国鉄1047名解雇撤回へ 9・19控訴審裁判に結集を 11・2集会の突破口を開こう

週刊『前進』04頁(3412号02面01)(2025/09/08)


国鉄1047名解雇撤回へ
 9・19控訴審裁判に結集を
 11・2集会の突破口を開こう

(写真 動労千葉を支援する会が、JR東日本本社がある新宿駅南口で国鉄解雇撤回を訴えて宣伝行動【8月31日】)

 国鉄1047名解雇撤回裁判の第1回控訴審が9月19日、東京高裁で開かれる。東京高裁はこの裁判に警備法廷を指定し、即日結審を狙っている。解雇撤回を求める動労千葉組合員の訴えを問答無用で切り捨てようとしているのだ。9月19日、全国から結集し、東京高裁を包囲してこの反動を打ち砕こう。11・2労働者集会の前哨戦として東京高裁包囲デモと裁判闘争を闘おう。

戦時体制を阻んできた力

 1987年4月に強行された国鉄分割・民営化は、改憲と戦争体制づくりを目的に強行された戦後最大の労働組合つぶしの攻撃だった。これにより首を切られた労働者の解雇撤回闘争は、改憲を今日まで阻む大きな力になってきた。石破政権が中国侵略戦争に突進し、戦時体制づくりに乗り出している今、国鉄闘争は最大の決戦に入っている。
 国鉄分割・民営化によって日本で本格的に始まった新自由主義の攻撃は、2千万人以上の労働者を非正規職に突き落とし、30年を超えて賃金が上がらない社会をつくった。もはや生きていけないという労働者の怒りは、参院選で自公を少数与党に追い込んだ。他方で、生活苦の原因を外国人になすりつけるデマ宣伝がけたたましく行われ、参政党などの極右が台頭した。
 だが、労働者を圧迫している真の元凶は、戦争に突進する国家であり、労働者に低賃金を強いてきた資本だ。連合などの既成勢力は、この真実を押し隠すことで排外主義扇動に手を貸している。
 階級的労働運動とは、真の敵である国家や資本と真正面から対決する運動だ。自国政府による戦争政策を許さず、あらゆる差別・抑圧に立ち向かう運動だ。国鉄闘争はそうした闘いを甦(よみがえ)らせる拠点をなしてきた。だから石破政権は、国鉄闘争の最終的な解体をもくろんでいる。9月19日の裁判はこの攻撃との激突点になったのだ。 

改憲・戦争国家化との決戦

 1980年代初頭に40万人いた国鉄労働者は、JR発足時の87年には20万人に減らされた。国鉄分割・民営化は、「2人に1人の首切り」の恫喝で、当時最強と言われた国鉄労働運動の壊滅を狙うものだった。「労働者が怠けているから国鉄は赤字になった」というデマが連日、垂れ流され、国鉄労働者は「国賊」とののしられた。
 当時の首相・中曽根康弘は、国鉄分割・民営化の目的を「行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と露骨に言った。この改憲のための国家総がかりの攻撃に、真正面から立ち向かったのは動労千葉だけだった。カクマルに牛耳られた動労本部は民営化を率先推進して首切りの手先となった。国労本部は「嵐が過ぎ去るまでたこつぼにこもる」として一切の抵抗を放棄した。
 動労千葉は、分割・民営化に立ち向かわなければ労働者の団結はズタズタに切り割かれると判断し、85年11月、渾身(こんしん)のストライキに決起した。この闘いは、労働者には首をかけて国家と闘う力があることを示した。理不尽極まる攻撃に対し職場に渦巻いていた怒りを闘いに結実させたのは、組合員の人生に責任を取りきるという動労千葉指導部の全存在をかけた決断だった。また、分割・民営化が戦争国家化攻撃であることを見抜き、これに立ち向かうことは労働者階級の使命だという立場を貫く指導部の意識性だった。続く86年2月のストも貫徹し、動労千葉は団結と階級性を守り抜いた。

階級的労働運動の展望開く闘い

 この闘いに国家権力は心底恐怖した。ストライキへの報復として、国鉄当局は動労千葉の役員28人を解雇した。さらに、この時点では解雇に至らなかった12人が、停職処分を受けたことを口実にJR不採用とされた。28人の解雇は国鉄分割民営化後の97年、旧国鉄が解雇を撤回し、動労千葉は勝利したが、12人のJR不採用については今日まで闘いが続いている。
 国鉄分割・民営化でJRに採用されず、最終的に旧国鉄からも解雇された労働者は、国労などの組合員を含めて1047人に及んだ。その解雇の撤回を求める闘いは、不当労働行為の最先兵となったJRと激突する戦後最大の労働争議――1047名解雇撤回闘争になった。「闘う労働運動」を象徴するこの闘いに、百万人とも言われる労働者が労働運動再生の展望を見いだして支援陣形を形成した。
 だから国家権力は国鉄闘争の圧殺に全力を挙げた。これに屈した国労本部は闘いを内部から解体する役割を果たし、それは最終的に2010年4月の「政治和解」に行き着いた。
 国鉄闘争全国運動はその直後の6月、「国鉄闘争の火を消すな」を合言葉に結成され、動労千葉はあくまで解雇撤回闘争を継続し、逆境の中で原則を貫いて大きな勝利を切り開いた。動労千葉が旧国鉄を相手に起こした裁判で、「停職処分を受けた者はJRに採用しない」という「不採用基準」を策定し、当初はJR採用候補者名簿に載せられていた組合員の名前を削除したことは、不当労働行為になると15年6月の最高裁決定で認めさせたのだ。

「時効」でJR免罪するな

 この不採用基準が、JR設立委員会の指示で作られた事実も明らかになった。これまでJRは「採用候補者名簿を作ったのは旧国鉄」「JRは名簿に載った全員を採用した」「だからJRに解雇の責任はない」と言い張ってきた。それはすべてうそだった。
 JRには解雇を撤回する義務がある。だが東京地裁は昨年11月の判決で、明らかになった事実にふたをして「時効」の一点で解雇撤回の訴えを切り捨てた。意図的に偽証を続けてきたJRを「時効」で免罪することなど許せない。
 しかしこれは、JRに解雇の責任があることを、裁判所も否定できなくなったからこそ出された反動判決だ。闘いは「勝利まであと一歩」のところに来ている。
 国鉄解雇を撤回させれば、階級的労働運動を甦らせ、中国侵略戦争を阻止する大きな力が生まれる。その展望をかけて9月19日の裁判を闘い、10・5反戦闘争から11・2労働者集会に攻め上ろう。
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