支配の崩壊示した参院選 自公大敗で内乱的激突へ 革命的労働者党の登場を
週刊『前進』04頁(3406号02面01)(2025/07/28)
支配の崩壊示した参院選
自公大敗で内乱的激突へ
革命的労働者党の登場を

(写真 女性・青年・学生を先頭に、多数の飛び入りの合流かちとり400人でデモ【7月19日 新宿】)
7月20日に投開票が行われた参院選は、自民党・公明党の与党が大敗する結果となった。自民党支配への労働者人民の怒りがたたきつけられたのだ。これを受けて23日には「石破辞任の意向」が報じられ、石破本人が即それを否定するなど、権力中枢が混乱含みの政界再編に動き出している。野党に政権を担う力はなく、日本帝国主義の政治危機はさらに深まる。そうであればあるほど、日帝は中国侵略戦争に突き進む以外にない。必要なのは中国侵略戦争を絶対に阻止する労働者人民の実力闘争であり、それを組織し先頭で闘う革命的労働者党の登場だ。
人民の怒りが石破を打倒
参院選での自民党の獲得議席は13減の39議席、公明党の獲得議席は6減の8議席、自公合わせて47議席にとどまった。石破は参院で与党過半数を維持するために自公で50議席獲得を必達目標にしたが、結果はそれにも及ばなかった。昨年10月の衆院選に続く自公の大敗で、国会は衆院・参院ともに与党が過半数を割り込んだ。ここに表れた自民党への怒りは、既成の政治支配全体にも向けられている。
野党第1党の立憲民主党は、増減ゼロで22議席を維持するにとどまった。同党は自民党に対する人民の怒りの受け皿にもなれなかった。日本共産党に至っては当選は3人で4議席も減らし、非改選を含む参院の議席はわずか7に転落した。
他方で国民民主党が13議席増の17議席、参政党が13議席増の14議席を得た。既成の政治支配が崩壊する中で、特に青年層の自民党への怒り、生活破壊への怒りを外国人排斥・排外主義にねじ曲げて、こうした勢力が反革命的に登場してきたのだ。
政治的混迷が深まれば深まるほど、日本帝国主義は中国侵略戦争に突き進むほかにない。国会内にはこれと対決する者は一人もいない。参院選はその現実を改めて突き出した。総翼賛化し戦争阻止へ闘おうともしない野党も、石破と同様、人民から見放されたのだ。
だが参院選の過程では、外国人排斥と排外主義、女性差別をわめき散らす参政党への激しい怒りが噴出し、様々な抗議行動が展開された。その先頭に立ったのは青年層だ。労働者人民は決して国家主義・排外主義に制圧されてはいない。激突をも辞さず、変革を求めて人民は動き出している。階級情勢は一気に内乱的激突に突入した。
収まらぬ生活苦への憤激
この事態を規定しているのは、既成の政治支配がもたらした閉塞(へいそく)状況への労働者人民の憤激だ。三十数年にわたり、労働者は非正規職化と低賃金の攻撃にあえぎ続けてきた。世帯の年間所得の中央値は、1995年の550万円をピークに2022年には405万円にまで落ち込んだ(厚生労働省の国民生活基礎調査)。労働者は子どもを産み育てることもできず、人口は減少し続けた。その矛盾を、自公政権は税金と社会保険料の継続的な引き上げに転嫁してきた。税金と社会保険料の所得に占める割合は、22年度には48・4%に達した。そこにウクライナ戦争以来のインフレが襲いかかった。今年4月の総合消費者物価指数は前年同月比で3・5%上昇した。この半年、日本のインフレ率は主要7カ国(G7)の中で一番高い状態が続いている。生きることもままならないこうした現実を放置し、むしろ資本の延命のために意図的にそれを存続させてきたのが自民党だ。これへの怒りが噴出したのだ。
この怒りは、国民民主党などが唱える「手取りを増やす」というペテン的スローガンのもとには決して集約されない。戦争が切迫すれば、戦時大増税に賛成する彼らの本質は必ず暴かれるからだ。
岩盤保守層の離反で生まれた参政党
参政党や国民民主党は、生活苦に対する人民の怒りを外国人排斥にねじ曲げるために、排外主義をけたたましく扇動した。「日本人ファースト」を掲げる参政党の改憲案は、「天皇を元首とする君民一体の国家」を叫ぶ。法律の公布などに対する天皇の拒否権を明記し、「自衛軍の保持」「教育勅語の尊重」「日本を大切にする心が国民の要件」などの項目を並べ立てる。その主張はおぞましい限りだが、彼らは新手の極右として突然出てきたものではない。戦前と同様の天皇制国家の復活を夢想する岩盤保守は、従来は安倍派などの自民党を支持する層をなしていた。それが、安倍なき自民党支配という危機の中で、自民党からの離反として析出されたのだ。支配階級は参政党に資金を与え、マスコミにも頻繁に登場させて、意図的にその存在を押し出した。こうして議席を拡大した参政党は、「野党」であることの無責任性をもフルに使って、戦時体制づくりに血道を上げている。
総翼賛の戦争国会粉砕を
アメリカ帝国主義・トランプ政権はイラン核施設への爆撃で核戦争への留め金を完全に外した。米帝は日本をはじめとする「同盟国」にも関税戦争を激しく仕掛けながら、中国侵略戦争を引き寄せている。これへの日帝の唯一の対応策は、トランプと一体となり、自身の戦争として中国侵略戦争の最前面に立つことだ。参院選の渦中にも、中国との戦争を想定した軍事演習が繰り返された。政府はトランプの要求に応じて、さらなる大軍拡を強行しようとしている。これを与野党は押しなべて認めている。日本共産党も「自立した外交」の名で〝国益を守れ〟と叫んでいる点で、「挙国一致体制」の一角をなしている。この総翼賛状況が、極右の台頭を許したのだ。
戦争と排外主義の元凶=日帝打倒へ
参院選は与野党が外国人排斥を競い合う醜悪極まる姿をさらした。それを先導したのは、参政党だけではなく石破政権だ。支配の破綻を取り繕い、自らに向けられた人民の怒りを排外主義的にそらすため、自民党は「違法外国人ゼロ」を公約に掲げた。これによって排外主義は堰(せき)を切ったようにあふれ出したのである。だが、それに抗議し対抗する行動も、全国至る所で展開された。3・8国際婦人デー集会実行委員会が呼びかけて行われた新宿での7・19反戦集会は、そうした闘いの先頭で打ち抜かれた。選挙戦最終日の新宿で、排外主義を叫ぶ極右やそれに屈服する全勢力に対抗し、中国侵略戦争を絶対に阻止して外国人排斥と女性差別を打ち破る闘いを真っ向からたたきつけた。
戦争と生活破壊の根源は帝国主義だ。帝国主義こそ労働者人民が打ち倒すべき真の敵だ。中国侵略戦争によってしか延命できない日帝を、中国人民・アジア人民・パレスチナ人民と連帯して打倒してこそ、本当の意味で排外主義を粉砕できるのだ。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に立ち、さらに総翼賛化した戦争国会を粉砕して、今夏今秋の反戦闘争を闘おう。