排外主義うち破り戦争阻止を 在日外国人への迫害許すな 「連帯し内乱へ」貫き闘おう

週刊『前進』04頁(3406号04面01)(2025/07/28)


排外主義うち破り戦争阻止を
 在日外国人への迫害許すな
 「連帯し内乱へ」貫き闘おう


 参院選最終日の19日、女性・青年・学生を先頭とした中国侵略戦争阻止の反戦デモが、全政党が排外主義と国益を競ってうごめく新宿の街を揺り動かした。参院選で自公は大敗、石破政権は崩壊状態だ。一方、「日本人ファースト」の参政党始め全政党の排外主義・国益主義の洪水に抗議する労働者人民の行動への意欲が著しく高まり、怒りの反撃が全国各地で起きている。今こそ、差別・排外主義の根源が、米日帝国主義による中国侵略戦争―世界戦争・核戦争の開始にあることを全面的に暴露し、「連帯し、侵略を内乱へ」の反戦闘争を爆発させよう。

戦争突入見据え敵性外国人扱い

 自民党は、参院選の公約に「違法外国人ゼロ」を掲げた。6月にまとめられた提言は、「出入国在留管理と不法就労・偽装滞在の防止」と称して「国益」に反すると見なした外国人の排除・排斥を目的としている。電子渡航認証制度(JESTA)導入、在日外国人の国民保険料や各種税金の納付状況、外国人の土地などの取得を含む国土の適正な利用・管理などを一元的に把握できるシステムの構築として「政府の司令塔の整備」を盛り込んだ。
 この提言に基づき7月15日、石破政権は「外国人との秩序ある共生社会推進室」(法務省、厚生労働省、警察庁などの職員約80人態勢)を内閣官房に新設した。
 「私どもと同じ価値観を持ち、同じ秩序の中で共生できる外国人はしっかりと仲間に入れていく。それ以外に関しては、厳しい対応を取っていくことも必要」。これは、提言をまとめた自民党政調会長・小野寺五典の発言だが、中谷元・防衛相も「オーシャン」構想について「共通の価値と利益を共有し合う諸国の連携強化を」と語った。つまり「共通の価値と利益を共有」しない外国人を露骨に「敵性外国人」として扱うという戦争突入を前提とした宣言だ。
 「違法外国人ゼロ」提言は、これに先立つ5月23日、法務大臣が発表した「不法滞在者ゼロプラン」と一体のものだ。このプランは、難民認定の処理期間の半減、強制退去を拒む「送還忌避者」を現在の約3100人から半減させるなどの数値目標を掲げ、これを2030年末までに実現するとしている。これも中国侵略戦争突入に対応した政策転換なのだ。
 現在、日本で働く外国人労働者は、今年1月末時点で過去最高の230万2587人となった。日本の深刻な労働力不足を補う外国人労働力は必要だが、「国益」に反する「敵性外国人」は速やかに排除するというのだ。すでに難民申請中でも強制送還を可能にした改悪入管法のもと、7月には20年以上日本で暮らしてきたクルド人が強制送還されるなど仮放免中の難民申請者の強制送還が激増している。
 さらに昨年6月の入管法改悪では、「現代の奴隷労働」=外国人技能実習制度の見直しと称して新設した「育成就労制度」と抱き合わせて永住権剝奪(はくだつ)の要件緩和が盛り込まれ、27年施行が狙われている。
 戦後80年、一方で天皇を押し立てた愛国主義・国家主義が鼓吹される中、侵略戦争と植民地支配の生き証人である在日朝鮮人・中国人の反戦決起を恐れる支配階級の予防反革命攻撃そのものだ。

「外国人優遇」は事実無根のデマ

 参政党、日本保守党、NHK党から極右無所属候補まで、あらん限りの差別暴言・デマが街頭演説やSNSであふれた。「我々の税金で外国人が優遇されている」「中国人留学生に奨学金1000万円。日本の子どもたちが可哀想」「生活保護3分の1が外国人」などと演説し、SNSの再生回数が数千万回に達したと報じられた。
 この「奨学金」は、文部科学省が所管する科学技術振興機構による「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」。この支援制度は国籍条項がなく留学生も受けることができるが主に日本人が対象である。中曽根が提唱した「留学生10万人計画」がそうであるように日帝支配階級の意に沿った「国益」のための制度なのだ。
 また「国民健康保険」をめぐり「外国人の未納額が年間4000億円」というデマに対しては、福岡資麿厚労相が7月15日の会見で「昨年度の国民健康保険料の未納額は外国人に限らず全体で約1457億円」だと明らかにした。
 高額医療費についても、外国人の被保険者数は97万人(全被保険者の4・0%)に対し、「高額療養費の支給額に占める外国人の割合は1・21%」なのだ。何が「優遇」か! そもそも外国人に納税の義務を課しながら、あらゆる権利を剝奪し制限しているのが日本の外国人政策だ。
 税金も物価高も、福祉・教育の後退も外国人のせいではない! 資本主義の生き残りをかけた新自由主義の成れの果てだ。参院選を通して暴かれたのはこの国の正体だ。戦争か革命か、未来を決める時が来た。

怒りと結びつき反戦闘争拡大へ

 差別・排外主義への怒りがあらゆる契機で蓄積されている。在日朝鮮人・中国人、外国人労働者、難民・仮放免者にとって戦争と差別は、自らの生死に直結する耐え難いものだ。彼らと結びつくためには、まず日本の労働者階級が差別・排外主義を自らにかけられた攻撃として自国政府と血を流して闘うことである。
 アジア唯一の帝国主義=日帝足下の抑圧民族である日本のプロレタリアートにとって、帝国主義の差別・排外主義による分断と戦争動員攻撃と闘うことが、プロレタリア国際主義をよみがえらせる。
 日帝は、かつての侵略戦争と植民地支配による朝鮮・中国・アジア人民2千万人虐殺、強制連行・強制労働、軍隊慰安婦制度などの戦争責任の一切を認めず、戦後80年の今日まで謝罪・賠償もせず在日朝鮮人・中国人への差別・抑圧を続けてきた。この負の歴史に終止符を打ち、今こそ血債を支払うために闘おう。
 「入管解体!」を体を張って闘っている全ての人々、そして入管法・入管体制の重圧と日々対峙し、生き抜いている在日朝鮮人・中国人、在日外国人に呼びかけよう。この世界を変えるために、私たちと共に中国侵略戦争阻止の巨万の反戦闘争に立ち上がろう!

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