革命的祖国敗北主義貫き中国侵略戦争絶対阻止を レーニンとロシア革命の勝利に学ぶ
週刊『前進』04頁(3425号04面01)(2025/12/08)
革命的祖国敗北主義貫き中国侵略戦争絶対阻止を
レーニンとロシア革命の勝利に学ぶ

(写真 11・29新宿反戦デモ。青年・学生を先頭にスクラムを組み、「中国侵略戦争阻止・高市打倒」の声をとどろかせて闘った)
高市の「台湾有事=存立危機」発言をもって米日帝国主義は中国侵略戦争突入へ歴史的な踏み切りを行った。日帝はこれまでの戦後的制約を一挙に突き破って、大軍拡と中国侵略戦争に突き進んでいる。日帝は高市発言に対する中国政府の当然の抗議にも逆に猛反発し、マスコミや民間反革命をも使って中国へのすさまじい排外主義宣伝を行っている。断じて許してはならない。今こそ中国侵略戦争阻止、戦争国会粉砕・高市打倒に総決起しよう。ロシア革命の勝利の教訓を継承し、革命的祖国敗北主義=自国政府打倒の革命的反戦闘争を大爆発させよう。
「国家・国益」を擁護する立場では反戦は闘えない
反戦闘争の重要な課題は「祖国防衛」イデオロギーを粉砕することである。国会では日本共産党を始めとする全野党が「国益・国家主権」を守る立場で議論している。中でも「共産主義」「反戦」をかたる日本共産党が「中国脅威」論に屈服し「尖閣諸島は日本の領土」「有事には自衛隊を活用する」と、支配階級と同じ土俵で「国益」を主張していることは、重大な反人民的裏切りである。どんなに「反戦」を叫び「軍事ではなく外交で」と主張しても、日帝と同じ土俵で「中国の脅威から日本の国益・国民を守るためにはどうしたらいいか」という立場に立っていたら、労働者人民が戦争反対を貫き通すことは絶対にできない。なぜなら現在の日本国家はブルジョア独裁の国家であり、「国益」とは日帝支配階級の強盗的利害でしかないからだ。
その支配階級は今や、戦争をしなければ生き延びられないほどに危機を深め、なりふり構わず戦争に突き進んでいる。こうした帝国主義者に対して「軍事ではなく外交で」と「お願い」しても、全く無力だ。帝国主義者は百年以上、常に「国益を守る」とか「国家存亡の危機だ」とか言って人民を脅し、屈服させて侵略戦争を行ってきた。現在、台湾をめぐって中国を挑発し中国侵略戦争を仕掛けているのは、歴史的に没落し危機を深めているアメリカ帝国主義と日本帝国主義の側である。高市の「台湾有事は(日本の)存立危機事態」という発言は、かつて日帝が中国侵略戦争を行った時の「満蒙(まんもう)は日本の生命線」と、どこが違うのか!
共産主義者の党の任務は、国家や戦争についての日帝支配階級の主張の反人民性と虚偽性を階級的立場から徹底的に暴露し、帝国主義打倒のプロレタリア革命に向かって反戦決起を訴えることである。
資本家階級の国家
そもそも日本帝国主義国家は労働者人民が守るべきものか? 断じて、否だ。帝国主義(資本主義)国家は、賃金労働制=賃金奴隷制のもとで資本家階級が労働者階級を支配し搾取するための道具だ。今日、日帝国家は、軍事費を大幅に増やす一方で福祉・社会保障費を削り、労働者人民を重い税負担、物価高・低賃金、過労死寸前の労働強化に追い込んでいる。他方で軍需産業などの一握りの資本家は大軍拡で空前の利益を上げている。まさに「国益」とは一握りの資本家階級の利益に他ならない。
戦争で資本家が大もうけすることと、人民の貧困、生活苦が進行することは表裏一体だ。これと闘わなければ明日には労働者人民は戦争に動員され、殺し合いをさせられる。こんな反人民的な国家は何としても打ち倒さなければならない。
「帝国主義戦争を内乱へ」に勝利したロシア革命
革命的祖国敗北主義は戦時において、▽反戦闘争に勝利するただ一つの道であり、▽労働者階級の国際連帯を貫く唯一の道であり、▽戦時下に階級闘争を継続して闘い抜く道であり、▽資本主義(帝国主義)の危機を革命に転化する勝利の道である。これについてロシア革命の指導者レーニンは次のように述べている。
「『国内平和』を破棄し、階級闘争を承認する唯一の政策は、自国政府と自国ブルジョアジーとを打倒するために、プロレタリアートが政府とブルジョアジーの困難を利用することである。ところが自国政府の敗北を望まないでは、このような敗北を促進しないでは、このことを達成できない」(「帝国主義戦争における自国政府の敗北について」、1915年)
レーニンとボリシェビキが、第1次世界大戦の開戦時にどのように闘ったのかをここで振り返りたい。
1914年8月に全欧州を巻き込む戦争が勃発すると、ドイツ社民党を始め第2インターナショナルの諸党は、戦時に反戦闘争を闘うことを誓いあった「バーゼル宣言」(1912年)を裏切り、「祖国防衛」の立場に転落した。これに対してレーニンは8月末にスイスのベルンで在外ボリシェビキの会議を開き、戦争に対するボリシェビキの基本的態度を討論し意思一致した。これが「ヨーロッパ戦争における革命的社会民主主義派の任務」(反戦テーゼ)である。レーニンはここで社会排外主義に転落した第2インター諸党を批判して次のように述べた。
「日和見主義者は、❶社会主義革命を否定し、それをブルジョア的改良主義とすりかえた。❷彼らは、階級闘争と、それが一定の時機には必然的に内乱に転化することを否定し、諸階級の協力を説いた。❸彼らは、愛国主義と祖国擁護にかこつけてブルジョア排外主義を説き、『労働者は祖国を持たない』という、すでに『共産党宣言』に述べられた社会主義の基本的な真理を無視するか、あるいは否定した。❹彼らは、ブルジョア議会制度とブルジョア的合法性を利用する必要をもちあげて、この合法性を物神化し、危機の時代には非合法形態の組織と扇動がぜひとも必要だということを忘れ去ってしまった」(丸数字は引用者)
そしてレーニンは「未来のインターナショナルの任務は、社会主義内のこのブルジョア的潮流から、断固として離脱することでなければならない」と結んだ。
こうした内容を含む反戦テーゼを、戦争勃発直後に在外ボリシェビキの会議で確認した。予想されるどんな弾圧にも屈服せずに革命に向かって自国政府の戦争政策に反対して闘うこと、それが社会主義者の義務であることをがっちりと確認し、この闘いを断固やり抜こうと、同志たち全員で誓い合った。これはその後の革命の勝利を切り開く上で決定的なことであった。
❶~❹は、今日私たちが闘っていく上でも重要な、不断に対決すべきブルジョア・イデオロギー(への屈服)である。日本共産党を見よ。すべて当てはまる。
私たち日本の労働者階級と革命党は今、当時のロシアと同様の課題に直面している。中国侵略戦争情勢に対して、一人ひとりが決意も新たに、戦時下に闘える党と運動への飛躍・変革を勝ち取ろうではないか。
不屈の闘いを貫く
もちろん、戦時に自国の戦争政策に反対し、「政府打倒」を目指して闘うことは大変なことである。「祖国の裏切り者」「敵のスパイ」「国賊」「非国民」と罵倒され、白色テロの脅威にさらされ、逮捕・投獄も覚悟しなければならない。日和見主義者はそれに恐怖し、何かと口実を設けて戦争に協力し排外主義者に転落していくのである。だが、共産主義者とその党は「労働者階級はどうあるべきか。どう闘うべきか」を身をもって示さなければならない。それこそが革命党の責務である。
ロシアの労働者とその党はどう闘ったか。党に所属する労働者・兵士は工場や兵営で、時には農村に出かけて粘り強く戦争や革命の問題を訴え、討論し、人民の勇気と力を引き出し、闘いを組織した。5人の労働者国会議員団は労働者階級の真ん中に出かけて行って戦争反対を訴え、「国家反逆罪」で逮捕されシベリアに流刑された。
レーニンは言う。
「戦争の開始とともに、ツァーリ政府は……先進的な労働者の何千人何万人を逮捕し、流刑に処した。この事情は、国内での戒厳令の施行、われわれの新聞の発禁その他とあいまって、運動を阻んだ。しかし、それにもかかわらず、わが党の非合法の革命的活動は続いている」
「戦争、牢獄、シベリア、懲役が彼らを5倍も10倍もたたくがよい。それでもこの層をなくすことはできない。この層は生きている。この層は革命的精神と反排外主義に満ち満ちている」(『社会主義と戦争』他)
どんなに党が弾圧されようとも不屈に闘い続ければ後に続く労働者人民・学生は続々と生まれてくる。それが革命的情勢の特徴であり労働者階級の革命性だ。
戦争と革命の時代に勝利する党への変革と飛躍を
重要なことは、帝国主義戦争は帝国主義の危機の爆発であり、巨大な階級的激動を引き起こすこと、それゆえ労働者階級の党は戦争反対を呼びかけるだけでなく、それと固く結合して、戦争がもたらす支配の危機を革命の勝利に転化することを、同時に、強く訴えるべきだということである。前述のバーゼル宣言は、「(労働者階級とその党は戦争の防止に全力を尽くすが、)それでもなお戦争が勃発した場合には、そのすみやかな終結のために手を尽くし、戦争がもたらした経済上ならびに政治上の危機を、国民を揺り起こすために利用し、それによって資本主義的階級支配の排除を促進するよう極力つとめることが、その義務である」と訴えた。
当時の欧州はそうした呼びかけが多数の労働者の心をつかむ激動情勢だった。
「大衆は、『平和』の時代には大人しく略奪されるままになっているが、嵐の時代には危機の環境全体によっても……自主的な歴史的行動に引き入れられる」(『第2インターナショナルの崩壊』)
レーニンはまた、「戦争の問題に対する原則的立場」(1916年)で戦時に祖国敗北主義、自国政府打倒を宣言することは「党の革命的行動能力に対しても異常に高度な要求を提出する」「一切の宣伝、扇動、組織、党活動全体を根本的に変更し、より高度な革命的諸任務に適応させなければならない」とし、「直接に差し迫った社会主義革命の精神に即して、党活動全体を直ちに、根本的に変える」ことを強く訴えた。「いくらか単純化して言えば、30分演説するうち改良については5分語り、きたるべき革命について25分語るというふうに」と。
現在、米日帝の中国侵略戦争―世界戦争情勢は全世界に労働者階級・被抑圧人民の巨大な決起を生み出しつつある。世界は戦争と革命の時代に突入したのだ。この時、女性解放闘争を推進軸として党と運動の大変革が開始された。それは戦争と革命の時代に、真に労働者階級が革命に勝利するための組織と運動をつくり出す闘いである。
動労千葉を先頭とする階級的労働運動、全学連、改憲・戦争阻止!大行進、そして革共同の存在と闘いは戦時下に決定的に重要であり、勝利の結集軸だ。ここに全国の労働者・学生・人民の結集を勝ち取ろう。スターリン主義の裏切りで敗北した「戦後革命」を乗り越え、今度こそ「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いでプロレタリア革命に勝利しよう。革命的反戦闘争を大爆発させよう。
(畑田治)