軍事拠点化に住民の怒り 石垣・与那国首長選 自衛隊が焦点に

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週刊『前進』04頁(3411号02面04)(2025/09/01)


軍事拠点化に住民の怒り
 石垣・与那国首長選
 自衛隊が焦点に


 沖縄県で8月17日に石垣市長選挙、24日に与那国町長選挙の投開票が行われた。石垣市では、自衛隊誘致を進めてきた右翼・中山義隆市長の公文書偽造と虚偽答弁に対して市議会で不信任決議が上がり、中山が失職して選挙が行われたが、中山が再選される結果となった。与那国町長選では、「邪悪な国家に対して常に一戦を交える覚悟、刺し違える覚悟が問われている」などと中国への排外主義をあおってきた現職の糸数健一が落選し、「自衛隊容認だがこれ以上の増強には『慎重』」「日米共同訓練でオスプレイが飛来することに反対」などの主張を掲げた保守系の上地常夫が当選した。
 まとめて「先島諸島」と呼ばれることもある宮古諸島と八重山諸島(石垣島・与那国島など)を、米日帝国主義は「最前線の島」として軍事化することを全力で追求してきた。自衛隊によって島は徹底的に蹂躙(じゅうりん)されてきたが、その中でも住民の抵抗はさまざまな形で続いている。今回の選挙でもそれは示されている。
 石垣市長・中山への不信任案は自衛隊反対派の議員によって提出されたが、中山はそれに対して与党・自民党に不信任案への賛成を要請、市長選をしかけて次の4年の任期を押さえるという狡猾(こうかつ)な作戦に出た。そして参政党代表・神谷宗幣と動画配信サイトで対談するなどして露骨に保守派の人気取りを行った。また、石垣市の有権者約3万8千人のうち自衛隊員とその家族票は1千票を超える。相当数の自衛隊票が中山に流れたとみられる。
 野党・反対派は砥板芳行市議を担いで市長選に臨み、島の戦場化と住民強制退去に反対するという態度で一致した。石垣在住の主に台湾出身の華僑たちも砥板を推した。中山の日帝の先兵としての行動があまりに露骨だったからである。
 結果は、中山の1万2923票に対して砥板が1万1124票で、両者の差は1799票。投票率は63%で過去最低だった。中山への投票は期日前投票が7割近くを占めたと言われ、選挙は終盤ほど砥板への投票が多かったのである。
 与那国町長選は、現職の糸数に対し、保守系の上地と自衛隊の機能強化反対を掲げる田里千代基が三つどもえで闘い、上地が勝利した。投票率は9割を超え、票数は上地557票、糸数506票、田里136票だ。半数を超える住民の軍拡反対の意思が示されたのだ。300票といわれる自衛隊票も、ある自衛隊関係者が「自衛官も町民。その命を軽視している」(8月27日付沖縄タイムス)と糸数への怒りを語ったように、一部は上地に流れたという。与那国を戦場化する政府の路線に対し鮮明な抵抗意思が示されたのだ。
 現地住民の怒りに応え、本土でも安保・沖縄闘争の爆発をかちとろう。
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