生活と権利の破壊やめろ 成田空港拡張差し止め裁判

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週刊『前進』04頁(3417号04面03)(2025/10/13)


生活と権利の破壊やめろ
 成田空港拡張差し止め裁判


 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で10月3日、成田空港拡張差し止め裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟はこの裁判で国と成田空港会社(NAA)に対し、①B'暫定滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(10年)の違憲・違法性を追及し、②現在進められているB'滑走路の再度の延伸(3500㍍化)、第3(C)滑走路建設などの空港拡張工事の差し止めを求めている。
 この間、被告の国は航空法の「空港等又は航空保安施設の設置によって、他人の利益を著しく害することとならないものであること」の条文を曲解し、「他人の利益とは財産権のことだ。そこに土地や家を持っていない者には訴訟を起こす資格がない」などと主張してきた。
 騒音被害、健康破壊、落下物や事故による生命・身体への危険などの人格権に考慮する必要はない——こんな人間無視の考えは根本から間違っている。反対同盟顧問弁護団は判例をも引用しながら、「騒音、振動等による著しい被害を受けない」権利が法律の上でも保護されていることを突き出した。さらに市東孝雄さんについて、「自らの意思で天神峰に戻ってきたのだから、人格権共有の主体ではない」などと言い放つ国とNAAの傲慢(ごうまん)な態度を弾劾した。
 岡山裁判長は、国の「他人の利益とは財産権のみ」「人格権に考慮する必要なし」との主張について問いただし、意見を補充し説明するよう求釈明を行った。
 国側は自己の主張が裁判長に否定されたことに打撃を受けつつ、来年初めの期限までに書面で提出することを約束した。次回期日を1月20日、次々回を5月12日と確認し、閉廷した。
 閉廷後、報告集会が開かれた。弁護団発言に続き、伊藤信晴さんが「成田機能強化の攻撃は軍事使用、兵站(へいたん)基地化が狙いだ。10・12全国集会の大成功をかちとろう」と檄(げき)を飛ばした。
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