8・6広島―8・9長崎へ 核戦争絶対阻止へ世界に轟く反戦反核闘争を
8・6広島―8・9長崎へ
核戦争絶対阻止へ世界に轟く反戦反核闘争を


イスラエルのイラン空爆に続くアメリカ帝国主義によるイラン核施設への攻撃は、「核戦争前夜」の状況へ一挙に世界を引きずり込んだ。大気や土壌の放射能汚染の危険など一切省みずに行われた、核攻撃にも比すべき暴挙に対し、主要7カ国(G7)は「自衛の権利」だとイスラエル支持を表明し、米帝トランプは「広島・長崎の例と本質的に同じ」だと爆撃を正当化した。全帝国主義国が「核で先制攻撃する」ことを積極的に認め、核戦争の準備を進めている事態が戦後80年の今、われわれの眼前にある。日本労働者階級がいかに闘うかが問われている。歴史的決戦となった今夏8・6広島―8・9長崎闘争に総決起しよう。
米帝こそ核戦争危機の元凶
対中国想定空前の核近代化計画
「世界は核軍拡の時代に入った」----スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は6月16日、世界の核弾頭が増え続ける状況をこう指摘した。また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が6月13日に発表した報告書によると、2024年の核兵器関連支出は核兵器を保有する9カ国で1002億㌦と前年から11%増加し、日本円で15兆円に迫る規模となった(1分あたり約3千万円)。その内訳をみれば明らかなように、米帝の核関連支出は他の8カ国の合計を上回り、昨年1年間で増加した支出額も他8カ国の合計を超える。G7が「脅威」と名指しする中国とロシアの支出は合計しても米帝の半分にすら届かない(図参照)。
しかも米帝の実際の核戦力は額面をはるかに超える。米国防総省の24年の報告によれば、米軍は国外45の国・地域に545カ所の基地を持ち、16万超の人員を常駐させている。「核共有」によって欧州諸国に自国の核兵器を配備し、日本には密約で核兵器を持ち込めるようになっていることがわかっている。つまり、米帝は自国内に大量配備された大陸間弾道弾(ICBM)や戦略爆撃機だけでなく、原子力潜水艦や核兵器搭載可能な戦闘機を用いて、世界中の拠点を利用して核兵器を運用しうる態勢にあるのだ。
米帝は2010年、「核なき世界」を掲げたオバマ政権時に「核兵器近代化計画」を策定し、「30年間で1兆㌦」という巨額を投じることを決定。以降、第1次トランプ・バイデン両政権もこれを受け継ぎながら予算を増やし続けた。そして、現政権下ではさらに「今後30年間で1兆7千億㌦」を投じて核兵器開発を進め、23~32年の10カ年で毎年750億㌦を投じる計画だという(「ニューズウィーク」7月1日付)。物価を考慮しても、第2次大戦中のアメリカの原爆開発計画「マンハッタン計画」の2倍を上回る。
核兵器近代化計画は米核兵器の発射装置、運搬手段、核弾頭の全てを更新するかつてない計画だ。米国防総省が23年10月に新たに開発することを発表した核爆弾B61―13は、これまでドイツやイタリアなど北大西洋条約機構(NATO)諸国に核共有で配備してきた核爆弾を更新するもので、その威力は広島原爆の24倍というとんでもない代物だ。イラン攻撃に使われた戦略爆撃機B2を更新するB21レイダーは今年中に運用が開始されようとしている。新型ICBMや新型原子力潜水艦の長期的な開発計画も進めており、いかに米帝が核戦争を推進しているかを証明している。
「唯一の核兵器使用国」であり最強の核兵器保有国である米帝が、「核抑止」を掲げ「核開発を阻止する」としてイランを先制攻撃し、これを「自衛」と称して全帝国主義が支持する----これこそが帝国主義の正体だ。核戦争危機の元凶は米帝にほかならない。
英仏帝が核兵器の運用で初の連携へ
米帝のイラン攻撃が世界を揺るがす中で、欧州の核保有国であるイギリス・フランス両帝国主義は7月10日、核兵器の運用で連携することに合意したと発表、「仏大統領府と英内閣府が主導し、政策、能力、運用全般にわたる調整を行う英仏核運用グループを設立する」として、核兵器使用の決定権は独立を保つが、「重大な脅威」に協調して対処することを宣言した。英仏帝はこれまでも核技術の研究などでは協力してきたが、運用の連携に踏み込んだのは史上初のことだ。
すでに3月にはマクロン仏大統領が、「フランスの『核の傘』で欧州の同盟国を守る」という構想を述べていた。英帝も6月に新しい「戦略防衛見直し(SDR)」を発表、「戦闘即応体制への移行」を明確化して新型核兵器の製造などに150億㍀(約3兆円)を投じ、攻撃型原子力潜水艦を12隻建造することを明らかにした。また同月24日には、核兵器が搭載可能なF35A戦闘機12機の導入を発表して「英国独自の空中発射核兵器を退役(1998年)させて以来、初めて英国空軍に核兵器の役割を再導入する」と宣言していた。
歴史的大没落に規定されて中国侵略戦争に突進する米帝は、中国やそれと連携するロシアやイランに対してだけでなく、他帝国主義に対しても関税攻勢で争闘戦をしかけている。この争闘戦に対抗するためにも、帝国主義各国は米帝の中国侵略戦争に同調しつつもその中で独自の軍事大国化・核大国化への衝動を噴出させているのである。
英仏帝の動きは、再びの軍事大国化へ進むドイツ帝国主義の動きともシンクロしながら、帝国主義間争闘戦をさらに激化させ、米日帝国主義の中国侵略戦争を軸とする3度目の世界戦争をより破滅的な核戦争として実現するものとなる。絶対に許してはならない。
核ミサイル日本配備を提言
米日高官ら、非核三原則改定狙う
米帝の中国侵略戦争に積極的に参戦し、その中で敗戦帝国主義としての制約を突破することを狙う日本帝国主義は、自らも核戦争を構える主体になろうと策動している。
今年6月2日に笹川平和財団が提言した「非核三原則の見直し」は日帝・石破政権の意志そのものである。日米政府と米軍・自衛隊の元高官らが3月にハワイ・ホノルルで行った会合をベースとして日本側がとりまとめたその提言は、「特に、非核三原則のうち、『(米国に核を)持ち込ませず』は......『(中国に核を)撃ち込ませず』というべき」と明記し、その「撃ち込ませず」の具体化として「日米の核共有」、すなわち米軍による核兵器の持ち込みとその使用にまで踏み込もうとしている、許しがたいものだ。
核共有はNATOで行われている制度で、「米軍の核兵器を同盟国内に保管し、その使用を指示されれば同盟国が保有する運搬手段を用いて使用する」というものである。提言では「航空自衛隊が保有するF35Aを核兵器搭載も可能にすること」を具体例として挙げている。つまり「撃ち込ませず」の実践は、米軍が日本国内の米軍基地を用いて核を中国に撃ち込むことであるとともに、自衛隊が米軍の核を中国に撃ち込むことなのである。核の具体的な使用方法まで示しておきながら「非核三原則」とはよく言ったものだ!
三沢に核貯蔵庫沖縄に再配備も
さらに提言は「戦域射程の地上発射型ミサイル(極超音速兵器を含む)の国内配備を表明すべき」「核弾頭搭載型の同様のミサイルの開発及び配備の可能性についても模索すべき」と続く。これはいわゆる「中距離核戦力(INF)」の日本への配備ということにほかならず、NATOの核共有よりもエスカレートしたものだ。
1980年代に西ドイツへの米国製中距離核ミサイル配備に抗議する数百万人の決起があり、88年の米ソ間でのINF全廃条約の発効を経て、欧州に配備された米核兵器は現在、自由落下型の核爆弾B61だけとなっている。制空権を確保しなければ使用困難な自由落下型と、核による先制攻撃を可能とする中距離核戦力は、核兵器としてもその攻撃性能は段違いである。
「核兵器を開発しようとしている」として都市部や地下核施設に先制攻撃をしかけた米帝・イスラエルによるイラン攻撃は、まさしく「撃ち込ませず」の実例にほかならない。しかも今や米帝は対中国で戦術核を使い、中国人民を虐殺することも辞さない構えだ。この戦争がアジア一帯に破滅的な被害をもたらすことは明らかである。帝国主義の本性がここに表れている。
さらに提言では参考資料として3月の会合の際の発言や議論が紹介され、その中では「日本がF35A用の核弾頭貯蔵施設を三沢に建設」することや「潜水艦発射型の核弾頭ミサイルを搭載した原子力潜水艦の寄港」、「南西諸島への地上発射型中距離核ミサイルの配備」が議論されたことがわかる。本土「復帰」から半世紀を経て、再び沖縄に核が持ち込まれようとしているのだ。
また、日帝・石破は2011年原発事故の直後、8月に出演した番組において「原発を維持することは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという『核の潜在的抑止力』になっている」と語った。石破政権の原発再稼働と六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)などの核燃サイクル施設の稼働を狙う攻撃は、核共有と一体の中国侵略戦争に向けた動きだ。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマの怒りをひとつに、米日帝の中国侵略戦争・核戦争絶対阻止へ闘おう。