日韓連帯で軍事同盟粉砕を 韓国大統領が日米歴訪 民主労総、新政権と対決
週刊『前進』04頁(3411号02面02)(2025/09/01)
日韓連帯で軍事同盟粉砕を
韓国大統領が日米歴訪
民主労総、新政権と対決

(写真 日帝の植民地支配から解放された「光復節」の8月15日、民主労総がソウルで労働者大会を開催。日米韓合同軍事演習の中止を訴えた)
韓国の李在明(イジェミョン)大統領が8月下旬に日米を歴訪し、石破首相、トランプ米大統領と首脳会談を行った。米日帝国主義の中国侵略戦争突入に規定され、イジェミョンはその先兵として日米韓軍事同盟強化に乗り出している。
「未来志向」うたい日帝の侵略を免罪
8月23日の日韓首脳会談で両首脳は、「戦略環境が厳しさを増す中」で「日韓関係を未来志向で安定的に発展させていく」と強調。安全保障・経済安保分野での「戦略的意思疎通」を強化する方針で一致した。そもそも韓国の大統領が同盟国・米国よりも先に訪日するという展開は異例だ。昨年12月に非常戒厳を宣布した前大統領・尹錫悦(ユンソンニョル)の弾劾・罷免(ひめん)を受けて今年6月に就任したイジェミョンは一貫して米韓同盟を外交・安保の柱に据え、日米韓の協力を重視する姿勢をとってきた。今回の訪日前には、日本軍「慰安婦」や「徴用工(強制連行・強制労働被害者)」をめぐって過去の政権が日本と結んだ合意を覆すことはないと繰り返し言明。安倍政権が2015年に朴槿恵(パククネ)政権との間で発表した、いわゆる「慰安婦合意」、そして23年にユン政権が示した、韓国政府傘下の財団が強制連行・強制労働被害者への賠償を肩代わりする「解決策」などを引き継ぐ方針を明確にした。いずれも日帝を免責する許しがたい内容であり、被害者らが民主労総や市民団体と共に破棄を強く求めてきたものだ。
会談を受け17年ぶりに公表された「共同文書」には、「1965年の国交正常化以来これまで築かれてきた日韓関係の基盤」、すなわち日帝の侵略と植民地支配、戦争犯罪の一切を「解決済み」とした65年の日韓条約の立場が強調的に明記された。その上で、植民地支配への「痛切な反省と心からのおわび」をペテン的にうたった98年の日韓共同宣言を取り上げ「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」とした。しかしそもそも、小渕恵三と金大中(キムデジュン)による98年の共同宣言は、賠償なき形式的な「謝罪」で幕引きを図るものでしかなく、狙いは91年に初めて「慰安婦」被害者として名乗り出た金学順(キムハクスン)さんの決起を突破口とする、日帝の戦争犯罪を暴き謝罪と賠償を求める闘いを圧殺することにあった。
中国侵略のための前哨基地化に怒り
続く8月25日の米韓首脳会談でイジェミョンは「米国が再び偉大に変化している」「世界のさまざまな戦争が大統領によって休戦し平和が訪れた」などと繰り返しトランプを称賛。「韓米日協力は非常に重要な課題だ」とし、直前の日韓会談で「懸案事項はすべて片付けた」と説明した。関税などの経済問題とあわせて焦点となったのが軍事だ。米国防総省が韓国側との事前協議で、在韓米軍の構成・運用の見直し、さらに「韓米相互防衛条約」上の共同対応の範囲を朝鮮半島からインド太平洋全域に広げることなどを明確にするよう求めたことも報じられた。米帝は、中国侵略戦争に韓国を全面的に動員するための韓米同盟の転換を迫っているのだ。
会談では、韓国が巨額の投資を含め米造船業の復活に向けた協力を進めることで合意した。これ自体が中国との戦争を具体的に想定した軍事的な動きだ。イジェミョンは会談後に米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)で行った演説でも、要求通り国防費を増額し「朝鮮半島の安保を守るために主導的な役割を果たす」と表明した。
ユン政権打倒の勝利を簒奪(さんだつ)し、日米韓軍事同盟強化を進めるイジェミョンに対する韓国労働者人民の怒りは激しい。
日米歴訪に先立つ8月15日、1945年に日帝の植民地支配から解放された「光復」80年を期して行われた式典で、イジェミョンは植民地支配と戦争犯罪に対する日帝の謝罪・賠償という根本的な原則に言及しなかった。その上での「未来志向」の強調は、日帝による歴史の否定・歪曲(わいきょく)を加速させるだけだ。民主労総を含めた諸団体が同日に開催した大会では、抗日独立運動の精神を継承し「真の解放」=分断体制打破へ闘うことを宣言。日米韓軍事同盟強化で「朝鮮半島は対中国の前哨基地に転落する危機に直面している」とし、米韓合同軍事演習中止を求めた。
民主労総をはじめ韓国労働者人民との連帯を強め、日米韓軍事同盟粉砕・中国侵略戦争阻止へ闘おう。