今こそ中国侵略戦争阻止を 米国家安保戦略と対決し 「挙国一致」粉砕し12・23新宿へ

週刊『前進』04頁(3426号01面01)(2025/12/15)


今こそ中国侵略戦争阻止を
 米国家安保戦略と対決し
 「挙国一致」粉砕し12・23新宿へ


 アメリカ帝国主義・トランプ政権は12月初旬、外交・安全保障政策の基本方針である新たな「国家安全保障戦略(NSS)」を発表した(記事3面)。インド太平洋地域は「主要な経済的・地政学的戦場であり続ける」とし、「台湾を奪い取る試みを阻止するために米国と同盟国の能力を強化する」と明言し、中国侵略戦争を宣言したのだ。中国侵略戦争に突き進む以外に延命の道がない日本帝国主義・高市政権は「レーダー照射」問題を利用して中国への排外主義を一層あおり立て、それをもテコに今臨時国会で防衛費を国内総生産(GDP)比2%へと押し上げようとしている。排外主義・国益主義を打ち破り、戦争国会粉砕・高市打倒へ闘おう。12・23新宿反戦デモに総決起し、中国侵略戦争を阻止する反戦闘争の巨大な爆発をかちとろう。

「米国第一」掲げ世界戦争

 米帝の新NSSは、文字通り中国侵略戦争・世界戦争戦略そのものだ。そこでは改めて「米国が世界秩序を支えてきた時代は終焉(しゅうえん)した」「他国のことに関心を払うのは米国の利益にかかわる場合のみである」と宣言し、「米国第一」を前面に押し出して米帝の利害を貫くことを表明した。その核心こそ中国侵略戦争だ。
 「アジア」の項目の冒頭では、過去数十年間、「ルールに基づく国際秩序」に中国を包摂しようとしてきたアメリカの対中政策は失敗であったとし、その結果として「中国は富と権力を獲得し、それを大いに活用して自らの利益を図った」と述べている。帝国主義の基本矛盾が爆発する中、米帝は自らの延命をかけて、中国スターリン主義の体制転覆を目的とする侵略戦争に全面的に突入することを宣言したのだ。それは、米帝が戦後一貫して「軍事基地国家」として形成し、「半導体生産における圧倒的地位」(新NSS)を確立させてきた台湾を、武力を行使して文字通り強奪するということだ。
 主要なメディアは、新NSSの、南北アメリカ大陸を含めた「西半球」という表現を強調し、米帝が軍事戦略における焦点をアジアから「西半球」に移し、中国との「緊張緩和」を望んでいるかのように説明しているが、これは完全な誤りだ。むしろ、繰り返し「台湾」に言及し、「戦域」「第1列島線」などの軍事用語を持ち出して最も具体的に述べている地域こそアジアであり中国である。「西半球における米国の優位性」とは、一切の軍事的資源を中国侵略戦争に振り向けるため、米帝が西半球を徹底的に制圧するということだ。
 その上で、アジアにおいては「第1列島線のいかなる場所においても侵略を抑止できる軍隊を構築する」「台湾を奪い取る試みを阻止するために米国と同盟国の能力を強化する」ことを喫緊の課題として挙げている。重要なのは、防衛負担をめぐり、同盟国の「ただ乗りを許している余裕はない」と強調して「自分の地域で主要な責任を引き受ける」ことを強く求めていることだ。中でも日本と韓国を名指しし、「トランプ大統領は日本と韓国に負担増を強く要求している」という文言をわざわざ盛り込み、中国侵略戦争の前線拠点となる日韓の軍備増強こそが鍵だと釘を刺しているのだ。この要求自体が、日帝を揺さぶる激しい対日争闘戦としてある。

反中国の排外主義許すな

 日帝はこの情勢に吹き飛ばされまいと、帝国主義としての存否をかけて必死で大軍拡と戦時体制の構築に全力を挙げている。
 12月6日に発生したという中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について高市政権は「中国による挑発だ」「軍事的威圧だ」と強く非難し、あたかも中国の側が一方的に自衛隊への軍事的挑発を行ったかのように大宣伝している。防衛相・小泉進次郎は12月7日未明にあえて臨時の記者会見を開き、外務省も駐日中国大使を呼び出して強く抗議。8日の自民党外交部会・国防部会などの緊急合同会議では「政府は日本の正当性を訴えるための発信強化を」「(中国との)外交戦で負けないように」などの発言が相次いだ。
 しかし、レーダーの照射を受けたという航空自衛隊のF15戦闘機は、沖縄本島南東の公海で行われていた中国海軍の訓練に対して、「領空侵犯を防ぐため」として空母艦載機を追跡・監視するために空自那覇基地からスクランブル(緊急発進)した機体だ。露骨な軍事的威圧・挑発を行ったのは中国ではなく日帝の側に他ならない。
 そもそも南西諸島は、日帝が米帝とともに大規模な軍事演習を繰り返し、中国を標的とする長射程ミサイル配備計画を発表し、急ピッチで軍事要塞(ようさい)化を進めてきた場所だ。さらに米帝は「航行の自由作戦」と称して海軍の駆逐艦などに南中国海や台湾海峡を通過させてきた。海上自衛隊も昨年9月以来、護衛艦の台湾海峡航行を繰り返している。重大な軍事的踏み込みだ。何よりも、高市による国会での「台湾有事は存立危機事態」発言=中国侵略戦争宣言こそが中国の激しい反発と怒りを引き出したのだ。
 こうした中で日帝は自らの危機をも逆手に取り、ひたすら中国への敵意をあおって挙国一致体制をつくり上げようと狙っている。そして野党は「極めて危険な行為で挑発が過ぎる」(立憲民主党・野田佳彦代表)、「偶発的衝突につながりかねず遺憾」(共産党・田村智子委員長)などと、高市政権とまったく同じ立場で中国を非難している。
 野党の総屈服を背景に、12月11日には今年度の補正予算案が衆議院を通過した。歴史的な大軍拡への踏み切りであり絶対に許すことはできない。今国会攻防を闘い抜き、反戦闘争のさらなる爆発をかちとろう。

「連帯し内乱へ」貫く党を

 NSSの発表を受け、官房長官・木原稔は12月5日の会見で、「防衛力の強化は日本としてすでに主体的に進めている。前倒しでGDP比2%に持っていく。来年中に安保3文書の見直しも行う」と強調し、「日米同盟の抑止力強化」を進める考えを明らかにした。トランプの要求をも利用する形で、日帝自身が「主体的に」中国侵略戦争に突進しようと必死にあがいているのだ。
 7日には小泉が、来日したオーストラリアのマールズ副首相兼国防相と会談し、レーダー照射をめぐり対中国での豪軍との連携強化を強調。情報収集やミサイル防衛などを協議する「戦略的防衛調整枠組み」の設置に合意したほか、豪海軍が導入する最新鋭護衛艦の共同開発へ作業を進めると確認した。
 「防衛増税」に向けた動きも進む。自民党は、2026年4月からの法人税・たばこ税引き上げに加え、27年1月から「防衛特別所得税(仮称)」付加により所得税を増税する方向で調整に入った。国益主義・排外主義をあおり立てて労働者からの収奪を強め、社会全体を戦時体制にたたき込むための攻撃だ。その一方で、医療や社会保障の全面的な解体が狙われている。 戦争国会のただ中で、9日には26年度予算編成の基本方針も閣議決定された。「危機管理投資」推進を強調し、「主な施策」として「防衛力強化と外交・安全保障環境の変化への対応」を明記するものだ。「防衛力の抜本的強化」や「防衛産業の基盤強化」を列挙し、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、力強い外交・安全保障政策を推進する」としている。
 こうした情勢と全面的に対決して革共同は第36回全国委員会総会を開催し、革命的女性解放闘争の創成を柱とするこの1年の革命的前進の地平を踏み固め、「連帯し、侵略を内乱へ」を実現する党への飛躍をかけ26年決戦へ突入することを誓った。(記事2、3面)
 15年戦争ただ中の1941年、中国全土に侵略軍を送り込んでいた日帝がマレー半島上陸作戦と真珠湾攻撃をもって太平洋戦争開戦に踏み切った12月8日から84年。日帝は、日清戦争で中国から強奪し、原住民の大虐殺を経て半世紀も植民地支配した台湾が今なお自らの領土・勢力圏であるかのように振る舞い、再びの中国侵略を宣言した。この日帝に対する在日人民、朝鮮、台湾・全中国―アジア人民の深い怒りを共にし、今こそ差別・排外主義と戦争の元凶である帝国主義の打倒へ立ち上がろう。

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