中国への排外主義粉砕を 侵略の歴史くり返す日帝こそ戦争の元凶だ 高市の参戦宣言許すな
週刊『前進』04頁(3423号02面01)(2025/11/24)
中国への排外主義粉砕を
侵略の歴史くり返す日帝こそ戦争の元凶だ
高市の参戦宣言許すな
国会における高市自らの「台湾有事は日本の存立危機事態」発言をもって、日本帝国主義・高市政権は中国侵略戦争への突入を宣言した。これは「失言」ではなく高市の一貫した持論であり、中国との間の緊張を極限的に高め排外主義宣伝に利用しつくすという意識性に貫かれたものだ。しかし、かつて半世紀にわたり台湾を植民地支配し、中国大陸への全面的な侵略戦争と大虐殺に手を染めた日帝が、再び台湾を自らの「勢力圏」とみなして中国への侵略戦争に踏み切ることなど、絶対に許してはならない。日本労働者階級の持てる力の一切を日帝打倒・戦争阻止へとまとめ上げる闘いが必要だ。11・29新宿デモをその突破口としよう。
与野党を挙げて中国バッシング
高市は11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党・岡田克也の質問に答えて「台湾を完全に中国の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか……戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と述べた。中国が「核心的利益の中の核心」「触れてはならないレッドライン」と位置づける台湾問題に首相・高市自らが首を突っ込み、中国を名指しして自衛隊による武力行使も辞さないと明言したことはすさまじい踏み込みだ。これを受けて、中国の薛剣(せつけん)・駐大阪総領事がSNSに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」と投稿すると、日帝は直ちにこれにかみつき、与野党挙げたすさまじい排外主義宣伝を開始した。高市は中国スターリン主義の反発も見越して、「一つの中国」原則を踏みにじる挑発・恫喝を行ったのだ。
日本政府は直ちに中国在留日本人向けに「安全対策の徹底」を指示し、日本人が身の危険にさらされているかのようなキャンペーンを張った。さらに自民党と日本維新の会は、薛を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し国外退去処分とすることを含めた措置を政府に申し入れている。しかし、日帝・高市は自ら中国侵略戦争の火をたきつけながら、中国側の猛烈な怒りと日本への「渡航制限」や「水産物輸入停止」などの反撃に直面し、事態沈静化に乗り出さざるをえなくなった。南アフリカでの主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)での李強首相との日中首脳会談を拒絶された高市は、11月18日に外務省アジア太洋州局長を訪中させ中国外務省アジア局長との協議に臨ませた。だが高市の国会発言撤回を拒否したうえで、逆に「中国に冷静な対応を促す」などというなめきった態度は、当然にも中国側の怒りの火に油を注いだだけに終わった。日帝・高市はアメリカ帝国主義を抜きにして、このまま単独で中国との対立をどこまでもエスカレートさせることはできず、窮地に陥っている。しかし、日帝・高市は、この局面をも中国に対する極右的な排外主義と敵意をあおり立てるテコにし、中国侵略戦争に突き進む以外にないのだ。
台湾を生命線とみなし強奪狙う
「台湾有事は日本の存立危機事態」という認識は高市の持論であるだけでなく、戦前以来の日帝の立場を如実に示すものだ。高市は昨年の自民党総裁選期間中にも、中国が台湾の海上封鎖を行えば「存立危機事態になるかもしれない」と発言。「とにかく日本の生存に関わる。シーレーン(海上交通路)も使えなくなる」「距離的に日本戦域に入る」と語った。
日本の最西端に位置する沖縄県の与那国島から台湾まではわずか約110㌔メートルだが、問題は距離的な近さだけにあるのではない。日帝は戦前から一貫して、台湾を自らの「日本の生存に関わる」「生命線」と位置づけてきた。今なお「宗主国」であるかのような意識を持ち、台湾を自らの勢力圏とみなす日帝の姿勢はまったく変わっていない。日帝は1937年7月7日の盧溝橋事件以来、「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」、すなわち「横暴な『支那(中国の蔑称)』を懲らしめる」を叫んで中国への全面的な侵略戦争に突入していった。そして現在もまた、中国の「事実をゆがめた強硬な発言」や「一方的な対日非難」こそが問題であるとして本質を180度ねじ曲げ、排外主義を大宣伝しているのだ。
中国人民と連帯し日帝打倒を!
しかし、とりわけこの10年間、「台湾有事」に備えるとして急速に戦争準備を推し進めてきたのは日帝の側だ。安倍政権下で2014年に強行された集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして15年の安保戦争法制定を画期として日帝は南西諸島の軍事要塞(ようさい)化を進め、九州をはじめ全国への長射程ミサイル配備などの戦争計画を矢継ぎ早に打ち出し、実行に移してきた。安倍自身が「台湾有事」の際に与那国島など先島諸島が戦闘地域とされ、日本が直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」を想定し、水面下で議論を進めてきた。「中国の脅威」をあおり、中国の目と鼻の先で過去最大規模の軍事演習を繰り返し、日米韓軍事同盟の格段の強化に加え、台湾との関係強化をも見せつけてきた。中国側が当然にも「日本の最近の軍事動向への深刻な懸念」を表明する中、高市は安保3文書改定の前倒し、非核三原則見直しや武器輸出規制の撤廃、原潜保有などを一挙に推し進めようとしている。この日帝が戦争放火者でなくて、いったい何だというのか!
また、日帝は米帝による「台湾地位未定論」の強調とも歩調をあわせ、あたかも台湾が「独立国」「同盟国」であるかのように扱ってきた。同盟国・米帝だけでなく台湾をも、安保戦争法が定める「密接な関係にある他国」として位置づけようとしているのは明らかだ。
しかしそこには、戦後体制を自ら踏み破って戦争に突進するしかない日帝の絶望的危機がある。国際連帯を貫く反戦闘争の爆発こそが高市を打倒し帝国主義戦争を阻む力だ。在日中国人民をはじめ全中国・台湾人民と固く連帯し、すべてをかけて中国侵略戦争阻止へ闘おう。