともに、民衆を分断し相互監視させ、戦争に反対する者を摘発して徹底的に弾圧することである。絶対に許してはならない。
 安倍政権下の2013年には「特定秘密保護法」が制定されたが、これは軍事などに関わる限定的な「特定秘密」の漏洩(ろうえい)防止を主目的として、処罰の対象を「特定秘密」を扱う公務員などに限定してきた。これに対してスパイ防止法は、「外国勢力のスパイ活動を取り締まる」と称して、すべての人民を対象に日常生活の隅々まで権力が監視し、弾圧を狙う治安弾圧法そのものである。
 「提言」では「仮装身分による情報収集」をも検討すべきだと言っている。これは警察官などが身分を隠して反戦運動や大衆団体に潜り込み、スパイ活動を行うということである。「スパイ防止法」などと言いながら、日帝自らが民衆の中に潜入してスパイ活動を強めようとしているのだ。
 自民党・中曽根政権は1985年、最高刑を死刑とする「国家秘密法」(スパイ防止法)の制定を狙ったが、それは労働者人民の強い反対闘争で粉砕された。それから40年、一層の没落と危機、階級支配の破綻の中で戦争をする以外に延命できなくなった日帝は、なりふり構わずスパイ防止法制定に突き進もうとしているのだ。
 自民党は参院選の公約に「違法外国人ゼロ」を掲げ、国民民主党は「スパイ防止法の制定」を掲げた。まさに今次参院選は、与野党が国家主義、排外主義を競い合う超反動的選挙である。
 戦前、治安維持法や軍機保護法、国防保安法のもとで、どれほど多くの労働者人民が弾圧され虐殺されたことか。45年の沖縄戦では、多くの沖縄人民が「スパイ」の名目で日本軍によって虐殺された。「天皇のために自ら命を捧げようとしない者、天皇の軍隊の命令に従わない者は天皇と国家への裏切者、すなわちスパイと見なされて殺されても当然と考えられ、そして実際に殺された」(林博史『沖縄戦』)のだ。
 このような歴史を繰り返してはならない。スパイ防止法制定策動は、反戦闘争の爆発に対する日帝支配階級の恐怖と危機感の表れだ。「連帯し、侵略を内乱へ」の路線のもと、中国侵略戦争阻止の反戦闘争を大爆発させ、改憲とスパイ防止法制定を粉砕しよう。
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