安保3文書で「新しい戦い方」 侵略軍隊化へ「宇宙作戦団」新設
週刊『前進』04頁(3447号03面05)(2026/05/18)
安保3文書で「新しい戦い方」
侵略軍隊化へ「宇宙作戦団」新設

安保3文書の改定へ向けて4月27日に行われた「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」は、「ウクライナ(戦争)の教訓」だとして、「世界の中で現実に行われている『新しい戦い方』、『非対称な戦い方』や長期戦への備えとしての継戦能力の確保が必要」だと打ち出した。これはウクライナ戦争に加えイラン侵略戦争で安価な無人機(ドローン)が大量に使われ、戦場の様相を変えていることに必死に対応して、中国侵略戦争の遂行に生かそうとする日本帝国主義の構えを示したものだ。
イラン侵略戦争においてアメリカ帝国主義は、イランが開発した1機あたり約500万円の自爆ドローン「シャヘド」を防ぐために1発あたり約5億円もするパトリオットミサイルを使うようなあり方では、消耗が激しすぎるという現実に直面した。米軍もシャヘドをほとんどそのまままねした自爆ドローンを導入し、これでシャヘドに抗戦するようになっている。ドローン戦争の「実験場」と呼ばれて久しいウクライナでは1機あたり約20万円の「迎撃ドローン」が開発されるに至っている。また、ドローンの戦場への導入は衛星などを用いた従来の情報収集を補完し、ミサイルなど長射程攻撃の一層の精密化をもたらしている。
「新しい戦い方」のもう一つの柱は人工知能(AI)の利用だ。複数の軍種・部隊を通信ネットワークでつないで統合運用し、ドローンや衛星から得られる膨大な量の情報を整理・利用するためにはAIの利用が不可欠となっている。米帝によるベネズエラ、イラン侵略ではAIが使われることによって迅速な同時攻撃を実現したと言われる。
米帝はドローンの大量利用による中国侵略作戦「ヘルスケープ(地獄絵図)」作戦を構想しており、在日・在沖米軍へのドローンの配備を増やすだけでなく、2024年に台湾に1千機超の小型自爆ドローンを約3億6千万㌦で売却、25年には10億㌦規模の無人機を売却することを決めた。
中国侵略戦争の最前線を担う日帝・防衛省は、26年度予算で無人機の研究と大量購入に総計約2800億円の予算を組み、そのうち南西諸島に大量の無人機を展開する「多層的沿岸防衛(シールド)」構想だけで1001億円と、事実上の空母である「いずも」型護衛艦建造に匹敵する額を盛り込んだ。これはヘルスケープ作戦と一体の計画にほかならない。4月には長距離攻撃無人機導入に向けた検討も本格的に始まった。
現代戦のインフラ衛星通信の確保へ
日帝・自衛隊は長射程ミサイルの配備も急ピッチで進めている。そして、これらの兵器の運用に必要不可欠なのが宇宙・サイバー領域である。遠く離れた場所を攻撃するにはその場所の情報収集が必要であり、無人機も海上や離島、山間部などの電波が届かない場所を正確に航行するためには通信支援が欠かせない。25年7月に防衛省が公表した「宇宙領域防衛指針」が「陸上、海上、航空を含むオールドメインの軍事作戦上の指揮統制・情報収集基盤の中枢」と位置づける通り、衛星通信の維持・確保は現代戦争における「インフラ」なのだ。日帝は自衛隊への宇宙・サイバー専門部隊の創設を急速に進めてきた。その部隊が今年3月に新編された航空自衛隊「宇宙作戦団」だ。前身である宇宙作戦隊は20年に20人体制で発足し、22年には宇宙作戦群となり70人へ拡大、今回の宇宙作戦団で670人、26年度中に予定する宇宙作戦集団への格上げで880人体制となる予定だ。自衛隊の長距離攻撃・展開能力の基盤であり、自衛隊の侵略軍隊化と切り離せない部隊なのである。
宇宙作戦団は府中基地(東京都)を本拠として、安保3文書に明記された「衛星コンステレーション」=自衛隊専用の軍事衛星の運用を担当する。衛星コンステレーション自体はGPSなどに使われている方法で、通信衛星を連携させることで地球全域を観測するシステムのことだ。この自衛隊用軍事衛星は、今年2月には三菱電機・スカパーJSAT・三井物産の3社で構成する特別目的会社「トライサット」を中心に設計が始まっている。内閣衛星情報センター所管の準天頂衛星システム「みちびき」も、現在の4機体制から7機体制に拡充すれば「日本版GPS」として運用できると言われ、この運用も宇宙作戦団と一体となることは確実だ。「みちびき」はさらに11機体制へ拡充される計画だ。反戦闘争を爆発させ、日帝の中国侵略戦争を阻止しよう。