横浜でアフリカ開発会議 中国に対抗し投資拡大と資源獲得、勢力圏化狙う

週刊『前進』04頁(3411号02面03)(2025/09/01)


横浜でアフリカ開発会議
 中国に対抗し投資拡大と資源獲得、勢力圏化狙う


 横浜市で8月20〜22日、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催された。アフリカの54カ国中49カ国が参加し、石破は3日間でアフリカ諸国の首脳らと計34件の個別会談を行って「グローバルサウス」との関係強化を図った。期間中、日本・アフリカの政府や企業間で300件超の協力文書が締結された。
 TICADは、アフリカ諸国への自国資本の進出とその勢力圏化を狙った日本帝国主義の主導で1993年に始まった首脳級会合だ。世界最大の政府開発援助(ODA)拠出国(当時)として存在感を示し、敗戦帝国主義からの転換を図ろうとしたのである。
 今回の会議は、日帝がアメリカ帝国主義と共に中国侵略戦争に突入する中で行われた。現在、対アフリカ融資で圧倒的な存在感を持つのは中国だ。2000年代に本格的進出を始め、「一帯一路」構想のもとでインフラ整備を支援。09年以来16年連続でアフリカにとって最大の輸出国である中国は、24年には今後3年間で7兆円以上の投融資を約束している。
 これに対して石破政権は、アフリカを「経済安保上の重点地域」と位置づけ、官民連携で投資を強化すると打ち出した。その狙いは、アフリカを中国の影響下から引きはがし、「若くて安い」労働力と豊富な鉱物資源、中国を介さない独自のサプライチェーンを確保することだ。「『援助から投資へ』鮮明」(8月20日付読売新聞)「アフリカ資源供給網 競う」(8月21日付日経新聞)——商業紙の見出しが示すように、日帝はアフリカへの全面的な経済侵略=市場・資源の強奪と勢力圏化を狙う姿勢を隠そうともしない。
 注目すべきは、石破が開会式で、アフリカにインドや中東を含めた新経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱したことだ。これは単なる「経済圏」構想ではない。石破政権はこれを、安倍晋三が16年のTICAD6で提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の構築に向けた取り組みの一環と位置づける。その狙いは、中国に対抗し、地域一帯を自らの勢力圏として囲い込むことだ。22日に採択された横浜宣言にも「FOIPのイニシアチブに好意的に留意する」との文言が盛り込まれた。
 具体的に、貿易路の確保のためとして、銅鉱石の産出国である内陸部のザンビアから東岸モザンビークのナカラ港までを結ぶ「ナカラ回廊」をはじめとするインフラ整備も打ち出した。
 だが、対中国はもとより他の帝国主義との関係でも、国際的な争闘戦における日帝の立ち遅れと敗勢は明白であり、中国侵略戦争以外にこれを巻き返す手段は残されていない。帝国主義資本の侵略に対して港湾や炭鉱で労働組合を結成して闘うアフリカの労働者階級と連帯し、日本での反戦闘争を闘おう。
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