26年版防衛白書を弾劾する 中国侵略戦争阻止を 安保3文書改定を先取り 戦争遂行の大軍拡と国家総動員

週刊『前進』04頁(3460号02面01)(2026/08/24)


26年版防衛白書を弾劾する
 中国侵略戦争阻止を
 安保3文書改定を先取り
 戦争遂行の大軍拡と国家総動員

(写真 2026年防衛白書の表紙)

(写真 トラックのコンテナから発射される無人機「シャヘド」)

(写真 迎撃ドローン「Terra」。高さ47㌢メートル、幅27㌢メートルと事務机に乗るサイズ)


 首相・高市は今月15日の全国戦没者追悼式で「戦争の惨禍を二度と繰り返させない」と述べた。ペテン的であれ「(日本帝国主義が)繰り返さない」としてきた歴代首相の言辞すらひっくり返し、「中国の脅威」をあおって中国侵略戦争―世界戦争に突き進む決意表明をしたということだ。そして同時に、防衛相・小泉進次郎をはじめ複数の閣僚は、朝鮮・中国―アジア侵略戦争を100%居直る靖国神社参拝を強行した。高市政権が4日に発表した2026年版防衛白書は、このような高市政権の姿勢と一体となり、安保3文書改定の中身を先取りした大軍拡―国家総動員計画そのものだ。絶対に許してはならない。

中国脅威を叫び侵略戦争へ

 26年版防衛白書は、ウクライナ戦争やアメリカ帝国主義・イスラエルによるイラン侵略戦争の過程で注目されるようになった無人機や人工知能(AI)を用いた「新しい戦い方」をめぐる動向を、新たに「章」として盛り込んだ。防衛生産・技術基盤の強化については、防衛産業・技術を「防衛力そのもの」と位置づけて前年の「章」から「部」に格上げし、軍需産業の育成と武器輸出を強化する意図を強く示した。
 前年に続き中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」「活発な軍事活動がわが国の安全に深刻な影響を及ぼしうる状況となっており、強く懸念される」としたうえで、「総合的な国力と同盟国・同志国などとの協力・連携により対応すべきもの」とし、日帝が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の名のもとに進めてきた対中包囲網の形成を位置づけている。今回の白書に、前在沖米軍トップと英空母打撃群の司令官が異例のコラムを掲載したことはその反映だ。
 武器輸出も「同盟国・同志国と共通の装備品を保有し、相互に支援する環境を構築する」という観点から強調され、単なる「軍需産業の金もうけ」などではなく、中国侵略戦争の継戦能力形成へ向けた日帝独自の軍事・外交政策として展開している。
 白書は、中国が空母を太平洋にまで展開させるようになったことを強調し、昨年12月に太平洋で自衛隊機が中国軍機に30分もレーダー照射をされたことも書き立てる。この「事件」は、日本側にも通知して太平洋の公海上で軍事演習をしていた中国軍に、堂々と接近した自衛隊機による挑発から生じたものだ。そもそも中国の空母戦力の増強自体、米帝の中国侵略戦争準備の進行とともにそれに対抗して、米太平洋軍の中心であるグアムやハワイ付近に戦力を投射しようとなされてきたものだ。それは世界革命を放棄した中国の反人民的な軍事対抗であり、帝国主義が「中国の脅威」をあおる格好の宣伝材料とされ、米帝の中国侵略戦争と日帝の大軍拡・参戦を促進している。反帝国主義・反スターリン主義世界革命の立場からの反戦闘争こそが求められている。

無人機利用が求める総力戦

 今回の白書で特に目立つことは、表紙のイラストに「軍事色」がまったくないことだ。白書の表紙は例年、戦闘機・艦艇や訓練の写真、あるいは鍛えられた軍事力をイメージさせるイラストを使うなどしていたのだ。これは決して矛盾ではない。安保3文書改定に向けた諮問会議「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」の議論で「軍事と非軍事の境がない軍民融合の時代が到来していることである。ウクライナ戦争を見れば明らかである。有事においては、必要に応じ、国内のどの場所においても、自衛隊と民間力が連携し、一体化して行動することが求められる」「国民の安全保障リテラシーを高めることが必要......中等・高等教育における安全保障教育の充実が必要」などと語られているように、中国侵略戦争―世界戦争へ向けて総力戦体制を構築すること、全人民を帝国主義戦争に動員することを日帝が「本気」で目指しているからこそ、「親しみやすさ」を強調した表紙が防衛白書に採用されたのである。
 今回の白書で強調されている「新しい戦い方」は、主要にはウクライナが戦争過程で開発・採用してきた戦争態勢を念頭に置いている。その最大の焦点はドローン開発とその大量生産体制の構築だ。白書の発表と一体でこの数カ月の間に、経営破綻した日産・追浜工場のドローン工場化、川崎重工業と大手航空企業エアバスによる軍事ドローンの共同開発、東芝による軍事ドローン開発、楽天グループとドイツの新興軍需企業ヘルシングが提携して自衛隊への攻撃型ドローン納入を目指す計画が、次々と発表された。日本の新興軍事企業であるテラドローンは低価格の迎撃ドローンをウクライナ企業と共同開発し、ウクライナの前線でも採用される「成果」を上げるに至っている。
 ドローンの強みは、低価格で製造できるがゆえの圧倒的な量と、大型装備を必要としない手軽さ、ドローンごとの多様な機能を生かした汎用性の高さにある。イラン侵略戦争でイラン側の反撃手段として有名となった「シャヘド136」は1機あたりの価格が500万円ほどだが1千㌔メートルの射程がある自爆ドローンで、小さな工場でも製造でき、民間トラックのコンテナを発射ラックとして使い、さまざまな場所から発射できる。米軍の1発あたり数億円する対空ミサイルを枯渇させ、本命の長距離ミサイルを撃ち込む複合的な使い方で脅威となった。
 ウクライナのドローン生産数は25年に年間400万機に達したが、シャヘドに相当する長距離自爆ドローンの生産数は7万機程度で、ほとんどは小型ドローンである。その製造工場は分散され、部品の一部は3Dプリンターでつくることで、市街地のオフィスの一室を借りて事務机の上で組み立てるやり方もとられている。ロシアに突き止められないように数カ月ごとに移転するという。
 ここで重要なことは、「新しい戦い方」の核となるドローンは、その強みを生かすためには生活空間や民間設備のすべてを軍事的に利用する態勢が求められるということだ。防衛省は大量のドローンを用いた「多層的沿岸防衛構想(SHIELD)」を27年度中に構築する予定で、これは米海兵隊の対中国作戦「遠征前進基地作戦(EABO)」と一体となって、南西諸島(琉球弧)から中国軍をミサイルと無数のドローンで攻撃して中国侵攻の突破口を開く計画だ。それは南西諸島をミサイル攻撃の拠点として踏み荒らすものであるとともに、作戦を支援する大量のドローンの生産を日本全体の労働者階級人民が担うものだ。日帝を打倒しなければ、再びの中国侵略に加担させられる。アジア人民への血債にかけて、その道を繰り返すことは許されない。

AIで迅速化する虐殺戦争

 「新しい戦い方」のもう一つの柱はAIだ。白書では特に「意思決定の迅速化」に焦点をあて、イスラエルがガザ大虐殺で使用したAI「ラベンダー」と「ゴスペル」を紹介している。「ラベンダー」はガザ市民の携帯電話の通話アプリなどのデータを解析し、その持ち主とハマスとの関係性を評価する。「ゴスペル」はラベンダーの情報や衛星画像などから攻撃目標を特定し、従来は年間50件の「標的」を特定していたが、「ゴスペル」によって1日100件を特定できるようになったとしている。
 白書は触れないが、実際にはラベンダーの特定率は9割で、しかも「ハマスの工作員1人あたり15~20人、幹部クラスなら100人の巻き添えを容認する」という方針がとられ、あまりにも早い「特定」に対して人間のチェックは行われず、結局はAIの選定通りにイスラエル軍は爆撃を繰り返した。要はイスラエルによるパレスチナ人民へのジェノサイドの意思こそがAIの標的特定を規定していたのだ。この事例は帝国主義者らがAIをいかにプログラムするか、それに基づいてAIが帝国主義者の意思をいかに「迅速」に実現するか、という代表例だ。これを「AIによる意思決定の迅速化」の例として持ち出す日帝の凶悪な戦争意思がにじみ出ている。AI同士の戦争シミュレーションでは95%の確率で核戦争に発展した事例も報告されているが、米戦争省は8月5日、中露への戦術核の使用を念頭に置いた新核戦略を検討していることを発表しており、最悪のシミュレーションは現実化されようとしている。
 白書がイスラエルの例を持ち出した意図は明らかで、イスラエル国防省とパートナーシップを結び、米帝のイラン侵略戦争で利用されたAI「メイブン・スマートシステム」の開発会社である情報軍事企業・パランティアと日帝の協力が進んでいるからだ。今年1月には小泉が米のパランティア本社を訪問し、3月5日には高市が同社会長と面談している。そして8月10日には「米国製などのAI」を使って情報を収集・評価する司令塔AIとして国産「サカナAI」を自衛隊の指揮統制に導入する方向で検討に入ったことが発表された。基盤にパランティアAIが組み込まれていると見るべきだ。実際、今年2月の日米共同統合指揮所演習「キーン・エッジ26」でパランティア社のAIを指揮統制に組み込んで演習を行っていたことが判明しており、10月にはこのキーン・エッジをベースにした日米共同実動演習「キーン・ソード27」が行われるのだ。絶対に許せない。
 そして「新しい戦い方」の最後の不可欠の柱は宇宙空間の利用である。「宇宙は、今やオールドメインで行う作戦の要」「目標情報のリアルタイム伝達や遠距離に所在する部隊間の情報共有を可能とする衛星通信は、防衛省・自衛隊の作戦全ての基盤となる」と述べられているように、人工衛星による地球観測は長射程攻撃を可能とする基盤をなし、衛星通信は無線通信の基地局が使えない状況においても情報共有やドローンの運用を可能とする。そして情報取得・共有・通信防護をめぐるサイバー戦争領域のインフラでもある。
 白書では25年7月に「防衛省次世代情報通信戦略」を策定したことに触れ、今年度中に航空自衛隊に「宇宙作戦集団」を新編し、空自が「航空宇宙自衛隊」に改名されることを位置づけている。防衛省・自衛隊は防衛通信衛星「きらめき」3機体制で指揮統制にかかわる通信を担っていて、さらに27年度からの本格的運用を目指して長射程攻撃の基盤となる地球観測衛星による「日本版GPS」の構築を目指している。
 白書では他にも、自衛隊の要員不足に対処するため「自衛隊創設以来初の給与体系の見直し」など待遇改善をアピール。また、中国侵略戦争において「最前線」となる沖縄・南西諸島においては第15旅団の師団化に加え、補給体制と機動展開能力のさらなる強化が示されている。それは「住民避難・国民保護」にも役立つかのように記述されているが、本質は南西諸島を戦場化するための住民追い出し策にすぎない。反戦闘争の爆発へ全力で闘い、11・1労働者集会―22芝公園への大結集を組織しよう。
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戦時体制突入粉砕を
 「防衛生産の基盤の強化」叫び全面的な軍事経済化

 2026年版防衛白書は「防衛生産・技術基盤の強化」の項目を従来の「章」から「部」に昇格させて詳細に記述し、「防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の維持・強化」を叫び立てた。中国侵略戦争を遂行するための「継戦能力」確保へ、全面的な軍事経済化を図るということだ。高市政権が「日本成長戦略」で打ち出した軍需産業や人工知能(AI)など17戦略分野への370兆円の官民投資がその導水路となり、資本も軍需生産へ激しく傾斜しつつある。

軍需生産に本格的にのめり込む資本

 「防衛産業は......デュアルユース(軍民両用)分野をはじめとする取組を通じて、『防衛と経済の好循環』を実現する主体としての役割も期待されている」と叫ぶ防衛白書に呼応し、大資本は軍需生産に本格的にのめり込んでいる。開始された中国侵略戦争は、こうして一層激化している。
 6月末には、経営破綻した日産の追浜工場を米軍事企業アンドゥリル・インダストリーズが取得してドローン生産の拠点とするための協議が開始された。川崎重工業も同時期に、欧州航空機大手エアバスと軍事用ドローンの開発で提携することを打ち出した。エアバスなどが生産する「ユーロドローン」に川重製の対潜水艦監視システムなどを搭載した兵器を開発する方針だ。7月には東芝が新興企業プロドローンと提携して軍事用ドローンの開発に乗り出すと発表した。8月半ばには、楽天がドイツの新興軍需企業ヘルシングと組んで、攻撃型ドローンの自衛隊への納入を目指すことを明らかにした。
 高市政権が成長戦略の要とする17の戦略分野のうち「防衛産業」での重点はドローンの開発だ。「新しい戦い方」にとって不可欠だからだ。日本の民生用ドローンの9割は中国製で、2024年に日本国内で生産されたドローンは約1千機にとどまる。他方、ウクライナは25年度中に400万機、ロシアは150万機のドローンを生産したと言われる。こうした水準の生産能力を急速に獲得することが、日帝の絶対的な課題になっている。だから防衛相の小泉進次郎は7月、銀行に対して新興軍事企業への融資を強く求めた。
 戦争で大量に消費される弾薬やミサイルなどの生産にも備えなければならない。高市政権は来年通常国会に防衛生産基盤強化法改定案を提出し、国が兵器工場を所有して民間資本に運営を任せる「GOCO」方式の導入や、国営工廠(こうしょう)の設立に突き進もうとしている。
 岸田政権下で強行された22年の安保3文書改定を機に、大手軍事企業は軍需部門の売上高を急速に増やした。三菱重工業の軍需部門売上高は16年度の7034億円から25年度の1兆3939億円に倍増し、同社の株式総額は1兆5111億円から14兆1901億円に膨らんだ(グラフ参照)。

軍事企業に15%の手厚い利益を保証

 にもかかわらず防衛白書は「(防衛産業の)顧客は基本的には防衛省・自衛隊のみであることから、生産数は極めて限定的となり、企業にとって投資回収の機会は限られる」と述べ、「防衛生産・技術基盤の強化」のために軍事企業に一層の利益を与えることが必要だと叫ぶ。経団連も5月に出した「防衛生産・技術基盤の抜本的強化に向けて」と題する提言で、①武器等の調達については複数年度にわたる一括契約を結ぶこと、②軍事企業への利益率保証、③生産に時間を要する兵器については完成前に制作の進行度合いに応じて企業に費用を支払うこと、④生産設備の増強に対する補助金の増額、⑤軍事企業への敵国からの攻撃に備えて防御措置を施すことなどを求めた。軍事企業の利益率に関しては、政府は23年段階で15%を保証する方針を出している。労働者人民には戦場で命を投げ出させる一方、大資本には手厚い利益を与えるのだ。

労働者階級として戦争動員阻止する

 これと並行して労働者を戦争と軍需生産に駆り立てる国家総動員体制の形成が進んでいる。
 25年10月に出された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」報告書は、医療・衛生職を「後方職域ではなく最前線の職域である」と位置づけ、中国侵略戦争の最前面に医療労働者を立たせる方針を打ち出した。自衛隊と葬儀業団体が協定を結び、自衛隊員が戦死した場合、遺体の安置や遺体収納袋、ひつぎの確保などで協力すると決めたことも明らかになった。先の国会で成立した「予備自衛官等兼業特例法」は、予備自衛官を兼ねる公務員が訓練招集に応じた場合は職務専念義務を免除し、給与も減額しないと定めた。そこには、公務職場で予備自衛官への応募を事実上強制し、いずれは徴兵制につなげる意図がはらまれている。大学や公立研究機関の軍事研究への動員は、日本成長戦略の重要な柱だ。
 すでに03年制定の武力攻撃事態法により、電力・ガス・交通運輸・通信・放送産業の各企業は指定公共機関とされ、そこで働く労働者には「国民保護」の名で戦争協力が義務付けられている。その指定公共機関の一つであるJR貨物は、26年度事業計画に「安全保障の観点からも、有事において物資を迅速かつ大量に機動的に展開できる貨物鉄道輸送への期待が高まっている。......想定される必要な輸送体系の構築に向け、防衛省をはじめとする関係機関との調整を行っていく」と明記した。改憲と戦争国家化を目的に強行された国鉄分割・民営化によって生まれたJR資本は、労働者を戦争動員する攻撃の先頭に立っている。
 これに対して動労千葉は7月28日、「軍事輸送を行うな」とJR貨物に強く申し入れた。有事関連法制定に対して03年に戦争協力拒否を宣言し、ウクライナ戦争下の22年に新・戦争協力拒否宣言を発出し、26春闘で反戦ストライキ声明を打ち出した動労千葉は、労働者の階級的使命にかけて侵略戦争につながる一切の業務を拒否すると改めて資本に突き付けたのだ。
 戦争に強制的に動員する国家の攻撃に怒りを燃やし、中国侵略戦争阻止の今秋反戦闘争を全力で闘おう。街頭での反戦闘争の大高揚は、連合の裏切りのもとで後退を強いられてきた労働運動の現状を覆し、職場で資本の戦争攻撃と立ち向かう力を必ず生み出す。その確信も固く、11・1労働者集会と11・22首都反戦大デモへ攻め上ろう。

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