中国侵略戦争の激突点 南中国海で戦争情勢激化

週刊『前進』04頁(3456号03面03)(2026/07/20)


中国侵略戦争の激突点
 南中国海で戦争情勢激化


 日米英フィリピンなど14カ国が7月12日、中国の南沙(スプラトリー)諸島への主権主張が国連の仲裁裁判所で退けられた2016年から10年の節目にあたり共同声明を出し、「中国の拡張的な海岸権益に関する主張には法的根拠はない」と中国に判断の受け入れを突きつけた。中国は「(判断は)拘束力のない紙くずだ」と拒否する声明を発表。これを大手全紙が報道し、朝日新聞は「中国の威圧 波立つ海」と大見出しをつけ特集を組んだ。中国側が一方的にフィリピンなどを軍事力で威圧してきたとし、中国が従来の「9段線」に加え23年から「10段線」を引き台湾の東側でも「管轄権」を主張していると述べ、〝中国が「力による現状変更」を進めている〟と結論づけている。「中国と戦う覚悟を持て」と言わんばかりだ。
 だが現実は、米帝が圧倒的な軍事力で中国スターリン主義体制を転覆する侵略戦争を開始する中、中国スターリン主義が米帝との軍事的対抗に全精力を注いでいるということだ。朝日新聞を始め全マスコミはこの現実を逆転して描き、米帝の中国侵略戦争と日帝の参戦を〝中国の侵略からの防衛戦争〟として正当化しようとしているのだ。
 南中国海は、米帝の中国スターリン主義体制転覆を見据えた軍事重圧に対する、中国スターリン主義の反人民的軍事対抗の焦点となってきた。フィリピン人民は1986年にマルコス独裁政権を打倒し、91年ソ連スターリン主義崩壊の過程において全米軍基地の撤去を実現した。だが、米帝の歴史的没落と帝国主義間争闘戦の激化、2008年リーマンショックを契機とする大恐慌、中国スターリン主義の大国化を経て米帝は中国侵略戦争へかじを切り、フィリピンの再拠点化へ踏み出した。こうした情勢の進展に応じ、「訪問米軍地位協定(VFA)」(1998年)、「防衛力強化協定(EDCA)」(2014年)といった米比軍事協定が結ばれた。とりわけ2010年代を通じて米軍がアジア・太平洋地域への戦力シフトを進め始めたことで、南中国海での対立が激化する。仲裁の申し立てもこの頃だ。そして今日、米帝は中国侵略戦争を実際に開始した。日本列島―九州・沖縄―台湾―フィリピンを結ぶ「第1列島線」が最前線に位置づけられ、南中国海は東中国海と並ぶ最大の激突点となっている。

「第1列島線」上の要衝フィリピン

 中国、ベトナム、フィリピンは海を埋め立てて弾薬庫や滑走路などを建設し、軍事拠点化を急ピッチで進めている。米国防長官ヘグセスは中国に対し「違法な軍事拠点化だ」などと言いなし、米軍を南中国海に展開させている。23年以降、米比の「海上協同活動(MCA)」と称する軍事訓練が始まり、日本、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなども参加するようになった。中東から撤収した米軍沿岸警備隊の艦艇6隻もつい先日から展開している。
 日帝はかつて侵略した南中国海に自衛隊を公然と派兵している。対潜水艦戦闘能力を備えた海上自衛隊の護衛艦「あさひ」が4月、米軍横須賀基地を拠点とする米海軍第7艦隊の旗艦「ブルーリッジ」と共に航行訓練した。これと一体で4~5月にフィリピンで行われた米比主催の多国間共同訓練「バリカタン26」では、ルソン島で陸上自衛隊が88式地対艦誘導弾を実射。すでに配備されている米軍の地対艦ミサイルシステム「ネメシス」の展開や中距離ミサイルシステム「タイフォン」からのトマホーク発射など実戦さながらの演習が行われた。さらに日帝は、フィリピンへの海自の中古護衛艦などの輸出や日比の軍事協定締結・準同盟化も推進している。
 一方、中国は7月6日、核兵器の搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を、原子力潜水艦の基地がある南中国海で行うなど、軍事演習をエスカレートさせている。米帝の侵略戦争に対し、一国社会主義路線が破産し末期的危機にある中国スターリン主義体制は米帝と戦争をする以外に延命できない。帝国主義とスターリン主義の打倒こそ、中国侵略戦争を阻止する道だ。

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