十亀弘史の革命コラム-32-  女性差別・性暴力と闘う

週刊『前進』04頁(3409号04面05)(2025/08/18)


十亀弘史の革命コラム-32- 
 女性差別・性暴力と闘う


 マスメディアが「戦後80年」をいろいろに論じています。しかし、帝国主義を打ち倒していない限り、その80年は戦前・戦中の継続でしかないということこそが何より明らかにされなければなりません。
 ここでは、女性差別に絞って考えてみます。8月15日の後も日帝国家による女性へのすさまじい性暴力が続けられています。敗戦直後に米軍兵士の「慰安」のために「国家公認の事業」として「外国駐屯軍慰安施設」が設けられているのです。そのための募集広告は書いています。「戦後処理の国家的緊急施設の一端として進駐軍慰安の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む」。そして警保局通達が、「(その女性たちは)民族の純潔を百年の彼方に護持培養すると共に、戦後社会秩序の根本に、見えざる地下の柱たらんとす」と告げています。
 日本の国家は、軍が侵略して行く先々に「慰安所」を作り、朝鮮を始め侵略した国々の女性を強制的に性奴隷にしてきました。その日帝が、敗戦で連合国軍に占領されると、今度は「民族の純潔」を守るための「地下の柱」として、新たな性奴隷を組織する「国家事業」に手をかけたのです。帝国主義を打ち倒さない限り、敗戦でさえも社会のあり方を根本的に変えることはなく、戦争や軍隊に伴う女性への性暴力と差別はそのままに引き継がれます。
 そしてその差別は、80年を経ても、例えば今回の参院選の中で参政党などの諸党によって新たに扇動されさえしています。関連しますが、7月30日の朝日新聞で鴻巣友季子氏が、マーガレット・アトウッド作の『侍女の物語』というディストピア小説を紹介しています。そこで描かれた近未来の社会では、「政治は一部の男性が行い、女性は仕事も財産も名前も奪われ、健康な女性は子を産む道具『侍女』として、子どもを産むことに専従させられ」ている、というのです。鴻巣氏は怒りを込めて、それが「あり得ない極端な世界を描いた小説」ではなく、トランプのアメリカや日本にも、同じ「ディストピアの芽は常にある」と述べています。
 私たちの党はいま、女性、学生、青年を先頭に女性差別、性暴力を許さない闘いを前進させています。その闘いは、今までの自分を実際に日々変えて行く闘いとしてあり、苦しみも伴います。しかし、帝国主義を本当に打ち倒す力はその闘いの中にしかないと覚悟し直しています。
(そがめ・ひろふみ)
2025.8.18

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