〝ICEを解体しろ!〟 内乱的に発展する米階級闘争

週刊『前進』04頁(3430号03面03)(2026/01/19)


〝ICEを解体しろ!〟
 内乱的に発展する米階級闘争

(写真 「ICEは出ていけ!」。厳しい寒さの中、レネ・グッドさんの虐殺に抗議するデモ隊が進んだ【1月10日 ミネアポリス】)

(写真 移民摘発の中止を求めて収容所前で行われたデモで警官と激突する抗議行動参加者たち【1月10日 ロサンゼルス】)


 「国際法は必要ない」と公言するトランプは1月7日、「米国の主権と自由、繁栄に対する脅威」であるとして、計66の国際機関からの脱退を米政府に指示した。戦後、米帝自身がつくり世界に強制してきたあり方を自ら破壊し、むき出しの軍事力の行使によって米帝の世界支配を貫徹していく姿勢を露骨に示した。さらに2027会計年度の国防予算を前年度から5割超増やして1兆5千億㌦(約235兆円)とするよう連邦議会に要求。米軍需企業に生産拡大を求める大統領令にも署名した。
 11日には、トランプが米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を刑事捜査の対象としたことが判明した。大幅な金融緩和を求めるトランプは、パウエルの利下げ判断が「遅すぎる」と繰り返し批判し、解任もちらつかせていた。狙いはすべての権力機構を掌握し、全国力を戦争に投入する体制を築くことだ。

移民摘発に抗議した女性を射殺

 こうした中で1月7日、米中西部ミネソタ州のミネアポリスで、移民税関捜査局(ICE)の職員が、「不法移民」取り締まりに対する抗議行動の参加者を射殺する事件が起きた。
 トランプはこの間、アフリカ東部・ソマリアからの移民を「ごみ」と罵倒し、最大規模のコミュニティーがあるミネアポリスで摘発を開始。6日からはICE職員2千人を投入した「史上最大規模の移民作戦」を強行していた。
 事件が起きた場所は、「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動の契機となった2020年の黒人ジョージ・フロイドさん殺害事件の現場からわずか2㌔メートル弱だ。今回虐殺された37歳の女性、レネ・グッドさん自身は米国籍をもつ白人で拘束や強制送還の対象ではなかったが、トランプによる排外主義扇動や移民襲撃に怒りを燃やし、警察権力やICEを監視したりその情報を共有したりする活動を行っていた。当日は子どもを車で学校に送って帰宅する途中に摘発現場に遭遇。敵意をむき出しにしてグッドさんの車に近寄ったICE職員が、至近距離から彼女の頭に銃弾を撃ち込んだのだ。
 ICEを管轄する国土安全保障省(DHS)をはじめ、トランプ政権はグッドさんが「法執行官を車でひき殺そうとした」として「国内テロ」と叫び、「職員が発砲したのは正当防衛」などと主張している。

米本土揺るがす人民の実力闘争

 事件当日の7日夜にミネアポリスで行われたキャンドル集会には約1万人が結集し、週末にはニューヨークやワシントン、ロサンゼルスなど全米1千カ所以上で「ICE解体」をスローガンとする抗議行動が闘われ、以降もさらに拡大している。一方で警官や政府当局による、移民や抗議行動参加者への催涙ガスなどを用いた暴行が相次ぎ、怒りの炎に油を注いでいる。
 問題は、単なる「ICEの過剰な権力行使」にあるのではない。一切を規定しているのは、米帝が帝国主義としての延命をかけて中国侵略戦争―世界戦争に踏み切ったということだ。トランプはNSS=中国侵略戦争―世界戦争戦略そのものとして、ベネズエラへの軍事侵攻―体制転覆を突破口に「西半球」を自らの勢力圏として軍事的に制圧し、中国スターリン主義をたたき出そうとしている。
 しかしその一方で、「西半球」の核心をなす米本土において労働者階級人民の怒りはすでに頂点に達し、パレスチナ連帯闘争、ICEの移民襲撃に対する実力闘争、さらにベネズエラ侵略への怒りの抗議が米帝を国内支配の危機にたたき込んでいる。またニューヨークでは1月12日から、約1万5千人の看護師が労働条件の改善を求めてストライキに立ち上がった。
 だからこそ、トランプ政権は抗議行動に対する弾圧をいっそう激化させている。DHS長官は11日、ミネアポリスに数百人の連邦捜査官を追加派遣する方針を表明し、国務省は14日、75カ国を対象に移民ビザの発給手続きを停止すると発表した。
 しかし、米労働者階級人民の怒りは、今回の虐殺事件を単なる「反トランプ」や「ICEの暴挙への抗議」の運動に押しとどめようとする民主党の思惑をはるかに超えて実力闘争的に爆発している。戦争と排外主義に絶対反対を貫き、自国帝国主義を打倒する闘いこそが求められている。
 不屈に闘い抜く米労働者階級人民と連帯し、日帝打倒・中国侵略戦争阻止の反戦闘争を爆発させよう。

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