高市の「存立危機」発言弾劾 台湾有事で集団的自衛権を行使し中国侵略戦争に参戦

週刊『前進』04頁(3422号02面01)(2025/11/17)


高市の「存立危機」発言弾劾
 台湾有事で集団的自衛権を行使し中国侵略戦争に参戦


 自民・維新連立のもとで日本帝国主義・高市政権は、これまでの歴代自民党政権―自公連立政権が超えられなかった戦後的な制約をどんどん踏み破って中国侵略戦争に突き進んでいる。高市による衆院予算委員会での「台湾有事は(日本の)存立危機事態」発言は、日帝がアメリカ帝国主義とともに全面的な中国侵略戦争に踏み切るという宣言だ。全国で巨大な反戦・反基地闘争を巻き起こし、高市政権打倒、「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いを前進させよう。11・29新宿反戦デモに決起しよう。

政府公式見解として明言

 米帝・トランプが中国侵略戦争―世界戦争に突き進む中で、日帝・高市政権は突出した役割を果たしている。高市は10月末の日米首脳会談で「日本として主体的に防衛力の抜本的強化、防衛費の増額に取り組む」決意をトランプに伝え、横須賀の米空母艦内で「平和は言葉だけではなく、確固たる決意と行動によってこそ守られる」と演説した。「確固たる決意と行動」とは、中国と実際に戦争をする決意であり行動だ。
 さらに高市は一連の外交の場で、トランプがあえて直接は触れなかった台湾問題に繰り返し言及した。日中首脳会談でも台湾や「尖閣」、香港、ウイグル問題までずけずけと口にし、翌日にはこれ見よがしにアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加した台湾の代表と会談した。
 防衛相・小泉進次郎も、「戦争長官」ヘグセスとの会談で中国を念頭に日本の軍事力増強を確認した。小泉は武器輸出、原潜保有についても「今までの制約を取り払って」どしどし進めると語っている。
 この一連の過程を経て高市は11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について、「(中国が)戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうる」との決定的発言を行った。高市は現職首相の国会答弁として、つまり政府の公式見解として初めて「台湾有事」が「存立危機事態」となりうることを明言したのだ。
 2015年に成立した安保戦争法は、日本が直接攻撃を受けていなくても、「密接な関係にある他国」が攻撃され、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」と政府が認定すれば、自衛隊が集団的自衛権を行使できるとしている。つまり、「台湾有事」に米軍が介入し、中国軍がその米軍を攻撃した場合には政府が日本の「存立危機事態」であると認定し、集団的自衛権を行使する、すなわち自衛隊が参戦できるということになっている。そして、その自衛隊への中国軍の反撃が行われれば直ちに「武力攻撃事態」と認定し、日本が全面的な戦争に突入することとなる。
 つまり「存立危機事態」とは、日帝・自衛隊が国家の総力を挙げて中国侵略戦争に突入するための「自動参戦装置」なのだ。
 これこそが、日帝がもくろむ中国侵略戦争〝開戦〟の道筋だ。高市は中国スターリン主義を挑発し、全面的な侵略戦争に突き進むために、ついにこう公言したのである。高市は「支持率80%」をも背景に、国会審議を通じて「台湾有事は日本の存立の危機だ。だから参戦するのは当然だ」という世論を一気につくり上げようとしているのだ。
 高市は11月10日の衆院予算委員会で「今後は明言することは慎む」と語ったが、発言そのものは「政府の従来の見解に沿ったものだ」と開き直り、撤回を拒否した。「台湾有事=日本の存立危機事態」を既成事実化して、さらに攻撃を強めようとしている。
 この決定的なときに立憲民主党の代表・野田佳彦と最高顧問・枝野幸男は相次いで、安保戦争法について「違憲の部分はない」「変えなくていい」と表明するに至った。戦争協力へと全面的にかじを切ったのだ。

「成長戦略」で戦時経済へ

 また、高市政権は11月4日、首相をトップに全大臣が参加する「日本成長戦略本部」を設置。さらに民間人12人を交えた「日本成長戦略会議」の初会合を10日に開催した。そこで日帝が重点投資する17の「戦略分野」として列挙されているのは、人工知能(AI)・半導体、造船、航空・宇宙、デジタル・サイバー・セキュリティー、資源・エネルギー安保、フュージョンエネルギー(核融合)、防衛産業などだ。これらのすべてが一つの例外もなく経済安保=戦争と直結している。
 高市の言う「強い経済」「危機管理投資」とは、日帝が中国侵略戦争―世界戦争を遂行するために戦時経済へと全面的に転換し、「継戦能力」の形成に全力を挙げるということだ。「供給構造の強化」の狙いもまた、造船などの製造能力を決定的に衰退させた米帝を補完し、共同の戦争体制を構築することにある。
 そのために高市は日銀の金融政策にも積極的に介入し、低金利政策をとらせようとしている。しかし、こうした政策が一層の破滅的な財政赤字・債務増大、円安、インフレ高進を招き、日帝の危機を激化させていくことは確実である。

産業報国会と化した連合

 日本の経済、全国力を戦争に投じる日本成長戦略会議に、連合の芳野友子会長が参加している。連合は「賃上げのため」「労使一体で企業の発展を」と言って軍需産業への投資を歓迎し、戦争に全面協力する産業報国会そのものに〝純化〟した。動労千葉の関道利委員長は11・2全国労働者集会で「労働者、労働組合はこれでいいのか。再び侵略戦争に手を染めるのか」と問いかけ、「連合の産業報国会化を弾劾し、下から食い破る闘いを組織しよう」と呼びかけた。断固、これに応えて闘おう。
 自衛隊の大演習や長射程ミサイルの配備計画、高市の「存立危機事態」発言に対して全国で労働者人民の危機感と怒りが高まり、沖縄、九州をはじめ各地で闘いが燃え広がっている。11月9日には熊本市で、陸上自衛隊健軍駐屯地への長射程ミサイル配備計画に反対して1200人の地元住民が集会とデモを行った。
 戦時下の階級闘争は新たな段階に突入した。全国で反戦・反基地闘争を燃え上がらせよう。高市打倒へ11・29新宿デモに立とう。
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